相次ぐ米子ども向け番組の事件、今度はチャーリー・ブラウンの声優が逮捕!
世界的な人気を誇るコミック『ピーナッツ』のアニメーション版で、“世界で一番有名なビーグル犬”スヌーピーの飼い主、チャーリー・ブラウンの声を担当していたピーター・ロビンスが、ストーカーや脅迫の容疑で逮捕された。アメリカではここ数カ月の間、国民的子ども向け番組の関係者のスキャンダルが相次いで発覚しており、ネットでは「呪いがかけられているのではないか」という声まで上がっている。
昨年11月、『セサミストリート』のエルモの声優兼操り人形師ケビン・クラッシュが、過去に何人もの少年たちと性的関係を持ったとの疑惑が持ち上がり、番組を降板。以来、毎月のように子ども向け番組関係者によるスキャンダル事件が報じられている。
12月には『ピーナッツ』の生みの親、チャールズ・モンロー・シュルツが1970年代に浮気していた23歳年下の愛人に贈ったラブレターやスヌーピーの絵などがオークションに出品され、チャールズの子どもたちが大激怒する騒ぎに発展。今年に入ってからも、『バーニー&フレンズ』のクリエーターの息子が近隣住民を銃殺しようとしたという容疑で逮捕されており、世間をうんざりさせている。
当分の間は何もないだろうと思われた矢先の今月23日。またもや『ピーナッツ』関係者絡みのスキャンダルが発覚した。不器用で何かとついていない“アメリカ版のび太”のような少年、チャーリー・ブラウンの声を演じていたピーター・ロビンスが、交際している女性と、彼女に豊胸手術を施した美容整形医師に対する、ストーカー行為と脅迫容疑で逮捕されたのである。
地元警察によると、ピーターは昨年12月31日、交際しているショウナ・ケルンに豊胸手術を施したローリー・サルズ医師を脅迫。豊胸手術の費用を払ったのはピーターであり、仕上がりが気に入らなかったなどのトラブルが生じたとみられている。よほど頭にきたのか、ピーターはショウナに対しても「オレはオマエも殺しに行くからな。隠れていた方がいいぞ」という脅迫的な留守電を複数残しているとのことだ。
前科はなく法的トラブルを起こしたことはないというピーターだが、1月13日に、滞在していたサンディエゴのホテルで飲食した代金の支払いをピーターが拒否しているとの通報を受け、逮捕に駆けつけた警察官に対しても「殺してやる」と言い放ったとのこと。
計2件のストーカー行為と10件の脅迫容疑で逮捕状が出されたピーターは、その後メキシコに行ったのだが、20日に帰国したところを逮捕され、拘置所に入った。23日には罪状認否が行われ、ピーターは無罪を主張。検察官は、ローリーとショウナが「ピーターは、やけくそになっている」「失うものは何もなく、危険極まりない」と脅えていると主張し、保釈金を55万ドル(約4,980万円)に設定するよう求めたが、前科がないことから、保釈金は5万ドル(約450万円)に決定。ピーターはすぐに5万ドルを支払い、釈放されたと報じられている。
ピーターは7歳の頃から子役としての活動を開始。9歳の時にチャーリー・ブラウンの声役として声優デビューを飾り、60年代後半にリリースされた『ピーナッツ』のアニメーションすべてにチャーリーの声役として出演した。ピーターの感情が込められた「グッド・グリーフ(なんてこったい)」や「ア~~~~グ!(叫び声)」というチャーリーの口癖は、子どもたちの間で大流行。『A Charlie Brown Christmas』(65)はクリスマスには欠かせない子ども番組として毎年繰り返し放送されるようになり、多くのアメリカ人にとって、ピーターの声はなじみのあるものとなっている。
『ピーナッツ』の声優は子どもが担当することになっていたため、ピーターは14歳で番組を降板。その後も子役として活躍したピーターは、ラジオ番組の司会者を経て、成人してからは不動産業を営むように。中学時代はチャーリー・ブラウンの声を演じていたことでいじめられたこともあったというが、高校時代は逆に女性からモテるようになり、とても良い思い出となっているとのこと。求められれば快くインタビューにも応じ、2008年にはサンディエゴで開催された、漫画などの大衆文化に関するンベンション「コミコン」に、『ピーナッツ』の声優仲間やプロデューサーと共に顔を出して話題となった。
有罪になれば最高で9年の禁錮刑が科されると伝えられているロビンだが、そこまで重い刑は下らないだろうという見方も出ている。米紙「ワシントン・ポスト」によると、ロビンは末期の膵臓がんを患っているというのだ。穏やかな口調で知られるロビンが荒れているのは、どうにもならない病のため、投げやりになっているからかもしれない。
なんともいえない展開になりそうなロビンの裁判は、28日から行われる予定とのこと。世代を超え、子どもたちを楽しませてきたチャーリー・ブラウンの声を演じた彼が、どのように釈明するのか、注目が集まっている。