カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」3月号

「憲法を語れるのはオシャレ」賢妻を目指す「VERY」、その“賢さ”の正体

2014/02/21 21:00

■唐突すぎる「憲法」企画の衝撃

 今月号には、「VERY」の賢い路線を象徴する企画がほかにもありました。今回で10回目を数える「VERY白熱教室」では、「お母さんこそ改憲の前に知憲!」というテーマで、芸人のパトリック・ハーランさん、弁護士の太田啓子さん、若手社会学者の古市憲寿さん、元NHKアナウンサーの堀潤さんなどの識者の皆さんと一緒に、「VERY」モデル随一の知識派であるクリス‐ウェブ佳子さんが登場。「白熱教室」の名に恥じない論議が続くのですが、ウェブさんの発言が異彩を放っています。

 例えば、「この座談会に参加する前に特定秘密保護法についてタクシーの運転手さん何人かにリサーチした」という発言。「『お母さんこそ』とタイトルにあるのに、なぜタクシーの運転手に?」と思わずにはいられませんが、なんでも一番聞きやすい相手なんだとか。ウェブさんのママ友事情が心配になってしまいました。

 また、太田啓子さんが「主婦だってママだって『憲法や政治を語れることはオシャレだし、かっこいい』となるのが理想です」と語ると、ウェブさんも「ママ達の井戸端会議といえば習い事の話だったり、子どものことが中心でしたが、これからは憲法もですね! まず“知憲”。今日からハンサムマザー達のキーワードです」と応戦しているんですが……なんでもすぐに、自分のこととして吸収しようとする真っ直ぐさ、もとい単純さには驚いてしまいました。ウェブさんが読者にウケているのは、知識派だからではなく、こういった「実は単純」なところなのかもしれません。

 そんななかなか実態が見えてこない「VERY」提唱の「賢妻」ですが、結局はファッションでしかないというのが、現状のようです。もちろん、ファッションを取っ掛かりにして、「賢妻」を目指すのが間違っているとは言いませんが、今後の「賢妻」路線がどう展開されていくか見守っていこうと思います。
(芦沢芳子)

最終更新:2014/02/21 21:00
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