サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「MORE」ぶっ飛んだプロポーズ企画 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「MORE」11月号 ミスは許さない! サプライズに憑りつかれた「MORE」のプロポーズ特集 2012/10/03 16:00 女性誌速攻レビューMORE 「MORE」2012年11月号/集英社 つい先日、胸元までのロングヘアーをばっさり切って話題となった蒼井優。今月の「MORE」では、40cmカットの舞台裏を大公開しています。題して「蒼井優さんの可愛すぎるフレッシュショート」。カットを担当した美容師さんいわく「コンセプトは“全体は端正に、部分は大胆に”」とのことですが、抽象的すぎて意味がよくわかりません。その点蒼井さんは、「シャンプーを使う量が減ったり、ドライヤーで髪を乾かす時間も短くなったり、ショートって環境にも優しいなって実感しています」と、ヘアカット1つに地球環境まで引っ張りだしてくるのはさすがです。巷では「十勝花子スタイル」などと呼ばれている蒼井さんショートですが、ご本人は大満足のようなので、ファンとしてはホッと胸をなでおろした次第です。ただ気になったのは「着る服やメイクによって、かなり印象が変わるんです。あえてダサい格好したり、ぐっとドレッシーにしたり……」という発言。あれ? 「ダサい格好」ってまさかライ○オンのCMのことじゃないですよね? あえてのベリーショート、あえてのダサい格好、「あえての神」蒼井さんからは今後も目が離せませんよ。前置きが長くなりましたが、さっそく今月のラインナップから。 <トピックス> ◎蒼井優さんの可愛すぎるフレッシュショート ◎秋は「ハンサム可愛い」ガールにならなきゃ! ◎サプライズ続出!みんなのうっとり/がっかり「プロポーズ」★SHOW ■「男前」「ハンサム」という言葉の虚しい響き…… ひじあて付きツイードジャケットやら、ダボっとしたレタードカーディガンやら、アラレちゃんメガネやら「オジサンっぽいアイテム」を取り入れたファッション「オジカジ」が(女性誌界の)一世を風靡したのは去年のこと。今年も引き続きクラシカルなものが流行っているようで、「MORE」では今秋のテーマをこう表現しています。「秋は『ハンサム可愛い』ガールにならなきゃ!」。 冒頭には「MORE」で絶対的な人気を誇る、加藤綾子似のスタイリスト、井関かおりさんのこんな言葉が。「フリフリやスイート一辺倒はもう古い!この秋はテーラードジャケットやパンツなど、“男前”なアイテムを取り入れた、すっきりシンプルかつハンサムなスタイルがトレンドの主役に」。いただきました、「男前」。女性誌における「男前」とは「アンタもう若くないんだからさ(いつまでもブリブリしてんじゃないよ)」を緩やかに表現した、非常に使い勝手のいいワードです。そういえば先月号の「私が輝く!秋こそ『女子力UP服』」でも、あの手この手で「女子力=男性ウケではない」ことを説明していました。 とはいえ、例えばダブルのテーラードジャケットなどは、一歩間違えればAOKI感コナカ感満載になってしまう、上級者向けの難アイテム。そもそも「MORE」ファッションは一般性を重んじているがゆえ、あまりフツーの人がフツーに着るとフツーにモサつくという、悲しい矛盾をはらんでいるのですよ。そんな視点で考えると、この「ハンサム」路線、その裏に「けん制し合う女たち」という女性社会の縮図が見えてきます。「男目線とか関係ないし~」という背広女子が増えれば増えるほど、「やっぱワンピっしょ!」というトンビ女が油揚げかっさらいやすくなるという、皮肉な結末も。「MORE」は、ファッションでもちょいちょい「本音と建て前」を出してくるので、ついつい勘ぐってしまうのであります……。 ■プロポーズのひな形はバブルと大して変わりません 尖り過ぎない、ブリブリし過ぎない、女性から「いいね!」