サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビューラブママが読者を集約しない理由 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」12月号 「I LOVE mama」が読者の生活状況にツッコまない、ふか~いワケ 2013/11/17 16:00 女性誌速攻レビューI LOVE mama そして、その後に続けて「手に職をつけてワーキングママになる!!」という企画が掲載されています。読者の例がいくつか紹介されているのですが、介護福祉士の資格を取って月25万円稼ぐという人、100万円かけてネイリストの資格を取得、自宅でプチサロンを開業したものの、ちびコもいるので月給6,000円程度という人、資格はないけどフリマサイトに趣味のスマホデコを出品し月2万円稼ぐ人などさまざま。「趣味を生かして……」なんて選択肢が出てくる時点で、本当に「ワーキングママになりたい」と思っているのか疑問を感じます。 ■ダイソー斬りの意義は意外と深い 今月号を読んで浮かび上がってきた読者像は、こんな感じ。「デキ婚して結婚式は挙げなかったけど、100均でコツコツ節約して、今マイホーム購入を検討中。お小遣い稼ぎに、趣味を生かした仕事ができたらいいなぁ。でも、ちびコを保育園に預けてまで『仕事したい!』とは思わないな☆ という地方在住の20代主婦」。「I LOVE mama」では毎号ダイソーやしまむらをフル活用し、光熱費等もアイデアを振り絞って徹底的に節約してはいるんですが、実際はかなり豊かな生活を送っている女性をターゲットにしているんですよね(10月号のアンケート結果でも、世帯収入のボリュームゾーンは501万円以上で36.7%)。 もちろん、個々の読者を見ればいろいろな方がいるはずですし、「豊か」の基準をどこに持ってくるかによっても感じ方の違いはあるかもしれません。都心のマンションを所有しているわけでもないし、ブランドスーツを着ているわけでもない、子どもを私立小学校に入れるわけでもなく、自らもキャリアを持っているわけでもない。でも、それとはまた別の豊かさを感じます。 地方の夫婦だと「実家の敷地が広いので、そこにマイホームを建てた」「両親が近くにいるので、子育てや家事を助けてくれる」「夫婦とも実家の家業を手伝っている」といった、さまざまな意味でゆとりある生活を送っている話をちらほら聞きます。「I LOVE mama」読者が、それらのパターンに当てはまっているのかどうかはわかりません。なぜなら、「I LOVE mama」では、夫がどんな経歴でどんな仕事をしているのか、親の援助はどのくらい受けているのか、自分自身はキャリアを求めたいとどこまで真剣に思っているのか、そういった詳細な背景はいつも明かされることがないからです。そして、そこを明かさないのは、「I LOVE mama」の見識だと思います。「I LOVE mama」読者には少なからずシンママや“夜のちょうちょ”という肩書を持ち、望む望まないにかかわらず節約したりちびコを預けたり働いたりしなければならないママもいるからです。 たまにデキ婚に至った経緯などを振り返る企画はありますが、今現在の生活については深くツッコまない。そこにツッコんでも、そこからこぼれてしまった読者の嫉妬や焦燥感をかき立てるだけで、いいことがないと判断しているのかもしれません。ツッコむのはダイソーの商品だけ。「I LOVE mama」は、「節約」「お買い得」という共感を呼びやすい魔法の言葉でもって、「ウチらの味方」という姿勢を保ち続けている。でも、今月号はそのほころびがチラリと見えてしまったようで心が揺れました。 (亀井百合子) 前のページ12 最終更新:2013/11/17 16:00 Amazon I Love mama (アイラブママ) 2013年 12月号 [雑誌] ラブママの「豊かさ」の方がシンプルなのかも 関連記事 家購入、子どもは東大に……「I LOVE mama」の堅実で最先端な人生設計「働くママになりたい」という憧れでデコる「I LOVE mama」WM特集「I LOVE mama」から読み解く、自己評価の低さと早婚の因果関係「幼児にスマホはNG」なんて正論は求めていない! ラブママの子育て相談「流行の後追い」より「現状確認」の意味が強い、ラブママのファッションページ 次の記事 怪しさ満点「脂肪ケア」サロン潜入 >