サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「VERY」で家着をフィーチャー……”巣ごもり”特集は不景気の余波!? カルチャー [女性誌速攻レビュー] 「VERY12月号」 「VERY」で家着をフィーチャー……”巣ごもり”特集は不景気の余波!? 2009/11/08 18:30 女性誌速攻レビューVERY 「VERY」09年12月号/光文社 「不景気だ不景気だ」と騒がれている昨今ですが、今月号の「VERY」を拝見し、本当に日本経済がヤバいということを実感しました。今まで、「30代、私が私であるために」とか「ママって呼ばれないファッション」とか、景気に左右されない富裕層をターゲットにしていた同誌が、今月はいよいよ「おうちVERY」という”巣ごもり”特集を打ち出しました! ただ、「おうちVERY」っていう言葉が絶妙! 富裕層のプライドを傷つけずに、今までよりもランクを落とした商品を紹介できる――。読者の心をしっかり掴んでいる、編集部の語彙センスに感服です。では、今月をさっそくチェックしてきましょう。まずはトピックから。 <トピック> ◎エリア別・家着の流行「傾向と対策」 ◎「おうちメーク」は肌負担ゼロ時代 ◎ハンサム派の、冬のお出かけカジュアル ◎<別冊付録>人気料理教室のクリスマス料理 ■自宅でさえも戦場! 息つく暇はどこにある? まずは大特集「30代にとって家は”社交場”だからこそ! まるごと一冊『おうちVERY』」を細かく見ていきましょう。最初はファッション特集、「オシャレリーダー10人の家事の日&お客様の日」。牧瀬里穂、中林美和(モデル)、堂珍敦子らのプロと、読者モデルのリアルな家着を紹介しています。本当に”ガチ”らしく、商品のクレジットは一切なし。ただ、出てくる洋服のショップが、セオリー、バーニーズ、マカフィーなど、一般的に”外着”の物が出てきて、アクセサリーはシャネルという豪華っぷり。「家にいる時にまで、見栄を張らなきゃいけなくて可哀そう」なんて思うのは貧乏人のヒガミ混じりの同情なのでしょうか。 続いては、「VERY世代の今どきフェスタに潜入!」のコーナー。ここでは、人気ブログ「漢の粋」を立ち上げたブロガー夫婦が主宰している、「家フェスタ」を特集しています。要はホームパーティーよりもラフな感じで、数組の夫婦が集まって、料理した後に一緒に食事を楽しむというイベントのことらしい。ホームパーティーすら未経験な私には、何が違うのかまったくわかりません。たぶん、旦那がその場で料理を作るというのが違いのようです。洋服も「ラフ」とは言い難いぐらい、気合が入っているようですが……。 そんな心配をしていると、次のページには「おうちでパーティーの日の頑張り過ぎないオシャレ術」という、すばらしい流れができていました。後のページに控えているアイテム特集を前に、まずは読者からの「お呼ばれ服」「お招き服」の失敗談を吸い上げているのですが…… ・靴を脱いだときに、一気にバランスが悪くなって、なんだか居心地が悪かったので、スリッパでもバランスのいい服を知りたい ・(略)トレンカをはいていったら靴を脱いで自分でもびっくり。ペディキュアもしてない足…。パーティーの最後まで足もとが目立たないようにモジモジしてしまいました。 ・我が家で開くホームパーティーのために、わざわざカシミアのキレイ色ニットを購入。でも、ホストは何かと忙しくて動くので暑くて汗ダクダク(略)。 一般人からしたら「自意識過剰じゃない?」の一言で終わる失敗談なんでしょうが、「VERY」信者にしてみたら、大事件なのでしょうね。頭の上から、足の爪まで女同士でチェックしあう仲。まさに「30代にとって家は”社交場”」! 自宅で寝っ転がって、ミカンも食べられない(だろう)彼女たちに、やっぱり同情を禁じ得なかったです。 ■自宅美容の推奨で、化粧品広告が急増 今月号は美容も”巣ごもり”で統一しています。まずは「30代の『夜時間』の過ごし方」で、田中律子や須藤理彩の「夕飯から寝るまでのスケジュール」を紹介。ワインを楽しむ時間、アロマ、美容など”それなり”の雰囲気づくりを。その後、「おうちでエステ実現『夜時間』の美容タイム」で、”必殺”パナソニックの「ナノイー」美容グッズを紹介しています。 その後、「『おうちメーク』は肌負担ゼロ時代」という特集では、日頃のナチュラルメークを紹介した後に、資生堂、花王、クリニーク、ポンズなどの広告が出現。編集記事で下地を作っておいているので、違和感が薄まり、読者としても読みやすいのではないでしょうか。”巣もごり”特集でもしっかり広告が付く、売れている雑誌特有の余裕が感じられますね。 ■来たぞ、来たぞ、クリスマス 11月売りの「12月号」ではクリスマス関連記事や広告がちらほら出てきました。早めに”誘い水”を仕掛けることで、消費行動に結び付けたいところ。そんな「VERY」らしい、クリスマス関連記事を紹介しましょう。 まずは編集記事、「インターママの気分がアガる クリスマス術」。外国人や外資系ビジネスマンと結婚した女性が多いのが、「VERY」読者の特徴。当然、子供はインターナショナルスクールなど、ほかとは違う教育を目指されており、西洋の文化に親しんでおられるようです。さっすが~。パーティーでの簡単料理や、”非日常”的なデコレーション術など、欲しい人はピンポイントだけど、その期待度は高い企画が用意されています。 またホームパーティーの要、料理も簡単だけどゴージャスに見えるものが欲しいということなんでしょう。別冊付録では「人気料理教室のクリスマス料理」を紹介。料理を紹介していると見せつつ、実は「料理教室」を紹介。でも掲載レシピが充実していて、見ごたえアリだと思います。決して易しい料理ではなかったけど。 そして本誌では、クリスマスの定番アクセサリー特集「X’masには『ありがとう』の言葉の代わりに…」と、「カルティエ発・記念日ジュエリー決定版」が掲載されています。「アクセサリーは男に買ってもらうもの」というバブル世代の残り香を、見事なまでに表現。今の20代は、「欲しいものは自分で買う」が増えているだけに隔世の感が否めませんが、このおねだり術のおかげで日本経済は発展の一途をたどっていただけに、バブルの価値観は今こそ必要なのかもしれません。 今月は「VERY」らしさを残しつつも、”巣ごもり”特集だけにいつもの華やかさがトーンダウン。ただ、来月はいよいよクリスマス目前! それこそ、”非日常な”飛んだ誌面を期待しています。 『ドリームライト―幾千の星々が地上に舞い降りた』 イルミネーションって、反エコだよね~ 【関連記事】 「セレブとは我慢の集大成」という現実を見せた、「VERY」10月号 【関連記事】 ハンカチ一つでも命がけ! VERY流、入園・入学シーズンの準備法 【関連記事】 帽子から自転車まで! 「VERY」の読者に寄り添った編集方針に感服 最終更新:2009/12/27 02:46 次の記事 中丸雄一、勝負パンツは○色、お風呂上がりには○色パンツを愛用 >