サイゾーウーマンコラム義母の介護で役に立たない夫 コラム 介護をめぐる親子・家族模様【第7話】 「母はお姫様」トンチンカンな介護をする夫兄弟に呆れる嫁のため息 2013/03/17 19:00 介護をめぐる家族・人間模様 そう。いつまでも親が元気でいるわけではない。義父母が80歳を過ぎた頃から、だんだん足腰が弱ってきた。そして物忘れが目立つようになっていた義母が、1年前に認知症だと診断されたのだ。 「主人たちは、大好きなお母さんが認知症やと認めたくなかったようで、ずっと『そんなはずあらへん。ただの物忘れや』って言うてましたけどね。でも一度ガスの火を消し忘れて、鍋に大きな穴を開けたと聞いてさすがに怖くなったようです。義父は絶対家を離れたくないと言ったので、義母だけ老人ホームに入居させたんですわ」 もちろん「お母さん大好き」な息子たちが、母親を老人ホームに入れることをすんなり受け入れるわけはなかった。 「特にかわいがられていた一番下の義弟は、『自分が家に戻って介護する』って言うてましたけどね。できるわけあらへん。夫婦とも大企業の管理職で、出張も多いし。奥さんの実家近くに家を建ててるから、子育てと両立できてるようなもんですよ。『実家に戻るんなら、離婚する』ってお嫁さんに言われたらしいですわ」 真ん中の義弟は弁護士。関西に住んでいるとはいえ、実家からは通えない場所に事務所を開いている。そういう大原さんの夫も大企業の幹部なのだという。立派な肩書の兄弟だ。 「すべて義母の教育のたまものですわ。主人の兄弟はみんな京大卒。息子たちの教育に成功した上、『お母さんが絶対』という教育にも成功してますからね」と大原さんは皮肉るが、確かにそのとおりかもしれない。 ■ホームにいる母親に10万円の「お小遣い」 そのままお母さん大好きな息子たちに介護を任せておけば楽だったのだろうが、大原さんにとっての誤算は思わぬところにあった。 エリートの息子たちは、介護が始まると何の役にも立たなかったのだ。 前のページ123次のページ Amazon 『圧倒的な君臨』 関連記事 「私のベッドくらい置ける部屋があったわね」母の言葉が聞こえないふりをした「小さな石ころの波紋ですべて崩れる」義母からの電話に怯える長男の嫁「あとは死ぬだけの母親がうらやましい」独身の一人息子が見た介護「廃人になっても家にいられるよりはマシ」父との食事が苦痛となった「母が家庭を壊した」母親の死期を知った息子が語った、屈折した愛