高まる「ジャニドラ不要論」の中、ジャニーズ感を脱臭して茶の間の目を欺くために……
今回は、ジャニーズのドラマにおける新たな鉱脈について考えてみたい。さて、今期のジャニドラといえば、苦戦中の『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(TBS系)。「ジャニーズの名前だけではもう数字がとれない」という世間の認識はますます強まってしまったことと思う。それどころか、以前からあった「ドラマにジャニーズいらねえ!」という批判が、残念ながら多数派になりつつある気もする。
正直、ジャニオタですら「ジャニーズが出ている」というだけではもうドラマを見ない人も多い。では、今後のジャニドラの生きる道とは? 新たな活路のひとつは、V6・長野博が『ウルトラマンティガ』(テレビ朝日系)で切り開いたウルトラ、ライダー、戦隊等の特撮路線だ。ネットに写真を使用できないことなどが、ジャニーズを起用する際のネックになっているとうわさされるが、今どきネットの写真掲載不可なんてまかり通る時代じゃないことに、事務所はそろそろ気づいてほしい。
それから、本格的に開拓してほしいのは、NHK朝ドラ枠。かつては『青春家族』にSMAP・稲垣吾郎が出たり、『あぐり』に生田斗真、『てるてる家族』に関ジャニ∞・錦戸亮が出たりしていたが、『芋たこなんきん』でヒロインの父親役にTOKIO・城島茂が出演して以来、ぷっつり途切れてしまっていた。これはジャニーズが出ている関係でDVD化できなかったためなどと、一部でうわさされていたが、真偽はともかく、完全に付き合いがなくなったかに見えた朝ドラとジャニーズとの関係が、『純と愛』の相手役・風間俊介で復活した意義は大きい。
さらに今後開拓してほしいのは、固定ファンを確実にとりこめる、安定のテレ朝二時間枠や刑事ものだ。これまでも「刑事役」としては、V6・イノッチ(井ノ原快彦)が出たり、2014年の新春単発ドラマにはタッキー(滝沢秀明)、Hey!Say!JUMP・高木雄也の出演が決まっていたりする。この新たな鉱脈を広げるには、「ジャニーズのドラマ」ではなく、ベテラン勢に囲まれ、あくまでジャニっぽくなく、「脇で爽やかな若手刑事を演じられる人材」が必要だ。そうした「刑事枠」に期待したいのは、Hey!Say!JUMP・中島裕翔。舌足らずなのは難点だが、端正で品のある顔立ちと長身、そして何より、刑事に欠かせない「トレンチコートが似合う」ところは、他事務所の俳優たちに引け
をとらないと思う。良い家庭で育って、勉強も真面目にしてきた、ちょっと頼りない、ゆとり世代の後輩刑事役なんてピッタリだと思うし、どの刑事モノにも枠がありそうだ。
ちなみに、中島裕翔は大ヒットドラマ『半沢直樹』大阪編(TBS系)で、半沢の後輩・中西英治を演じた際に、「ジャニーズだと思わなかった」「あんなに演技うまいのにジャニーズなのか!」といった声がネットで続出していた。「ジャニーズっぽくないけどイケメンのジャニーズ」の活躍の場はかなりある気がする。
ジャニーズ事務所全体では、今やブサイク・自虐売り・苦労売りが真っ盛り。でも、こうしたノリが主流になったら、「ジャニーズなのに○○」が通用しなくなる。また、ドラマの中に「ブサイク」枠があったとしても、それは小劇団系のキャラの濃い、演技のうまい人に演じてもらった方が良いだろう。そんな中、「見た目は正統派イケメンだが、長身でジャニーズっぽくない」のは、実はジャニーズ俳優枠では新ジャンルじゃないだろうか。
これからはジャニーズドラマじゃない作品の脇に、何食わぬ顔でしれっと紛れこみ、「ジャニーズ、オワコン!」と声高に叫ぶ人たちの目を欺き、「イケメン」と思わせた上で「実はジャニーズだった!」作戦を進めてほしい。そして、他事務所とのつながりを持ったり、大御所に気に入られたりして、のし上がっていってほしい。単独で数字をとれる知名度や主役を張れる演技力がなくても、「気づいたらジャニーズ」路線、新たな鉱脈としてアリだと思う。
(田幸和歌子)