『いい男の愛し方』刊行記念インタビュー

女優・杉本彩が語る、男を虜にする恋愛哲学とは……

2009/06/08 15:00
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年齢を重ねてなお美しさに磨きがかかる
杉本彩姉さん!

 婚カツが”ブーム”ではなく”定着”し始めた昨今。恋愛や結婚に本気で悩む女性が増えていることを表している現象とも言えそう。そんな中、本音の恋愛トークで多くの女性から支持を集める女優・杉本彩さんが『いい男の愛し方-心も体も虜にさせる20カ条-』(朝日新聞出版)を刊行したとの情報をキャッチ。

 中には「いい女と都合のいい女は違う」「いい男に育てる」などの耳が痛くなりそうな言葉もあり、建前だけの恋愛論とは一線を画した内容に。杉本さんが一般女性にこそ語りたい、本音の恋愛を語ってくれました。

――今、世間では「婚活」がブームになっています。安定した生活を求めてアグレッシブに行動するこの「婚活」というものを、杉本さんはどうお考えですか?

杉本 まず、そもそも若くして安定志向というのが問題だと思うんです。裏を返せばそれは、好奇心や冒険心を抑制するものですからね。この本を読んで「婚活」、ひいては結婚や恋愛に対する価値観をいま一度考えていただければと思っています。

――確かに男性に対する、そして自分に関する考えを省みさせられる内容でした。さて、現在恋人や結婚相手を探している女性の一番の悩みは、なかなか出会いがないことだと言われています。素敵な出会いを見つけるためにはどう行動すればよいでしょうか?

杉本 婚活パーティーに足を運んだりすれば、効率のいい出会いの数は増えるでしょうね。でも大事なのは出会いの質、です! 結婚相手に対して自分の希望する条件というのが絶対的にあって、そこに男の人を当てはめていくという作業は、恋愛からは程遠い。やっぱり私の理想としては、結婚は恋愛の延長線上にあるものなんです。なので、結婚という形にこだわらず、自分の人生に影響を与えてくれる、そういう出会いを求めるべきでしょうね。その結果、縁があれば結婚に至るわけです。


――具体的にはどのような行動を起こせばいいのでしょうか。

杉本 まず何かに情熱を傾けること。趣味でもいいし、もちろん仕事であれば、なおさら素晴らしい。いろいろなところにアンテナを張って好奇心を失わずにいることですね。自分が何かに夢中になって、一生懸命になっていれば、おのずと発信されるものがあると思うんです。そしてそこに共鳴し、感性が合う人がきっといるはず。そこから質のいい出会いが生まれるんじゃないでしょうか。

――『いい男の愛し方』の中では「男を育てる」という項目がありました。普段の恋愛においても、いざ知り合っても「育てるべき男性」と「身を引くべき男性」がいますよね。原石の見分け方のコツはありますか?

杉本 志を持っているかどうかですね。どういう志で夢を追っているか、それが重要です。私は、必ずしもその夢を成功させることがすべてだとは思わないんです。夢の実現は本人の努力だけではどうにもならないこともあります。それより、そこに向かってどういう努力をしてきたかが大切。その場面では報われなかったとしても、その努力は違う方向で生きてきますから。これは男女の関係においても同じですね。

 でも、何の努力もしないダメ男と付き合っていても未来はない。そして、ダメな男と一緒にいる時点で自分にも問題があるんです。人間は、近い感性や同じエネルギーレベルの者同士が惹かれ合うわけですからね。原石を見分ける確かな目を持つには、何よりも自分の感性を磨くことが大切です。


――杉本さんも「ダメな男」と付き合った経験があるんですか?

杉本 私は完成された男より、まだまだ未完成で苦しみながらも何かに挑み続けている人が好きなので、「ダメ男が好き」と誤解する人もいるでしょう。形の分かりやすい成功をしている男しか評価できない人は沢山いますからね。人間は完璧な人なんていないんです。大切なのは、相手の欠点と自分がどう付き合っていくかです。そして形だけの成功に捉われないこと。人間として、男としての愛や信念を兼ね備えているか、男の本質を見抜くこと。しっかりと見極めることですね。

――ステータスや財産がないからダメ男、と一概には言えませんものね。杉本さんは男性のビジュアル面についてはどうお考えですか?

