[女性誌速攻レビュー]「日経ヘルス プルミエ」1月号

「日経ヘルス プルミエ」で女たちの怖~い「アゲ活」が明らかに

2010/11/24 22:00
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「日経ヘルス プルミエ」(日経
BP社)1月号

 今月号の「日経ヘルス プルミエ」は特別付録付き! といっても、安っぽいポーチやバッグではありません。「季節のお悩み解決! OTC医薬品ガイド」という小冊子です。先に発売された「日経ウーマン」からの流用疑惑もありますが、OTC医薬品(市販薬)の第1類、第2類、第3類などの区分けの違い、選び方、製品紹介など、一家に一冊あったらいいかもという内容。こういった付録が付いてくるところが「プルミエ」の安心できるところですね。

<トピック>
◎特集 笑顔で全身リフトアップ宣言!
◎特集 話題の「断捨離」に読者が挑戦!
◎特集 見つけた! 納得の生き方

■お母さんは夕飯前にブランド牛を食っている

 大女優・大竹しのぶが「生活感」や「貧しさ」など、本人からは最も縁遠そうなことを滔々とエラそうに語っている巻頭インタビューは飛ばしまして、特集「笑顔でリフトアップ!」に行きます。笑顔でいると表情筋が鍛えられて顔のたるみが予防できるほか、気分もアップする、といった内容です。

 トビラページは読者モデルの満面の笑み、笑み、笑み。ふだん苦笑や嘲笑ばっかりで、すがすがしい笑顔というものに縁がない人にとってはかなりハードルが高い特集です。掲載されている「笑顔筋エクササイズ」なんか実践した日には、完全に空回りして周囲から怪しまれそうです。「笑いヨガ」とかなんとか、筆者にとっていつにも増してアウェー感が強い特集……と思いつつページをめくっていたら、「未唯mie」のインタビューが目に入りました。未唯mieは、ミーミーではなくミイと読みます。ピンク・レディーのミイです。今年9月、「解散やめ!宣言」をしたそうです。30年変わらないというプロポーションは確かに素晴らしいのですが、頭の中に浮かぶ言葉は、「何回再結成してんだよ!」というツッコミのみ。もういいよ、いいかげん。

 ところで、毎号「プルミエ」の特集は長~いのですが、今号も50ページ以上あります。それをずーっと真面目にやっても疲れるので、最後にちょっと冒険してみちゃう? しちゃう、しちゃう! と会議で盛り上がった企画(←あくまで想像です)が「教えます。私たちの気分が上がる『アゲ活』&『アゲグッズ』」です。まず「アゲ活(気分を上げる活動)」というネーミングが「プルミエ」っぽくないですからね。造語センスが光文社系の雑誌ほどキワどくなく、恥じらいが感じられるところが好感が持てます。


 さて、内容ですが、40~59歳の女性を対象にしたアンケートによると、一緒にいて気分が上がる人は「女友達」が79%、「夫」39%、「子ども」36%だそうです。夫、形無しです。しかも、読者が実践している「アゲ活」にはこんな方法がありました。

「銀座のAbercrombie &Fitchでイケメン店員さんと一緒に写真を撮ってもらい、家でこっそり眺めたり。家族と言い合いをしても、恋人同士になったことを想像すると本当に癒やされるし、ワクワクします」
「私用にだけ高~いお肉を少し買っておきます。夕食を作る直前、その高級肉をチャチャッと焼いて食べれば『ご飯よ~』と言う笑顔も晴れやかに」
「会社へ出かけた主人のパジャマを思いっきり踏みつぶしたり、投げ飛ばしたりするんです。腹の虫が治まり、とってもスッキリします!」

 上半身裸の店員の写真でエロいことを妄想したり、一人だけ夕飯前に霜降り肉を食らったり、ダンナのパジャマに当たり散らしたり……お母さんは大変だ。さわやか過ぎる笑顔特集のウラにこんな毒が隠されていたとは……逆に安心しました。

■ここでもまた「断捨離」

 ついに「プルミエ」でも話題の片付け術「断捨離」特集が組まれました。断捨離が流行っているのは、単なる片付けの話にとどまらず精神論に結びついているからだと思います。過去の自分とスパッスパッとおさらばしたい。そんな願望の表れなわけです。それを証明するかのように、「断捨離」特集の数ページあとに、こんな企画がありました。「見つけた! 納得の生き方」。40歳を超えて新しい人生に挑戦した女性のインタビューが掲載されています。アンケートによると、45~49歳の女性の65.8%が「今の生活や生き方を変えたい」と考えているそうです。


 「四十にして惑わず」といいますが、こうしてみると40代はまだまだ迷える年代なんですね。ハア~、いったい我々はいつまで「自分探し」をすれば気が済むのでしょうか。というかさ、「プルミエ」って以前はメノポ(更年期)を明るく乗り越え、健康な老後に備える……といった、どちらかといえば精神的にも経済的にもゆとりがあるおっとりした奥様向けの雑誌という印象だったのに、いつのまに離婚だの生き方を変えるだの、不穏な空気が漂う雑誌になっちゃったのよ! これが当世の生き方ということなんでしょうね。40歳になっても50歳になっても「今の自分を変えたい」とか言ってもがいている自分を想像して、暗い気持ちになってきました。とほほ。鏡を見ながら笑顔をつくる練習でもしよう、そうしよう……。
(亀井百合子)

「日経ヘルスプルミエ」

アゲ~!

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最終更新:2010/11/24 22:31