初回視聴率6.2%の大惨敗も! ゴールデン昇格番組の勝ち組・負け組
昨年10月から今年の3月まで深夜枠で放送されていた『世界は言葉でできている』(フジテレビ系)が、10月24日からゴールデンタイムに進出した。視聴率の低迷により終了となった『はねるのトびら』の後番組としてスタートした同番組だが、初回2時間スペシャルの視聴率は6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、厳しい結果となってしまった。
「この番組は、『偉人の名言を超える言葉を創る』という企画で、“クイズでも大喜利でもないバラエティー番組”がコンセプトなんです。ゴールデンでは、小泉今日子が不定期レギュラーに参加するなど、一見豪華になった感じはあるのですが、もともとは、浅草キッドの水道橋博士やRHYMESTERの宇多丸、作家・西村賢太など、サブカル層が好みそうな出演者・ゲストが多く出ている番組。内容や出演者からして、完全に深夜向きで、食事をとりながら見るであろうゴールデンタイムには合わない番組だと思います。深夜にひっそり見る方が好きだったのに、ゴールデンに持って行ったのは“自殺行為”にすら思えますね」(同番組のファン)
近年のテレビ業界といえば、23時台や深夜枠で好評だったバラエティー番組がゴールデンに昇格するという流れが定着している。実際に現在、民放各局の中で遅い時間帯からゴールデンに進出した番組は20本近くもある。
「23時台でお試しして、数字次第ではゴールデンに昇進するという流れが、ここ最近の風潮。もともとは、知られざる人気番組をより多くの視聴者に届けようという特例でしたが、最近ではスタートの時点から『目標はゴールデン』と、昇進を前提に制作される番組も多くなりました」(テレビ局関係者)
しかし、ゴールデンに移動すると深夜時代とは内容が変わってしまうことが多いため、視聴者離れが進んだ結果、終了してしまう番組も少なくない。実際に視聴率が伸び悩み、終了を迎えてしまった番組といえば『みんなのアメカン』(日本テレビ系)、『飛び出せ!科学くん』(TBS系)、『くりぃむナントカ』(テレビ朝日系)など、例を挙げればキリがない。
そんな昇格した番組の中で、現在放送中で、視聴率の面からも負け組といわざるを得ないのは、通常放送が7~9%台の『超潜入!リアルスコープハイパー』(フジテレビ系)、10月18日放送のSPでは12.0%を獲得しているものの通常は一桁台中盤をウロウロしている『イカさま☆タコさま』(TBS系)、この秋からスタートしたものの6~9%台と一桁台を記録している『私の何がイケないの?』(同)など、二桁台を取れない番組が危険ラインだ。
その一方で、ゴールデンに進出した後も成功した勝ち組も存在する。10月14日の放送では15.5%を記録した『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)や、毎週20%近い高視聴率を獲得している『サザエさん』(フジテレビ系)の次枠で放送中の『ほこ×たて』は“サザエさん効果”も大きいのか、10月29日に14.4%を獲得。『ホンマでっか!?TV』(同)も、10月24日の放送で12.0%と数字が安定している。
民放各局の中でも、今年4月からの上半期で初のプライム帯(19~23時)視聴率1位を獲得するなど好調なテレビ朝日の番組では、10月29日放送の『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』が13.3%、その次の『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』は15.7%と高視聴率が続いており、相変わらず好調だ。両番組はゴールデン進出後に内容が変わってしまったため、深夜時代のファンからは不評を買っているが、ゴールデンでも新たな視聴層を獲得できているという点で、成功例といえるだろう。
「テレビファンから、最もゴールデンに進出しないでほしい番組と言われているのが、括りトークで人気の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でしょう。23時台の放送にもかかわらず、毎回10%以上の高視聴率を獲得していますが、ゴールデンに進出せずに頑張っている。その理由について、プロデューサー・加地倫三氏は、かつてインタビューなどで、同番組は『23時台で放送している価値を作り出した』と語っており、局側からゴールデン進出について『正式に要請されたことはない』と明かしていました。DVDの売り上げも好調ですし、テレ朝も『アメトーーク!』に関しては、“適材適所”だと考えているのではないでしょうか」(テレビ業界関係者)
深夜帯にウケた番組を安易にゴールデンに持ってきても、肝心の視聴者にソッポを向かれてしまっては意味がない。出だしは大コケとも言える先述の『世界は言葉でできている』は、今後、ゴールデンタイムの視聴者に受け入れられるのだろうか。注目していきたい。