サイゾーウーマンコラムルポ「別れた夫にわが子を会わせる?」訛りの強い東北で四面楚歌の結婚生活 コラム 【連載】別れた夫にわが子を会わせる? 「義母がくれたのは、3万1000円のガスレンジだけ」訛りの強い東北で、四面楚歌の結婚生活 2018/03/12 15:00 結婚育児別れた夫にわが子を会わせる? 山本裕子さんが飲んでいた薬 『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――? 第14回 山本裕子さん(仮名・40代)の話(前編) 「今考えると彼は、研究所で試験管を持ってたときの方が人間くさかった。少なくとも今のような冷酷さはなかった――」 そう話すのは、看護師の山本裕子さん。彼女には23歳の息子と20歳の娘がいる。そんな彼女は、夫と同居しながら離婚裁判を戦ったという体験の持ち主。3年にわたる家庭内別居、離婚後のシングルマザー生活について話を伺った。 ■付き合い始めて3カ月もしないうちに、結婚の話が ――旦那さんと知り合ったきっかけを教えてください。 東京の医療系の短大を卒業して、都内の大学病院に勤務していたとき、そこに、夫となる男性が入院してきました。彼は7つ年上の理系で、当時、民間企業の研究所で働いていました。 ――入院した理由は? 視力が、かなり失われていたんです。それで数カ月入院しました。私が担当だったんですが、良い意味で粘り強い、悪く言えばねちっこい性格。枯れ木みたいに細くて背の高い人でした。 入院中に、「(視力が悪くなった)原因を知りたいから、医学書を貸してほしい」と頼まれて、ナースステーションにある本を貸したら、必死にずっと読んでいました。落ち込んだそぶりは一切なくて、調べることに没頭してるんです。「この人は真面目な人だな。問題から逃げない人なんだな」と思って好意を抱きました。 ――お付き合いを始めたきっかけは? 目が回復して退院した彼が、病院に挨拶に来たんです。「その節はありがとうございます」って。立ち話をしてるうちに、「じゃあ1回外で会いましょうか」ってなったんです。それで毎週とか会ってたのかな。 ――お付き合いしてるうちに接近していったということですか? 3カ月もしないうちに結婚の話が出ました。そのときは「東京で」という話だったのに、いつの間にか「Uターン就職する」って言い始めた。「親戚付き合いはしなくていい。俺、オマエを守るから」って言うんです。 ――ずいぶん急な展開ですね。 東北の小さな町で育って、理系の大学を出た研究者ですから、それまでは順風満帆。ところが目をやられて挫折して、故郷に帰りたくなったみたいです。 結婚について私が九州の実家に電話したら、両親に強硬に反対されました。私は一人娘で、うちの両親は気が強いので、電話でケンカになっちゃって、最後は「勝手にするったい!(勝手にしなさい!)」と電話口で怒鳴られました。2人して挨拶に行けばよかったんですが、ずいぶん怒ってるし、展開が急だったってこともあって、行かずじまいとなってしまいした。 彼の新しい職場は、大手保険会社の地元支社。勝手に話が進んでて“あれ?”って思ったけど、私は昭和の女だから、男の仕事には口を挟みたくない。それに私、看護師だから、どこでも仕事ができると思ってたし。ついていくことにしました。 次のページ 義母がくれたのは、3万1000円のガスレンジだけ 1234次のページ Amazon わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち 関連記事 「父親は早く死んだらいい」ゴミ屋敷で3年間の家庭内別居の末に離婚した女性の壮絶体験「子どもを元夫に会わせるのは、自分のため」慰謝料も養育費もなく離婚した妻の思い「妊婦なのにOL時代の服を着ていた」三男を抱えながら、節約して夫の借金700万円を返済「元夫が今後再婚しても、親子関係は継続してほしい」障害のある子を守りたい元妻の願い生まれてきた娘には障害があった――家事もする大学助手の夫との生活は順調に見えたが……