と褒められたい。「MORE」が標榜する「オシャレ」とはそういうところにあると思うのですが、かといって「自分の着たい服を着る」なんて言っていると、YOUとか小泉のKYON2センセイとか蒼井優とか「サバサバ(している自分にうっとり)女子」という人生のダークサイドに陥ることも……。そういった危険性を十分把握しているのが、賢い「MORE」読者。今号の読み物ページ「サプライズ続出!みんなのうっとり/がっかり『プロポーズ』★SHOW」には、そんな「MORE」の本音と建て前が溢れております。 タイトル通り、綿々と綴られる「うっとりしたプロポーズ」と「がっかりしたプロポーズ」のエピソード。「誕生日、夜景の見えるレストラン、婚約指輪」はもちろんマストで、「花火大会でハート型の花火が上がった後に」「婚約指輪が飾られたケーキが突然運ばれてきて」「フォトブックの最後に“結婚しよう”の文字」など創意工夫にあふれたプロポーズ話が紹介されています。 さらに安めぐみや木下優樹菜、小倉優子などタレントたちの「プロポーズすべらない話」も挟み込まれ、かなり高カロリーな内容に。小倉優子が「1度目(のプロポーズ)は普通すぎたので“もう1回やって!”と指輪を返した」とうエピソードにドン引き。「その後交際2年目の記念日に“結婚しよう”という文字の書かれたケーキを用意してくれました。さらにビスケットで作られた台には、結婚するときに欲しいと思っていたハリー・ウィンストンの指輪も!」でさらにドン引き。というか、1回目の指輪と2回目の指輪は違うのですか? というか、ハリー・ウィンストンに浮かれるアナタはおいくつですか? あまり考えたくない疑問が心を横切ります。 しかし本当のドン引きは、ここからでした。「がっかりプロポーズ編」では「アナタ何様?」モードがフルスロットル。「演出として予約していたヘリコプターが悪天候で飛ばす、結局自宅でプロポーズ」「昼間に遊園地、その後おしゃれなレストランでプロポーズのはずが彼がシャンパンでベロベロに。弱り果てた声で“結婚してください……”」「プロポーズの為に友人たちに自分のことをあれこれリサーチ(人気の指輪ブランドなど)。それが自分に伝わっていたため、イマイチ盛り上がりにかけた」「自宅に突然やってきて、ドアが開いた瞬間に跪き、バラの花束を差し出してプロポーズ……その時たまたまドアを開けた母親に」etc。いやいやいやいや、結構努力してると思うんですが、ダメなんですかね。裁判長! 情状酌量を……。 しかし一番の謎は、特集の最後に紹介されている「貸切映画館」や「サッカースタジアムでプロポーズ」など巷で人気のサプライズプロポーズプラン。これをどうやって彼氏に教え、どうやってうっとりプロポーズへと導くのか……まさにサプライズの形骸化、ですね。 ファッションでは「モテとか気にしない~」と言いながら、プロポーズでは「普通じゃイヤ。努力してくれなきゃイヤ。驚かしてくれなきゃイヤ。ハリー・ウィンストンじゃなきゃイヤ(※ゆうこりんのみ)」というこの激しい本音と建て前。それに引き換え、連載ページで「私のお気に入りフード」として、大量の松茸と大量の毛ガニを紹介している紗栄子さんの、金と欲に向かったまっすぐな潔さ! 何はさておき、「MORE」読者のプロポーズにかける並々ならぬ思いを知り、「ブライダル産業はまだまだ安泰だな」と感じた「MORE」11月号でした。 (西澤千央) 最終更新:2013/03/25 22:09 Amazon 『MORE』 昨今の20代女性に欠けていた「何様ぶり」が復活ね 関連記事 男目線は気にしないけど給与明細は気になる「MORE」娘の二枚舌外交「婚活できたらマジョリティでいられた」歪んだ自己顕示欲を持つ「MORE」娘「幸せ」以外の読み方を一切断ち切る、「MORE」の梨花インタビューキズナ婚でもいい! 「MORE」の"何が何でも結婚したい"が止まらない亀梨が赤西について語った『ONE PIECE』祭りに、冷や水をかけたアノ人 次の記事 J・ビーバー嘔吐も、すぐデートへ >