スクープインタビューで厳しい市場を生き抜く、米老舗5誌
セレブからの信頼が厚いことから、スクープ・インタビューが多い。大人気ドラマ『デスパレートな妻たち』のスーザン役で知られるテリー・ハッチャーが子どもの頃に性的虐待を受けていたことを告白したり(06年)、ジェニファー・アニストンがブラッド・ピットと離婚後初のインタビューに応じたり(05年)、マーサ・スチュワートが出所後に初めてインタビューを受けた(05年)のも同誌であった。インタビューのほかにも、96年にタバコ産業の不正を調査したスクープ記事は、99年に映画化された。アル・パチーノ、ラッセル・クロウ主演の『インサイダー』がそれである。
同誌は、1913年に創刊されたものの世界恐慌の煽りを受けて廃刊になったメンズ・ファッション誌「Dress and Vanity Fair」のリバイバル版として、83年に「ヴァニティ・フェア」に改め再出発。「VOGUE」「GQ」などスタイリッシュな雑誌を手がけるコンデナスト・パブリケーションズが発刊。月刊誌であり、現在の発行部数は123万部と発表されている。
■「ELLE」
世界的な女性ファッション誌として人気を誇る「ELLE」。デザイナー発掘オーディション番組『プロジェクト・ランウェイ』の公式パートナーになってから業績を伸ばし、昨年、渋谷ファッションブランド「MURUA」が、同誌の人気ファッションエディター、ケイト・ランフィアとコラボすることを発表。ファッション界には欠かせない雑誌となっている。
表紙は自立した女性セレブが飾っており、彼女たちの特集インタビューも、ウーマン・パワーを感じられるものが多い。トム・クルーズと離婚する直前のケイティ・ホームズが「トム・クルーズの妻ではなく、自分自身として活躍したい」と告白、ニッキー・ミナージュが「非配偶者間人工授精するの。セックスしなくて済むから」と激白している。ほかにも、ブリトニー・スピアーズと婚約中だったジェイソン・トラウィックに独占インタビューをするなど、女性が聞きたい内容のインタビューが多いのが特徴だ。
世界中で展開している同誌は、45年にフランスで創刊。世界中に2,100万人の読者を持ち、毎月約700万冊を販売していると発表されている。インテリア誌「ELLE DECOR」、料理誌「ELLE a Table」など姉妹誌も好調。電子版「ELLE ONLINE」は、ユニークユーザー2,300万人を誇っている。
■「PLAYBOY」
男性の知的好奇心を満たす娯楽雑誌として、長年にわたり世界中で愛されている「PLAYBOY」。エンタテインメント、政治、時事問題など幅広くカバーしているのが特徴。プレイメイトらゴージャスな美女のヌードだけのエロ本だと思う人が少なくないが、実はニュース雑誌に負けないほどの濃い内容の記事も掲載されている。
時間をかけて行われるインタビューは特に好評で、歴史に残るインタビューも少なくない。マルコム・Xが、黒人を弾圧する白人に嫌悪感をむき出しにしたことで論議を醸した1963年5月号、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、非暴力主義を貫きながら人種差別撲滅を目指すと熱く語った65年1月号が知られている。両者とも聞き手は『ルーツ』の著者アレックス・ヘイリー。
ビートルズ解散後にジョン・レノンがオノ・ヨーコを従えて主夫宣言したインタビューや、ギャングスタ・ラップのバックグラウンドや自身の犯罪歴を赤裸々に語ったスヌープ・ドッグのインタビューも大きな話題となった。
アーサー・C・クラークら著名な作家による短編小説を掲載するなど、インテリ雑誌としての面も持つが、やはり同誌の最大の売りは、厳選された若い女性たちによるグラビアヌードである。女性の美を最大限に生かしたセンスのよい写真が多いため、プレイメイトを目指す女性たちが多い。パメラ・アンダーソンやアナ・ニコール・スミスら、同誌を踏み台にして有名人へと成長する女性もいる。また、セレブがヌードを披露する場として選ぶのも圧倒的に「PLAYBOY」であり、これまで数多くの女優やモデルたちが脱いできた。