ベタなウワサと商品記事で新鮮味ゼロの、「たのしいおこもり美容」特集
今週の「an・an」は、「たのしいおこもり美容」。今月の女性誌はどこもかしこも、「おうち」「巣ごもり」「おこもり」と、引きこもり系の企画が目白押し。確かに世の中が不景気ですけど、雑誌が読者に”何か”を提案するのではなく、読者のライフスタイルに合わせた企画ばかりが誌面を飾っているようです。読者に寄り添うことは大切ですが、新しい情報を求めて、雑誌代を払っているのに……。と、愚痴から始まってしまいましたが、読んでみれば有益な情報があるかも! ということで早速トピックからチェックです!!
<トピック>
◎週末おこもりエステの最強レシピ
◎クチコミでわかった!! 本当に売れているコスメ
◎ムダ毛ケア・完全マニュアル
◎長谷川京子さんが帰ってきた! 幸せオーラ全開インタビュー
■何の、誰のための”おこもり美容特集”?
まずは第1特集の”おこもり美容特集”。スチーマーや美顔器を使った「おうちエステ」が提案されているのですが、美容オンチの私でも、何も新しい発見が見当たらない内容。きっと「an・an」のことだから、「美的」(小学館)や「MAQUIA」(集英社)では取っ付きにくいと感じている読者層を狙って、誰でもできる美容法を提案してくれたんでしょうけれども……。
「マイホームサロンでできるぷるぷる肌復活メニュー」では、スチーマー→クレンジング→洗顔→化粧水→酵素マスク→イオン導入→シートマスク→アイクリーム→クリームパック→マッサージ、という流れ。道具さえあれば、やってますよ!! と思ってしまうぐらい定番の流れ。一つ一つのフローでも、新しい手法も一切なしです。
その後には、美顔器の紹介ページが入り、ヘアアイロンのページまで。いろいろなメーカーの商品が散らばっていて、広告か編集記事か分からない展開。焼き直しの基本情報と、アイテムページを特集の根幹にする方針は、読者に向けられているのでしょうか。それともやっぱり、広告主?
■セルフ脱毛ゆえ!? いつもの広告が半分に
雑誌後半では、なぜかこの時期にムダ毛ケアのコーナーも。まずは一般女子がどのようにムダ毛を処理しているかのアンケート結果を提示し、トラブルや噂について、専門医などに答えてもらっています。「生理中に脱毛はNG」「剃り続けていると毛が濃くなる?」など、何十年も前からあるウワサを今、検証。逆になぜ?
その後には、話題の脱毛器を3人のライターが使用し、レポートしているというページも。こちらはライターの語り口調になっている分、かなり本音に近い使用感が記されていて、実用的!
ただ、恒例の巻末広告ページ群が、今週号は少なめ。なぜなら、この群は通常「占い」か「美容整形(脱毛含む)」の2大勢力で形成されているからです。編集ページで「すごもり美容」「セルフ脱毛」を展開されたら、広告が入らないですよね。でも、今週は美顔器の広告できっと潤ったはず。
■突如現れた、長谷川京子のインタビューページ
「an・an」発売前から話題になっていた、女優・長谷川京子のインタビュー。結婚、出産を経て戻って来た彼女の、精神的な成長・落ち着きを読者にお知らせしつつも、一方では各メディアのみなさまへの復帰のごあいさつとも受け取れるこのページ。結婚発表後に「でき婚」を隠そうと画策した、と報じられ一部メディアとバトった話は、もはやなかったことに……というぐらいに出産や母親という存在を賛美しています。
特筆すべき言葉はないのですが、美人女優で売っていただけに、「美容特集」の号でカムバックしてくるあたり、事務所の戦略が感じられます。竹内結子のように出産後も美人女優で売っていくのか、演技力皆無の形骸化した「女優」という看板だけを背負った存在になるのか。期待しながら、復帰を見守りたいと思います。
というわけで、本当に抜き出す部分がなかった、今週の「an・an」。いつもの無茶ぶり気味のフローチャートや、存在意味が見いだせなかった「文化人コーナー」などが懐かしくなるばかりです。ここは一つ、脱毛ならぬ脱税してしまった、「an・an」が大好きな脳科学者・茂木健一郎先生に「脱毛する脳」というテーマで語ってもらえば、深みが増したのかもしれません。シャレが分かる先生のことだから、「1本の毛を抜くたびに、脳が刺激され、1円の税金のことも忘れてしまう」など時事性に絡めた素敵な言葉を授けてくださったかもしれませんよ。
茂木先生はわざとではありませんから~
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