「結婚とはあきらめである」を体現する、市川海老蔵の良妻・小林麻央のB級力
独身女性にとっては、海のものとも山のものとも知れない結婚――。世間をにぎわす芸能人夫婦から見えてくる、さまざまな結婚・夫婦のあり方に、“結婚とは何ぞや”を考えます。
【第4回】小林麻央&市川海老蔵
婚活中の女性は、理想の相手を探し続けるという意味で誰もがマニアである。顔が良くなければダメというマニアもいれば、プロ野球選手と結婚したいとひたすら合コンを繰り返すマニアもいる。派閥は無数にあるが、その一角を成すのが「名門マニア」の女性である。
伝統芸能を生業とする家は、「名門」の代表格と言えるだろう。男は家名を守るため芸に励み、女は男が仕事に集中できるよう雑事を背負い、家の存続のために後継ぎ(男子)を産む。夫の不祥事や女遊びには目をつぶり、もしそれが露見しても「私が至らないせいで」と妻が頭を下げて回る。このような「女の自己犠牲」にうっとりできる「名門マニア」にとって、歌舞伎界きっての名門、市川家の御曹司・海老蔵と結婚した小林麻央は憧れの的であろう。
芸能界やタカラジェンヌ、女子アナなど、女性有名人が梨園に嫁ぐことは珍しくないが、梨園の妻になりきれず、離婚の道を選ぶ夫婦もいる。これは名門の家庭に嫁ぐには、美貌や能力と言う条件を超えた「資質」があるということではなかろうか。今回、麻央を例に、名門向きの女性について考えてみたい。
まず、海老蔵・麻央夫妻の来し方を振り返ってみよう。2009年、盛大な披露宴を上げ、晴れて梨園の妻となった麻央だが、ここまでの結婚生活は順風満帆とは言い難い。まずは、海老蔵が元暴走族のリーダーとトラブルを起こし、大ケガを負う「海老蔵暴行事件」に見舞われる。海老蔵は被害者だが、事件が検証されるにつれ、海老蔵の横柄な態度(テキーラを灰皿に注いで飲ませる)などがクローズアップされ、梨園のプリンスのイメージは失墜した。また、謹慎後に舞台復帰を果たし、第一子を授かるも、子どもの性別は女の子であった。その後、実父である12代目團十朗が死去。暴行事件も、子どもの性別も、舅の死も麻央に直接の原因はない。が、「夫の不始末は妻の不出来」と考える世界であるので、一部のひいき筋からは、麻央の監督責任を問う声や、疫病神説まで飛び出した。追い詰められた麻央だが、今年には待望の長男が誕生し、さらに海老蔵の主演映画『利休にたずねよ』がモントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞受賞の栄誉に輝いた。今後の海老蔵の活躍によっては、梨園一の賢夫人と呼ばれる可能性も大いにあるだろう。
ところで、海老蔵と麻央の結婚は、世間にとって衝撃的だった。プレイボーイの海老蔵がわずか5カ月の交際で年貢を納める決心をしたということもあるが、より衝撃的だったのは、相手が麻央だったということである。米倉涼子、佐藤江梨子、高岡早紀、宮沢りえ……これまで海老蔵が浮名を流した女優たちは、個性的なスレンダー美女ばかりである。特に長年交際が報じられ、結婚がうわさされた米倉涼子は、ドラマの撮影時に1個5,000円の高級弁当を100食も差し入れした逸話を持つ豪快な姉御である。縦ロールの巻髪、ミニスカート、勝負衣装は白いワンピースの麻央とは、真逆の存在と言えるだろう。