サマンサ姐さんこそ主役よ! 『SATC2』でもチョメチョメ連呼で大発奮
「サイゾーウーマン」読者の皆さん(命名・サイ女)、今日も良からぬことを企んでますか~。枕営業をしたくて仕方ないのに、誰にもさせてもらえない、新宿2丁目ママのブルボンヌどえーす。
さあ今月は、ついにアレよアレ! 全世界のイケイケ女子とオカマ待望の映画、そう『SEX AND THE CITY 2』よ~~~!!
(C)2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc.
最初のドラマは12年前だからねー。ついに一回り! 一回りっつったら、17歳の処女も、29歳のすっかり黒ずんだネエさんになるくらいの期間なわけよ。まあ、SATCの4人はスタートの時点で十分年増だったけど、それでも変化は大きいわよね。
ドラマ版じゃ、4人それぞれがまるで男喰いレースでもしてるみたいに、毎週のように男を変えてたっつうのによ。映画版になる頃には、4人中3人は結婚、さらに2人は子持ちで、すっかり落ち着いちゃってんだもんね~。んもー、オカマが感情移入しにくくなるっつーの!
でも、有料チャンネルでの過激なドラマとして始まった頃から、世界のスクリーンで一般女子に足を運ばれるまでに広がった流れを考えると、この変化も妥当かも。分かりやすい例が、ダントツで乙女で保守的でいち早く男喰いレースから抜けたシャーロット。
「アタシはシャーロットに一番に近いかなぁ」と気味の悪い自己申告をしやがるのよ~!
アタシ的にはあの女は、サマンサの素晴らしさを引き立てるためのスイカの塩くらいの存在に思ってたんだけど、ホント日本の女はシャーロット大好きみたいでさ。今回の記者会見でも、シャーロット役のクリスティン自身が「ほかの国ではシャーロットにイライラされることが多いのに、日本では理解してもらえているの。アリガトウ!」なんて喜んでたわよ。
まあシャーロットがいたおかげで、今まで「セックス」なんて言うのもためらわれた日本の一般女子も、堂々とSATC好きを公言できるようになったのは確か。そして映画版の2作品は、そういう女子をより意識してるのも分かるわよ。
でも、チッガウ!!
SATCで一番素晴らしいのは、誰が何と言おうと、サマンサ姐さんでしょうがーっ!!
ヨダレ垂らす寸前のニンマリ笑いこそサマンサ!
「セックス」どころかあらゆるチョメチョメ単語を連呼して止まらなさそうなサマンサ姐さん。今回もコンドームとかラビアとか言いまくってたわ。このキャラクターを生み出したことこそ、SATC最大の偉業なんですよっ!
ちなみに以前やってた、フジの女子アナ連中がSATCトークをする番組企画でのこと。金持ちスポーツ選手を捕まえることしか考えてなさそうなアイドルアナどもが「シャーロットすてきだよね~」とかほざいてる中で、ただ一人、阿部知代サマだけは「アタシはサマンサにシンパシー感じるわ!」と熱く語ってらっしゃいましたわ。知代エライ! 大好き!
とまあエラい前フリが長くなってしまったわけですが、すっかりテーマが保守化した映画版の現状と、そこで唯一の希望として輝き続けるサマンサの偉大さを、まず確認しておきたかったのよ~。
で、今回の最新作。落ち着いた3組の夫婦、キャリー、シャーロット、ミランダについては、それぞれ分かりやすい問題が出てくるのね。パーティ大好き女だったキャリーは、ビッグとの刺激のない日々にイラだち、シャーロットは子育てのしんどさに、ミランダは職場での女性差別に直面するの。シャーロットとミランダは納得として、キャリーはあいかわらずウッザかったわ~。
「プレゼントが液晶テレビなんて許せない! なんでジュエリーじゃないの!」
いいじゃないのねぇ。ベッドルームでAVでも流してビッグと楽しみなさいよ。ほんとワガママな馬ヅラだよ!
でも、周りのオカマ友達からは「アンタはキャリーよね」と言われるの……。
あ~余計イライラする!
そんな行き詰った夫婦3組に、スカッとする話を持ってきてくれるのは、やっぱりサマンサ! 中東アブダビでの、豪華ホテルリゾート旅行に連れてってくれるの~!
