サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「失われた10年」も来ていない! 「Domani」ではまだバブルが続行中 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「Domani」3月号 「失われた10年」も来ていない! 「Domani」ではまだバブルが続行中 2011/02/07 16:00 女性誌速攻レビューDomani 「Domani」2011年3月号(小学館) 本屋で見かける度に気になっていた「Domani」。昨年から気になり続けており、ちょっとの勉強期間を頂いて、いよいよ女性誌レビューに初登場です。まず、「Domani」の立ち位置をおさらいしてみますと、小学館が誇る「CanCam」から「AneCan」(または「Oggi」)を経た、30代女性向けファッション誌。読者の平均年齢は32.5歳、既婚者48.2%、未婚者51.3%(残り0.5%は無回答だとか!)、8割以上がワーキングウーマンで、平均年収は480万円、月に自由に使える金額は9.8万円です(データはすべて同誌媒体資料より)。 既婚率から考えてみても、「Domani」の読者は経済的な余裕がおありです。「VERY」「STORY」(ともに光文社)読者のように旦那の稼ぎではなく、「25ans」読者のように家柄でも成り金的でもない、言うなれば「都会で働くワーキングウーマン」(一番通じやすい単語がだせぇ!)のリアルを描いている雑誌と言えるでしょう。 出てくるモデル陣や連載陣もカバーガールの知花くららをはじめ、内田恭子、雨宮塔子、長谷川理恵、小泉里子など、フェロモンガンガンで女度高めというよりは、「一見地味だけど、実は可愛く、したたかな女」といった”外さない”路線。たしかに第一線で仕事を続けている女性って、上司にも媚びず女性であることを出さないタイプか、上司を手玉にとって自分を都合のいい立ち位置にもっていくしたたかタイプに分かれます。ということは、「Domani」はしたたか女性のバイブル? 説明が長くなってしまいましたが、今月号の大特集は「35歳・モテ期説は本当だった!?」です。したたかな匂いプンプン。早速、中身をチェックしましょう。 <トピック> ◎35歳・モテ期説は本当だった!? ◎なぜか”放っておけない”女、大分析 ◎知花くららの『その瞬間、男は放っておけない』劇場 ■中学2年生が夜中に書いてしまったものより、ヤバいポエム 今月の大特集は「35歳・モテ期説は本当だった!?」で、キーワードは「”放っておけない”女」。えええ! キャリア女性でも「モテ」を気にしちゃうんですかー。というか、それを気にしてることを真正面から肯定しちゃうんですかー。と思いつつつもページを開いた瞬間からツライ! というのも飛び込んできたのは「知花くららの『その瞬間、男は放っておけない』劇場」というショートストーリー。説明放棄&設定度返しの写真と、「大手広告代理店に勤務し、女を分かった気でいる男の頭の中」みたいなポエム。一部抜粋してしてみると、 ・誘う? 誘われる? 彼女の強いまなざし。一瞬の駆け引き。”負けてもいい”と思える瞬間(知花と犬がソファーで対峙してる写真につく) ・すねたり、強がったり、天気みたいにくるくる変わる女ゴコロ。悔しいけど、目が離せない(知花が口を一文字にして、すねた表情を見せる写真につく) ・そばにいなくても、きっとひとりでも大丈夫。彼女の凛々しさも、放っておけそうで……放っておけない(知花がサックス吹いている写真につく) 大特集のコンセプトを表すページですが、それ以前に「あなた、本気でうちの雑誌を読む気ある?」と「Domani」編集部にふるいにかけられるページでもあります。もちろん、「なんでいきなりサックス吹いちゃってんのー?」と涙ためながら大爆笑で読んだ筆者は読者失格です。 ■目を覚まして、世の中見てみて! まだまだ続く、「放っておけない女」特集、続いては「『こんなとき、放っておけない』なう」という、夢見る男性のアンケート企画です。タイトルから「あーあ」な感じが漂ってますが、中身も面白い……いや、ためになりますので、丁寧に拾っていきますよ。 ・普段つけている派手めなピアスをはずず同僚のしぐさに思わずドキッ! ・夜になると香水の香りがしない、つまり朝しか香水をつけない女性はガードが甘い ・酔っ払うと、グラスの中の氷を指でかき混ぜる女って(略)隙ありだから落としやすい これらの回答を、10cm以上のヒールでカツカツ歩いている女性の足もとや、夜景の見えるバーでグラスを持つ手元、というイメージ写真ともに紹介していて、もはや『金曜日の妻たちへ』の世界。このページ構成で確信しました。「Domani」においては、いまだ世の中バブルだということを。きっと「バブル崩壊」も「失われた10年」も「ゼロ年代」も、「Domani」には訪れていない! そのうち柳葉敏郎が浅野ゆうことかとうかずこの間で揺れ動いたり、田村正和がニューヨークのテラスで岸本加世子の髪の毛洗っちゃったり、という場面がシレっと「Domani」に出てきそうで怖い。今はもう、2011年だよ! まだまだ書き足りないほど、魅力あふれる「Domani」。カリスマシェフ(笑)・川越達也の連載に東尾理子をゲストに招き、「これから何か起こりそう」な色気のある写真を撮ったり、着まわしコーデ企画では「1泊2日の研修旅行」の日に35歳のバリキャリ女性にティアドロップサングラスをかけて登場させたり、といくらでも「笑い」に転がる要素を持ちながらも、真面目に編集する手腕に本気で感動しました。 カバーガールを知花くららが務める意味、着まわしコーデの設定、「美STORY」とは違った年下男性への興味、キャリア女性と「モテ」の関係など気になる点は山ほどあるのですが、それらは次回から追々分析してみたいと思います。 (小島かほり) 「Domani」 加勢大周も出してやってよ! 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・上品な仮面の下に、下世話な世界が広がる「美STORY」マジック! ・編集部ごり押しでもまったく浸透しない、「Can流」という言葉の意味を考える ・「真のコンサバはある種のクラスの人」、「25ans」に宿る選民意識 最終更新:2011/02/07 16:08 次の記事 前回の悪夢をリセットして、子育てカフェに再びチャレンジ! >