杉本 男性の本質ではなく、そういった地位などのバックグラウンドで判断するのはあまりに安易だと思いますね。ビジュアル的には、それは素敵に越したことはありません。でもみんなが振り向くようなイケメンである必要もない。最低限の身だしなみは必須ですけどね。

 大事なのは、自分が自信をもってその人といられるか、です。美しい男性が大好きだという女性もいますけどね。以前テレビで見たのですが、男性の脳は視覚に、女性は記憶に左右されるんだそうです。言われてみれば、女性が視覚的に翻弄されることめったにないけど、男性は挑発的なルックスの女性に翻弄されがちですよね。

――確かに! では、男性を翻弄するような上質のエロスとはどう身につけるものなのでしょうか?

杉本 自分が官能的な思考回路を持っていることをどうアピールするか? そこがカギですね。もちろんファッションも大きなポイントです。でも、単純に露出度を高くすればいいというわけでもない。エロスは直接的なものではなく、想像から入るもの。そしてそれがさらに脚色されてますますエロティックになっていくんです。そういうエロスの本質を深く理解し、自分も想像力を高めることが第一歩なのではないでしょうか。それには知識や教養も必要ですね。そうやって、感性と教養が同時に磨かれていくとエロスが上級化するんだと思います。

 あとはいかに面倒くさいことを楽しめるか。動物の交尾や繁殖とは違う、人間だからこその心を伴った欲望を持ち、想像力を掻き立てる。ファッションや言動がどういうものなのか、まずはその本質を知り、上質なエロスに触れることです。それを楽しみながら探求することで魅力的な女になれるのです。

――では最後に、カップルが互いに長く愛し合うために、気をつけるポイントはありますか?

杉本 安心だけ、刺激だけに偏らない、程よいバランスを保つことですね。安定と刺激を繰り返すことです。たとえば、電気治療も何度も行なうと体が慣れてしまって、違う刺激を与えなければ反応しなくなる。それは心も同じで、どれだけ形や色を変えた刺激を与え合い続けられるか、が肝心です。

――それを日常生活ではどう行動すればいいのでしょうか?

杉本 自分は彼のよき理解者であり、必ず助けてくれるパートナーだという安心感は与えつつ、たまにはファッションなどで冒険してみるとか。あとは100パーセント彼に所有されないこと。男性は、絶対的に自分が所有したと思うと、安心しきってしまって努力しなくなってしまうんです。また、女性としても見なくなる。心の中では彼だけでも、相手を慢心させてしまうような付き合い方はやめたほうがいいですね。

 恋愛における酸いも甘いも噛み分けながらも、年齢を重ねるごとに美しさを増していく杉本姉さんは、やはり女性のあこがれ! お話を伺いながらも強さとしなやかさを持つ姉さんにうっとりしてしまいました。

 いい女になるには簡単な道のりではないと重々承知ですが、少しでもいい女になるために『いい男の愛し方-心も体も虜にさえる20カ条-』バイブルとして読ませていただきます!
(小坂井良子)

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『いい男の愛し方-心も体も虜にさせる20カ条-』
(朝日新聞出版 1,200円+税)
 媚びない発言で男女を問わずに人気を集める女優・杉本彩が、20の恋愛哲学について綴った一冊。「男に努力させる女になる」「恋愛にテクニックは必要ない」「いい女と都合のいい女は違う」など自身の恋愛体験から生まれた言葉の数々は、恋愛に悩む女性の心に響き、よき道しるべとなってくれる。

杉本彩(すぎもと・あや)
1987年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。女優・作家・ダンサーとして活躍。映画『花と蛇』(石井隆監督)、著書『インモラル』『京をんな』(新潮社)など官能的な作品での表現で高い評価を受ける。バラエティー番組でのストレートな恋愛談でも男女問わず人気を博している。

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最終更新:2011/03/13 18:19