ここでのシーンはほんと痛快。やりすぎなくらいのゴージャスショットの連続にウキウキしまくり。別に深いものなんて何もないんだけど、馴染みある4人が浮世離れした旅をしてるのって純粋に観てて楽しいわよね。日曜昼下がりの特番風に『SATC4人組が遊ぶ! 食べる! アラフォー女大騒ぎアブタビの旅』ってタイトルを付けてあげたい感じ。
女の友情再確認! で、ウーマンパワーな歌を合唱しちゃうカラオケシーンとか、砂漠の中でムダに着飾ってパーティしちゃうシーンとか、単純だけど、いくつになっても女友達、オネエ友達とワイワイ騒いでられるって、やっぱり最高なんだと思うわ。
という点で全くブレない4人。あっぱれよ!
それなりに、提示された夫婦生活の問題についてのドラマも進行するんだけど、正直、そのへんはどうでもいいんじゃないかしらね~。SATCみたいな、元々とんでもなかったはずの女たちが、今さら一般的な倦怠期とか子育て問題を語っても、「ひよったわね~」とか「がんばってね~」くらいにしか思わないもん。
とにかく、この映画は大好きなキャラクターたちが、リアルタイムで年をとって、あいかわらず楽しそうに騒いでる姿を見せてもらうだけで十分な、パーティムービー! そういう意味では、アブダビ豪華リゾート同様に、冒頭の、まさかのあの人とあの人の結婚式シーンも秀逸よね。ライザ・ミネリおば様が登場して、ビヨンセの「シングル・レディース」をものすごい迫力で歌い踊っちゃうんだから。サマンサと同じく、「このババアが元気に動いてるだけで、勇気をもらえる!」ってな説得力よ。
仲良し女子やオネエグループで劇場に行って、アホみたいに金のかかった、キラキラのパーティと旅のバカ騒ぎ映像を観ながら、「うちらも(ここまで金はかけられないけど)楽しく女子会して恋バナで盛り上がっていこうね!」なんて、気持ちを確かめさせてくれる、そんな映画。
アタシ、ブルボンヌも2回目の鑑賞を、オネエ仲間6人全員で女装して、新宿のレイトショーで楽しむ予定よ! どんだけ浮かれてんだ状態だけど、実際には映画が始まったら2時間半、暗闇に女装がいっぱい潜んでるわけ。やだ、ホラーじゃん!
ブルボンヌ
全国クラブのお笑いショウや試写会テキトーMCで活躍中の女装パフォマー/ライター。『この映画がすごい!』(宝島社)『レコチョク』(ケータイサイト)等に寄稿しつつ、新宿2丁目ゲイミックスバーのママ業もこなす。芸能通のゲイたちと一緒にオカマなブログ『Campy!』もプロデュース中。
『セックス・アンド・ザ・シティ 2 』
前作から2年、彼女たちの人生に、今度は何が起きるのか? 浮気? 家庭崩壊? まさかの結婚? キャリーとミスター・ビッグの結婚生活に暗雲が立ち込め、ミランダとシャーロットにも、トラブルが発生。サマンサの独身生活にも危機が襲いかかる。そんな中、サマンサの元カレ・スミスが出演する映画プロデューサーから、ゴージャスな旅に招待されたサマンサは、3人を誘って女だけの逃避行を計画。身も心も癒される4人だが、キャリーはなんと、もう一人の運命の男”エイダン”との再会してしまう。
監督: マイケル・パトリック・キング
出演: サラ・ジェシカ・パーカー、キム・キャトラル、クリスティン・デイビス、シンシア・ニクソン
丸の内ピカデリーほか全国ロードショーで公開中! 日本語吹替版同時公開!
日本公式サイト
オリジナル公式サイト
『SEX AND THE CITY 2 THE STORIES. THE FASHION. THE ADVENTURE. (大型本) 』
ミランダは? ミランダはどうなの!?
【バックナンバー】
・第一回ブルース・ウィルス『サロゲート』
・第二回メリル・ストリープ『恋するベーカリー』
・第三回ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマンなど『NINE』
・第四回ガボレイ・シディベ『プレシャス』