カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」1月号

「風水」「半沢直樹の妻」「3歳児神話」を推奨!? リアリスト「VERY」が大迷走!

2013/12/22 16:00

 この企画は「子どもが生まれたら“状況に合わせて自然体”」になるのではなく、「母になってもヒールはやめない」など、確固たる「オシャレのマイルール」を持つことを推奨しています。「VERY」は、男性との関係性は「家」の中にあるもので、女性との関係性こそが「外」にあるものだと考えている……ということでしょうか。

 この特集には、先述のクリス‐ウェブ佳子さんも登場しています。「オシャレって『コミュニケーション』の一部」「自我ばかりを押し通してTPOを損なうと他人を不快にさせる」「自分もまわりの人も気持ちのよいファッション」を心がけていると語り、彼女の社会性に対するこだわりが伝わってきます。佳子さんは以前、モードにこだわり、黒づくめのファッションをしていたためママ友ができなかったそうですが、「マナー」と「TPO」を守って自由にオシャレをしたことで、社会性を取り戻したんだとか。「モード」は女受けはいいけれど、やりすぎは社会性を欠くということでしょうか。やはり、「VERY」が説くコミュニケーションの相手や「社会性」という言葉の矛先には、女性がいることがうかがえます。

 「VERY」の語る、ファッションと社会性の問題は一見大げさに思えますが、確かに自分とは異なる、また自分の属するコミュニティでは浮く格好をしている人とは、仲良くなれない場合は多いです。わかり合えない人に振り回されたくない、そういう人と一緒にいることで、コミュニケーションの輪からはじき出されたくない、という防衛本能が生まれるのも無理はありません。それが、簡単に逃げられない、替えの効かないママ友コミュニティだったらなおさらのことです。オシャレの空気が読めない人にとっては、なんとも生きづらい世の中です。

 そんな人に向けて、「VERY」は「ファッションから社会性を身につけよう」と提案しているわけですが、あらためてその「社会」の定義には疑問を抱いてしまいます。「VERY」の言う「社会」とは、一般的な「社会」ではなく、実は「狭いコミュニティ」のことを指しているのです。それは、「VERY」の責任でもなんでもなく、女性を取り囲む「社会」が「狭いコミュニティ」ということの表れなのかもしれません。
(芦沢芳子)

最終更新:2013/12/22 16:00
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