「DRESS」のバブリーなNY特集を吹き飛ばす、林家正蔵のイケてない一言
まぁ、セレブなバリキャリよりも、もっと現実的な収入と労働条件で働いている人の方がパイとして大きいのは編集部もわかっているはずなので、そういう読者に向けて「40代だけど、がんばろー!」とエールを贈る企画なような気もします。ただ、「ブロードウェイで観劇しましょう」ってのは、さすがにハードルが高めなのでは? 読者の英語力は大丈夫なのかしらと思ってしまいます。昔筆者が、『オペラ座の怪人』を見に行った時は、「スゲー豪華!」と思いながら寝ましたよ。大事なことになると歌われちゃうこともあり、話がわかんないんですよ。
もちろん、誌面で紹介されているニューヨークガイドの内容は最新版で、「総力挙げて撮ってきました!」という意気込みは伝わるんだけど、目新しさは感じません。何しろ「お金かけました」ということが伝われば良しとされる定番・ニューヨークだから。
■ちぐはぐな感が否めないラインナップ
またもややってきた卵活特集。「DRESS」とは、バリキャリセレブを大量に掲載&ニューヨーク企画で読者に夢を見せてくれる雑誌なのか、それとも卵活特集で読者に現実を突きつけさせる雑誌なのか……果たしてどっちなのでしょう。
ここ最近、「女性向けクールビズ」とか「子宮頸がんワクチン」とか「女性手帳」とか、「女なら、考えなさい」と迫られるようなトピックばかりが世に溢れているように思います。夏はクーラー病対策に頭を悩ましているのに、何がクールビズだっつーの。子宮頸がんだって、原因のウィルスを運んでくる男をポチャンと滅菌しなさいよ。女性手帳はなくなったけど余波はしっかり残っていて、雑誌では卵活特集大盛況。なんだか「DRESS」も世間に迎合しきってる感があります。
で、せっかくニューヨークに行くなら、せっかく卵活特集するなら、それらをミックスさせて、「アメリカの晩婚卵活事情」とか、読んでみたかった。より効率を好むアメリカでは、シングルマザー、卵子提供、卵子保存などなど、日本よりも一般化してそうだし、最先端の情報がたくさんありそう。買い物や食い物なら、わざわざニューヨークに行くべき理由としては押しが足りない。英語のわからないミュージカルより劇団四季でいいかもよ? でもニューヨークにしかない医療や美容の技術を受けに行くのなら、バリキャリアラフォーが時間とお金をかけて渡米する理由があったように思うのです。
バリキャリセレブ路線で押すか、一般アラフォーの経済力まで降りてくるか、「DRESS」自体がどちらにしようか決めかねているフワフワしたところが、全体的に感じられます。ってことで、やっぱりこのニューヨーク特集は、米倉さんへのご褒美だったんだなと思うわけですよ。