サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「Domani」の雨宮塔子の連載最終回がうっとり2倍増しで、おかしなことに! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「Domani」12月号 「Domani」の雨宮塔子の連載最終回がうっとり2倍増しで、おかしなことに! 2011/11/07 21:00 女性誌速攻レビューDomani 「Domani」12月号(小学館) いよいよクリスマスシーズン到来。「Domani」にも「知花くらら、エルメスのボーイフレンド時計と一緒に」「”今年も一年、頑張りました” ダイヤモンドジュエリー原寸大図鑑」など、ハイブランドが軒並み広告を出しています。そこでぶっ込んできた特集が「冬こそ、”華麗なる貧乏”でいこう!」。ハイブランドのアイテムと日常使いできるブランドのMIXコーディネートという内容は、他の女性誌では「High&Low」という言葉で置き換えていますよね。ただ、そこは常に自分というワインに酔っている川島なお美と同じレベルで自家中毒気味な「Domani」、そんな陳腐な言葉は使えないわと選んだ言葉が、「華麗なる貧乏」。しかも以前もこの企画をやって、「あちゃー」という声の大合唱だったのにもかかわらず、2度目の登板。「Domani」のハートの強さを垣間見つつも、この特集だったらハイブランドのアイテムを紹介しやすい(=広告に絡めやすい)から手放せなかったんだろう、という勘ぐりまでしてしまいまいた。さて肝心の中身は? <トピック> ◎知花くららの”華麗なる貧乏”物語 ◎雨宮塔子の”酸いも甘いもパリ風味。” ◎”今年も一年、頑張りました” ダイヤモンドジュエリー原寸大図鑑 ■キケン信号ということですね? 毎号、特集の意味・方向性を知花くららの写真と名言/ポエムで表す、写真ページ。今月は「知花くららの”華麗なる貧乏”物語」とタイトルをうち、作家・文化人の名言や著作からの抜粋とともに、クールでゴージャスで知的な知花が切り取られています。その名言を見てみると、 「うっかり間違えたハズシと確信犯的なハズシは、天地の差」(齋藤薫) 「夫にもらったお金で美容院に行くより、自分のお金を遣うことで、女性はキレイになっていくんだと思う」(林真理子) とあって、読んでいるこっちまでうっとり。筆者は「うっとり」し慣れていないものですから、「うっとり」を通り越して軽い睡魔に襲われてしまいました。そろそろまぶたが完全に閉じようとした矢先、ハンマーで殴られたような強い衝撃が!! それはページをめくった先にあった、この文句。 「生きていることが面白い。なりふりかまうより、工夫してみろ」(佐賀のがばいばあちゃん) え!! ブームからだいぶ経っているし、なぜ今ここでがばいばあちゃん?? オシャレに関連する発言でもないし、なぜ?? と疑問符しか浮かばないんですが、そのページの知花のファッションがまたすごい。青いニットセーターから、黄色のトップスの裾を出して、まっピンクのスキニーパンツを履いてます。どっからどうみても、「信号じゃん!」というツッコミしか入れられない。何でしょう、「立ち止まって考えてみて!」という「Domani」編集部からのこの企画に対する暗号にしか思えなくなってきました。 ■どうやったら「自分だけは雨の味方でいなければ」と思うんだ…… 毎回読むたびに「これはすごい」と思いつつも、文字数の関係上なかなかご紹介できなかったのが、連載「雨宮塔子の”酸いも甘いもパリ風味。”」です。今月号で最終回。今後この迷文が読めなくなるとあっては、みなさまにぜひ今月号だけでもお知らせしたいと思い、ほかに紹介すべき企画を蹴散らして、フォーカスしたいと思います。最新著書『雨上がりのパリ』(この連載をまとめたもの)と最終回をかけたのか、「雨は必ず止む時が来る。」というタイトルが付いています。まずは出だしから見てみましょう。 「昔から雨というものが、嫌いではない。いや、むしろ雨が持つ”気配”のようなものに、私はずっと魅せらせてきた」 はい、自分大好きオンナの第一症状、「私、雨が好き」が来ました。そして第二症状、「自分の名前に”雨”がつくせいもあるかもしれない。(略)『お前のせいだぞ』と意味不明に責められた小学生のころから、自分だけは雨の味方でいなければと思っていた」と、被害者意識からの「自分は他人とは違う」という優越感が出てきました。ほかにも、「雨は公正だということもわかってきた」「そんな厳しい面を持ちつつも、雨はやはり優しい」と、一般人を置いてきぼりの抽象的な記述が続きます。このうっとり感を「パリ女病」と片付けることは乱暴なので控えますが、読んでいて苦しくなるほどの自意識過剰に、「いくつになっても、人間は自意識から解放されないのだな」と途方に暮れる思いでした。 「Domani」にはもうひとつ、「内田恭子の『東京カジュアル』Shopper」という連載もあり、「能天気の鏡」というべき内容なのですが、こちらについては別の機会にご案内したいと思います。こちらはこちらで種類の違う自意識が漂っており、心の準備をせずに読んじゃうと「お兄ちゃんの部屋で金髪美女のエロ本を発見した」的なオエーッ感を味わう羽目になるので気をつけてください。 (小島かほり) 「Domani」 「Domani」を読むと、他誌の2倍のカロリーを消費するよね 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・「”女”な気分でパンツが着たい」、意味をなさない「Domani」のポエムが痺れる! ・重度の滑り倒し! 「Domani」の「寅さん」企画はやはり無理があった ・草食男子=SO-MEN! 頑張ってます感が色濃い「Domani」のセンス 最終更新:2011/11/07 21:00 次の記事 「こうなる前に切りたかった」globeのマーク・パンサーの話が出ないワケ >