「憲法を語れるのはオシャレ」賢妻を目指す「VERY」、その“賢さ”の正体
ここずっと「VERY」(光文社)が、“賢さ”を強調する路線を取っていると言い続けてきましたが、今月号の特集はズバリ「オシャレも“賢妻”ブームです」。「VERY」のいう「賢妻」とは何がモデルになっているかというと、案の定ドラマ『半沢直樹』の妻・花だそう。特集の冒頭でスタイリストの方が「今は自分らしさを消した“いい人そう”より“賢そう”が共感される時代」とも指摘していました。2014年、TPOをわきまえながら、媚びないメンタリティとファッションポリシーを持ち合わせた“賢妻”時代に突入したんだそうですが、果たしてその実態とは?
<トピック>
◎オシャレも“賢妻”ブームです
◎ママだって野心を持っていい!
◎お母さんこそ、改憲の前に知憲!
■昭和モデルな「VERY」の賢妻
「VERY」読者の周りにもいるという「賢妻」とは、一体どんな存在なのでしょう。読者の証言によると、「空気を読み」ながらも「自己主張」でき、家庭では声を荒げたりすることもなく、気が付けば妻の意図する通りに事が運んでいる……そんな妻が「賢妻」だそうです。一言で言うと、つまり「操縦上手」な妻ということでしょうか。「男は外で働き、女は家でそれを支える」という昭和モデルの「良き家庭像」となんら変わりありません。
では、そんな「賢妻」のファッションはというと……甘い色使いがほとんどない! だいたいが紺やブルーや黒。差し色に、ショッキングピンクやペールピンクなどを差し込むことはあっても、青みがかっていて、暖かな印象はありません。そして、このファッションは、4月の入園・入学式時のファッションにもつながっていくのですが、「子どもをしっかりと教育できる」のもまた、賢妻の必須条件ということでしょう。
もともと「VERY」は、前半のファッションページでは「幸せな主婦」像を謳うミーハー全開の内容を、後半の読み物ページは社会派を目指したり、主婦のリアルな悩みに踏み込んだりと真面目な内容を展開していました。今回のファッションページは、読み物ページとのギャップを埋めようとしているのでは? と感じましたが、それは早合点だったようです。やはり「VERY」は「VERY」、あれは賢くなりたいではなく、単に賢く“見える”よう外面を取り繕いたいという欲望に基づいているファッションでしかないのです。それは、「幸せな主婦」に見えるファッションを扱うのと同じこと。
とは言いつつも、「VERY」のどこか一貫性のない作りは、魅力の1つでもあります。前半と後半のギャップが埋まってしまっては、きっとつまらない雑誌になってしまうと、筆者は常々感じています。