黒柳徹子を野獣と不思議ちゃんの二面性で魅了した、柔道・松本薫
1月11日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。ゲストはロンドンオリンピック柔道女子57キロ級金メダルの松本薫。世界の頂点に立つ、強い女性。間違いなく徹子の好みである。筋肉を触る流れになるのだろうか。そして松本といえば、なんといってもあの試合前の気合を入れる険しい表情。やはり徹子もそこが気になっていたようで、早速オープニングで、
「さあこれから試合、という時に今日のお客様はこのような顔をなさるので、野獣とか暗殺者とかと呼ばれてらっしゃるんです」
と、まずその表情の話題から入ってきた。それにしても、いきなり「暗殺者」呼ばわりとは。その一方で、「本当におかわいらしい」「かわいい」も連呼し、ギャップがとても気に入っている様子である。とはいえ、やっぱり「野獣」「暗殺者」の顔は気になるようで、オリンピックの応援に両親、祖母、4人のきょうだいが駆けつけてくれたというエピソードに触れ、
「なんかねぇアナタはもう、孤独な野獣だって思ってたんですけど」
どんな設定なんだろう。そして、
「あの顔は、どういうことでああいうことになったんですかね?」
と質問。これには松本自身、「ああいうこと(笑)」とウケていたが、その後も「野獣とか暗殺者とか言われてる顔は」「家族の人は、あの顔見て……もう慣れてるの?」「うちではああいう顔しないんでしょ?」「みんな怖かったって言うでしょ」と、何度となく顔のことを取り上げてくる。
そんな「野獣」な松本には、一方で不思議ちゃんの面もあるという。小学生の頃、「お母さんに手紙を書きましょう」という課題が出た時、普通であれば、自分のお母さんに書くところを、松本は、「ゾウのお母さん」なのか「ネコのお母さん」なのか、何のお母さんに対して書けばいいのかわからなくなり、結局クラスメイトみんなのお母さんに宛てた手紙を書いたのだという。徹子は、この話がたいそう気に入ったようで、
「そこでね、ゾウのお母さんっていうとこが、アタシもうすごい気に入って。あらかわいらしい、なんてカワイイこと考えるんだろうと思ってね」
不思議ちゃんエピソードへの理解力は、さすがトットちゃん。
「どんなに変わってるって言われたって平気よ」
と、なぜか励ましの言葉を投げかけていた。松本の不思議ちゃんぶりはその後も発揮され、家で家族とどんな話をしているかと言われれば、
「虫の話とか」
と答えたり、
「最近の目論見は、あの……『ガマガエル探検隊』なんです」
と言い出したり、ハイレベルな答えが続く。この、想定からはみ出してそうな答えの連発でも、ちゃんとトークが成り立つところは、さすが徹子さんだ。最後に、いつもは子どもにあげる髪に仕込んだアメを所望し、金色のアメ(色的に仕込んでいたのだろうか)を徹子の頭の中から出してもらった松本は大喜びだった。金メダルの横にアメを置いたことで、
「金メダルのところにアタシのアメちゃんも一緒に置いてくだすってアタシ、光栄ですわ」
と、徹子も大喜び。頭から出てくるアメを松本に不思議がられ、
「不思議ちゃんから不思議って思われて、本当にうれしいです、私も」
トットちゃんも、いってみれば元祖不思議ちゃんみたいなもの。結局、不思議は不思議を知る、不思議と不思議の見事な融合だったようだ。
(太田サトル)