サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー早婚と自己評価の低さの関係 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」9月号 「I LOVE mama」から読み解く、自己評価の低さと早婚の因果関係 2012/07/22 17:00 女性誌速攻レビューI LOVE mama 「I LOVE mama」2012年8月号(インフォレスト) 姉さん事件です! “産後10カ月で26kgダイエットに成功”でおなじみの白戸彩花ちゃんが、第2子出産をきっかけに18kgのリバウンドですって! 今号から本格復帰の白戸さん、よくよく見れば全体的にぷにょっとしていなくはないですけど、体重50kg台が許されないのがラブママの世界。ということで今月から連載「白戸彩花です!産後ダイエット始めます!」がスタートしました。ふくれっ面の白戸さんの背景に、白戸さん自身がしたためたと思われる「デブ」「チビデブ」「肥満」「醜い」「着れる服あんの?」「豚」という恐ろしき呪詛の書が無数に貼り付けてあり、かなりのインパクト。26kg痩せて、18kg太って、さらにまた10kg減を目指すという、日本のC・アギレラこと白戸彩花ちゃんのダイエットは要チェックでございますよ! <トピックス> ◎白戸彩花です!産後ダイエット始めます! ◎薄くてもデカ目で盛れてる顔になりたい! ◎美ママの決断 離婚が頭をよぎった瞬間 ■ラブママの一般化って誰が望んでるの? どこぞの部族の祭祀を思わせるような、顔面キャンバスをフル活用した盛り盛りメイクも今は昔。今月のメイク特集「薄くてもデカ目で盛れてる顔になりたい」を見て、さらにそれを実感しました。リードには「今やゴリゴリメイクは流行おくれ!」という文字。 まず扉ページの、のだはな(野田華子)ちゃん。2010年4月号と現在のビフォーアフターにびっくりです。上下にびっしりのつけま(つけまつげ)、漆黒の囲みラインから一転、アイラインは細めで下ラインはシャドーのみ、二重が見えないほどびっしりだったつけまは束感のみ、下まつげはマスカラのみ! その代わり涙袋はぷっくりと強調させています。うわぁ……お人形フェイスのだはなが、リアルな人間になっている……。 この流れは、のだはなちゃんに限ったことではございません。多くの美ママたちがアイラインで詐欺ることをやめ、下つけまをやめ、もちろんアイプチもアイテープもメザイクも登場しません。ツリ目、アーモンド目、タレ目と、目の形ごとに薄盛りデカ目の作り方を指導していますが、すっぴんとメイク後に大きな変化はなく、はっきり言ってこれでは持って生まれた素材勝負。思わず「日菜あこ姐御を出さんかいっ」と甲子園ライト側スタンドに通い続けて50年のオッサンみたいな気持ちで叫んでしまいましたよ。この特集にあこ姐さんは不参加。整形並みのイメチェンでおなじみ、日菜あこちゃんが出ないデカ目特集なんて、ジェームス小野田がいない米米CLUBみたいなものですよ。あこちゃん、「I LOVE mama」の象徴としては必要でも、実際の企画としてママたちの参考にはならなくなっているのか……。時の流れは残酷です。 ■「DVでも好き」の正体は、安っぽいヒロイン願望! 今月号は読み物ページが充実しています。「美ママの決断 離婚が頭をよぎった瞬間」は単なるツラバナ(辛かった話)を越え、夫婦とは? 家族とは? を考えさせられる良企画。ラブモを含む美ママ10人の「別れた理由・別れなかった理由」がつづられています。片手にケチャップを握りしめ、中身を噴水のようにぶちまけているのだはなに、小さなガラスの靴を手のひらに乗せ、憂い顔のシンママ、仲本沙織ちゃんと写真もシュール。中身はそれ以上に壮絶です。 登場するのは5人の別れたママ、5人の別れなかったママ。高校在学中に妊娠・出産したのだはなは、フルタイムの仕事と家事・育児の両立に追い詰められ、何も協力しようとしない夫との間に徐々に亀裂が入ったそう。「ある日、夕飯でオムライスを作って並べたの。