角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第47回

インターのサマースクール、幼児を預かる施設としての立ち位置は微妙?

2013/08/03 16:00
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サマースクールで製作したものです。紙皿、ペットボトルの蓋、ハンガーなど身近なものを利用していますが、クオリティー高いです

 保育園を作ったきっかけは娘のためだったのですが、娘が保育園を必要としないお年頃になりました。駒沢の森こども園には、1歳から小学2年生のお子さんが通っているので、決して“幼稚”ではないのですが、娘にとっては刺激のない毎日のようです。それだけ娘が成長したということで喜ばないといけないのですが、うーん微妙。娘のためを思って、必死で素晴らしい園(手前味噌ですが、自信アリ)を作ったのに、「とっとと早く帰って遊びたい」「17時になったらすぐ園を出たい」と言い出しています。夜、用事のため娘を保育園に預けていたら、母に「おばあちゃん、すぐ迎えにきて」と泣きながらキッズ携帯で電話をする始末。後に「ウソ泣きしちゃった」と言っていましたが、もう保育園では限界があるようです。

 園では小さい子の面倒をよくみているし、本人も面倒をみるのが好きだと言っていますが、幼児教室など外の生活をよく知っている娘としては、窮屈なのかもしれません。言い出したタイミングを考えると、幼児教室での模試で某難関校が十分に合格の見込みがあるA判定を取ってからなので、もしかしたらもう受かって、勝手に小学生になった気分なのかもしれません。

 その打破策として、近所のインターナショナルスクールのサマースクールに放り込んでみました。駒沢公園近隣には当園以外に2つスクールがあり、その2つともインターナショナルです。ザ・日本人の娘ですが、問い合わせの際「サマースクールは英語が話せないお子様でも楽しめる内容となっております」と言っていた、Kというところに通うことにしました。当園が紹介された雑誌「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)にも載っていたので(思いっきりミーハー)、まあいいかと。雑誌の影響力を自分で体感しながら、スクール選びをしたわけです(笑)。

■認可外でもない保育園に入れる親もいる現実

 スクール初日、参加者全員日本人という驚愕の実態を知りました。これじゃ我が駒沢の森こども園の方が、外国人・ハーフ率が高いじゃないか!? やっぱり名門清泉インターナショナルスクールのサマースクールじゃないと外国人には会えないのかも。気を取り直して、送り出しました。お迎えに行くと、今日の保育内容について外国人先生から英語で説明を受けました。保護者全員が理解しているとは思えません。日本人スタッフ(英語の話せる幼稚園教諭)が2名いましたが、最低限しか日本語を使わないそうです。

 娘は「超おもしろかった」と言って大変喜んでいて、それが4日間続きました。お友だち同士とは日本語で話していて、外国人先生のお話は「ほとんどわかんないけどね」とのことでしたが。幼稚園とも保育園とも違うスクールは私にとっても新鮮で、特にクラフトの時間での製作物はアイデアが素晴らしい! すぐにうちの保育士たちに見せ、刺激を与えてきました。遊び方も豪快で、コーラを振ってわざとペットボトルからあふれさせて「volcano(ボルケーノ=火山)」という単語を覚えさせたり、公園の滑り台にジョウロを持ち込んで、「スプラッシュマウンテン」ごっこ。こんなことが毎日続けば、かなりユニークな子どもになるのではないでしょうか。


 ただし、“幼児預かり施設”と考えると、疑問は多いですよ。保育園経営者の私としては、「二方向出口が見当たらない」「契約書はなく、苦情があった場合の相談担当者や代表者の名前がどこにも書いていない」などいくつかの点が気になりました。たぶん、東京都の認可外施設としては届け出ていないと思います。一応、美容院に併設してあるようなキッズルームでさえ届け出ないといけないことになっていて、短時間お預かりする幼児教室も届け出の対象になっています(お受験のお教室も含まれますが、届け出ているとは思えないですが……)。しかも、サマースクールは、1日5時間、うちの子は4日間コースでしたが基本は5日間預かるわけですからね。そんなこと疑問に感じているのは、同業者の私ぐらいだと思いますので、いままで問い合わせやクレームはきていないのかも(笑)。

 以前、おばあちゃんの原宿として有名な巣鴨にある某保育園を遠目に見て「あれ?」と思う点があり、休日の保育園に行って回り込んで観察したことがありました。その保育園は、住居とテナントが一緒になっているビルに入っており(これは問題なし)、外階段は確認できましたが、内部には下に降りる手段として、エレベーターしか確認ができなかったのです。エレベーターは避難経路として使えないのでカウントされません。園の出入り口は一方向しか見当たらないないし、窓にオリローのような避難はしごも見えません。また、保護者以外から見える場所に、子どものフルネームが書かれている製作物がたくさんありました。認可外保育園は個人保護法の問題からそういったものを貼らないよう指導も受けています。たぶん、認可外の届け出は出していない施設でしょうね。

 いろいろ書きましたが、今回のサマースクールは子どもにとって、私にとっても大正解でした。娘は気分が変わったせいか、わがまま病が治りました。めでたしめでたし。

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バン ギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では5歳の愛娘の子育てに奮闘中。

最終更新:2013/08/03 16:00
『子どもをインターナショナルスクールに入れたいと思ったときに読む本』
インターの実力をわかってる親自体いなそう……