「STORY」いわく、ミニスカートは人生のレフ板!? 輝き続けたい中年女性の業
林真理子先生の悪女論がさく裂した先月号に続き、「美STORY」では読者ヌードに整形体験と、「ぶっ飛び~」((C)宮沢りえ)具合を見せている、光文社のエイジレス姉妹誌。もう何が起きてもおかしくない心構えではいるのですが、どうでしょう、この表紙の真っ黄色っぷり。「人生何度もやり直せる!」とスーパーポジティブな幸せの黄色なのか。はたまた人生の黄色信号が点滅しているのを知りつつ、若さという交差点で立ちすくむ40代女性を暗示してのことなのか。さっそく読み進めてまいりましょう。
<トピックス>
◎大特集 自由のためにはくミニです!
◎オシャレ男子が40代女性に着てほしい服、選びました「服から始まるドラマがある」
◎夏着物vsマキシワンピ、真夏の異種オシャレ対決
■ミニ特集に隠された、40代女性の叫びを聞け
今月の大特集は「自由のためにはくミニです!」。”脚を出したら人生変わるかも?”と問いかけています。その声に答えるように、全国のアラフォー女子たちによる、シチュエーション別ミニ履きこなし術がスナップされています。「元テニス部の私たちは、ミニの抵抗ゼロだから堂々と健康美を披露」「タンゴバーに踊りに行くときはミニワンピがお約束です!」「夏フェスだって若者と一緒に汚れずにきれい系をキープ!」「私たちがミニを履くと日本がアガる!」などなど。さながら夏のミニスカ・マニフェスト。登場する読者の皆さん、抜群の美脚を誇っておられます。
その後のページで表紙モデルの富岡佳子、アナウンサーの小島奈津子、モデルの春香、元バレリーナの草刈民代がそれぞれのミニ論を展開していますが、一様に「自分ではアリエナイと思っていたけど、オシャレな友人に勧められて」という、アイドルのオーディション応募動機のようなことをおっしゃっています。履きたければ履けばいいのに……それこそが自由というものですが、ことあるごとに「エイジレス」「40代こそ最強」と唱えてきた「STORY」こそが、一番年齢という言葉に敏感になっているのかもしれません。声高なマニフェストも、アイドルのオーディション動機も、裏返してみれば社会通念へのエクスキューズか。
そんな企画を知ってか知らずか、林真理子先生の連載『出好き、ネコ好き、私好き』で、先生が唱えています。「人生に物語が欲しい時、女は自分で”レフ板”を持つ」んだそう。老化は女性から「女」を奪う。だからこそ、女は自分でレフ板を持たなくてはならない。うんと若く肌のアラをとばしてくれるものを必死で探すのだ、と。
恋愛が極上の美容液だとしたら、たぶんミニスカートは40代のレフ板。しかし、美容液はつけ過ぎても大抵浸透せず流れ落ちてしまいますが、レフ板は当てすぎるとギラッギラになってしまいます。”塩梅”って大切な言葉だよなぁと痛感いたしました。
■ゲイフレンドへの歪んだ愛情
しかし、女が抱えるその類の不安は、何も40代に限ったことではありません。例えば若い女性も占い、パワスポなどスーパーナチュラル系にハマってしまいますし。それは現実を超越した何かにすがりたい女の性。「私のオシャレアドバイザーはゲイフレンド(はあと)」という特集もまた然り。「SATCのキャリーみたいな女性、増えてます」と、4人のバリキャリ女性たちが、お気に入りのゲイフレンドとの日常を公開しています。一緒にお風呂に入ったり、肌のお手入れをし合ったり、アイスクリームをつつき合ったり……女友達でもちょっと気恥ずかしいことも、ゲイフレンドとならクリアしてしまう模様。プライドの高いバリキャリ40代は、女友達やダンナ、彼氏には言えないことも彼ら(彼女ら)には素直に話せ、耳の痛い忠告も聞き入れられるようです。
メディアでももてはやされ、ゲイ、おネエといった言葉も決してタブーではなくなった昨今。性別を超越し、自分とは180度違う人生観を抱いているからこそ、その発言や振る舞いに”目から鱗”となるのでしょう。「何歳になっても好きなものを着て、楽しめばいいの」「素敵な女性こそ、しまむらプチプラオシャレで弾けなきゃ」「たくましすぎる女は自分でモテチャンスを消しちゃうの」という一連のゲイフレンドたちの言葉は、40代女性ならずも励まされるもの。しかし、ゲイの方々だって同じ人間。本当は彼らにこそ、根深い問題がありそうなのに、そのあたりはまるでスルー。「VERY」が子どもを自分のファッションアイテムかのように扱っていますが、「STORY」ではゲイの方が流行のアイテムのよう。女性が彼らから励ましてもらうばかりで、何も返せていないのは、「アッシー」世代の「STORY」だから許されるのでしょうか。
悪女推奨論的なインパクトはないものの、今月の「STORY」は読むほどに含蓄のある号でした。おっと忘れてた、連載「最旬王子様ファイル」はKAT-TUNの亀梨和也クンですよ。家族への、そしてKAT-TUNへの温かな愛情について語っていました。自身曰く「周囲にイヤな思いをさせてまで自分を通すのは性に合わない」ので、結果「早く大人になりすぎた」とのこと。熟女好きで知られる亀梨クンは、読者のお姉さま方々の目にどう映ったのでしょうか。
(西澤千央)
すでにミニなんて履いてません……
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