『遅いしオムライスの気分じゃない』そんなパパのひと言でプッツン。手元にあったケチャップをパパにぶっかけて『ふざけんな!』って」。あぁそれでケチャップね……。それからもけんかが絶えず、別居へ。その後ラブママでモデルとして活動を始め、仕事は退職。別居により反省した夫からの謝罪もあり、再び同居とあいなったそう。この場合、「ラブママはかすがい」と言うべきでしょうか。 元夫に日常的に暴力を振るわれ「でも親の反対を押し切ってまでした結婚。殴られるなんて言えなかった。誰にも言ってはいけないって思ってた」というのは仲本沙織ちゃん。別れを決意したのは「ちびコのことを抱いている私のことを殴るカレに『○○を抱いているときは殴らないで!!』と言うと『○○には当たらないように殴るよ』って。“あぁもうダメだ”そう感じた瞬間だった」。 ハッピーエンドはのだはなちゃんくらいで、別れたママも別れなかったママも、現在進行形で夫婦・家族の悩みを抱えているようです。いや、逆に「別れなかったママ」の話に、その根の深さを感じます。結婚してもキャバクラ通いがやめられず、ケンカが絶えない中で妊娠。別れて1人で育てようと決心するも、夫は出産に反対。「『経済的に厳しい』『まだ遊びたい』『おろせ!』って首をしめられたこともあった」のに離婚しなかった26歳ママ。夫の実家で義理姉家族との同居をきっかけに、ストレスからマリー・アントワネットのように白髪、さらに円形脱毛症になった19歳ママ。夫に窮状を訴えるも「板挟みで俺の方が辛いんだ」と逆ギレされる始末。だけど別れない。「給料をすべて家族のために使うのがバカらしい」という理由で夫側から別れを切り出されるも、ちびコのために耐える日々を送っていた21歳ママ。別れを決意し、双方の両親を交えた話し合いの途中に夫の父が「そんなヤツに育てた覚えはない!」とキレ、その怒号に怯えた夫が「もう一度だけチャンスをくれ」と泣きついてきた。呆れた、だけど別れない。みなさんこんな調子です。 別れたママたちの「多額の借金」「中3と浮気してた」「ホストをしていた彼の客と3人で同居」というアリエナイ理由に比べたら、別れなかったママたちの体験はまだある話かもしれません。しかし、子どもを産んで急激に「母」になる女と、いつまでも「父」の自覚が持てない男というこの対比は、家族の根底にいつも横たわっている問題。社会化された男女であれば若干そのコントラストは弱まるものの、10代同士の結婚が多いラブママ世代では、ほぼむき出しの状態で2人を襲います。 「DVだって頭では分かっていたけど、殴られても好きだった人」「彼が全部悪いとは思っていない。理由がなきゃ喧嘩もしないし、きっと手もあげない」「子どもにとってはたったひとりのパパだし、子どもの幸せが一番」と、ママたちの自己評価の低さも気になります。別れを選択したあるママの「生活のためにキャバクラで働くことにしたの。今まで離婚に踏み切れなかった理由は、カレへの愛もあるけど、一番は金銭的な不安だった。働きだして“自分で生きていける”という自信がついたのが、離婚を決意したとき」という言葉に、真理がある気がしました。 仕事は大事ですね。人間らしい生活を送るために、本当に大事。「子どものために(別れない)」というのは、翻って「自分のため」だったりしますから。久々にガツンとしたラブママのツラバナページ。幸せばかりでは語れない結婚生活。子どもを作る前に、考えなければならないこと、見極めなければならないことの多さをラブママは教えてくれます。 (西澤千央) 最終更新:2012/07/22 17:00 Amazon 「I Love mama」 以上、西澤千央プレゼンツ「ザ・ノンフィクション」でした! 関連記事 読モが増えて個性が埋没!? 「I LOVE mama」カルチャーが一般化ヤンチャ懺悔から読み取る、「I LOVE mama」読者母の毒母な一面「美父」と書いて「イケパパ」! "ちびコ愛"で過去を上書きしたい男たち「便座カバーは靴下」! 鬼の節約でマイホームを切望するラブママの実態「下まつげは田植えの要領で」魅惑の世界が広がる「I LOVE mama」 次の記事 美容鍼の可能性に迫る >