石橋貴明の過去の愚行が波紋…演歌界のドンの前で土下座も
【サイゾーオンラインより】
フジテレビの第三者委員会のヒアリングの対象になっていた『有力な番組出演者』は、とんねるずの石橋貴明と判明。フジテレビ系で過去に放送されていた人気番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(1988〜1997年)時代からの石橋のセクハラ行為が明るみに出ており、石橋の去就に注目が集まっている。
石橋は4月3日に食道がんを公表し、治療のために活動を休止している。がんは早期に発見されたため、半年以内の復帰が見込まれているものの、フジテレビ女性社員へのセクハラ疑惑が浮上したことで、芸能界に戻れるかは不透明な状況だ。加えて、『みなおか』時代からのセクハラが次々に暴露されており、とんねるずの相方・木梨憲武が見て見ぬふりをしただけでなく、当時の行為を面白がっていたという証言もある。石橋と同様の責任を問う声もあり、かねてから囁かれてきたコンビの解散が現実味を帯びてきたという。
3月31日にフジの第三者委員会が公表した調査報告書には、「重要な類似案件」として、10年以上前に「有力番組出演者」が飲み会で女性社員と二人きりになった際、下半身を露出したとされる記述があった。報告書では名前は伏せられていたが、「文春オンライン」がその人物を石橋貴明だと報じた。それを受け、石橋の所属事務所は第三者委員会からのヒアリングを拒否したが、依頼があったことは認めた。石橋はこの件について「覚えていないが大変申し訳ない」などと謝罪コメントを出しているが、文春の報道をきっかけに、過去のセクハラ行為が次々に明らかになろうとしている。
調査報告発表直前には、フジテレビの元相談役の日枝久氏が辞任していた。日枝氏は編成局長時代、当時の部下だった港浩一元社長を通じて『夕やけニャンニャン』にとんねるずを起用し、1988年に『とんねるずのみなさんのおかげでした』をスタートさせたことで、同番組はフジの人気看板バラエティ番組となった。日枝氏はとんねるずを自ら売り出したことを誇りにしており、プライベートでも石橋と頻繁にゴルフに出かけるなど親交が深かった。その後、日枝氏が社長に就任すると、とんねるずはフジテレビから年間5億円のギャラを受け取るほど厚遇されていたという。
石橋は日枝氏の威光を背景に、『みなおか』ではスタッフに対して日常的にパワハラを行っていたとされる。さらに、キャスティングにも口出しし、自らのお気に入り女性タレントの出演を強要する場面もあったという。
松嶋菜々子や小泉今日子に対してセクハラ演技を強要した過去もある。特に松嶋に対する行為は“黒歴史”とされるほどの内容で、現代の基準であれば即座に業界から排除されるレベルだと、当時のスタッフは証言している。
石橋のセクハラは『みなおか』だけでなく、中居とともにMCを務めた音楽バラエティ番組『うたばん』(TBS系)の2002年放送特番でも見られた。当時15歳だった4人組アイドルバンド『ZONE』の初期メンバー・MIZUHOに対し、「なんか、×××の先っぽみてぇだな」とあだ名をつけたという。MIZUHOは「ふざけないでくださいよ。学校に行かなくなるじゃないですか」と抗議したが、石橋は発言をやめなかった。結果として、TBSは謝罪に追い込まれた。
1992年に放送された『みなおか』では、「帰りなおばちゃん」として準レギュラー出演していた女優・稲村さち子に露出度の高い水着を着せ、「ヘアが見える」と発言。テロップには「素人のおばちゃんですからヘアの手入れはしていません」と二度表示され、稲村は石橋と番組のチーフディレクターを民事提訴した。その後、フジのプロデューサーが謝罪し、訴訟は取り下げられたが、この一件以降、番組には“下ネタ禁止令”が出されたという。
にもかかわらず、2017年に放送された『みなおか』の特番では、石橋が「保毛尾田保毛男」として登場。性的マイノリティへの配慮を欠いた演出として批判が殺到し、当時のフジテレビ社長・宮内正喜が謝罪に追い込まれた。
闘病との二重苦を乗り越えられるのか
筆者がこれまでに取材してきた範囲でも、石橋のセクハラはプライベートでも止まらなかった。六本木の高級クラブ『K』ではホステスへのセクハラ行為が見られ、同席していた志村けんもその態度に呆れていたという。常連で“演歌界のドン”と呼ばれた「長良プロダクション」創業者の長良じゅんが、石橋を呼び出して「行儀が悪すぎる」と一喝。石橋はその場で土下座して謝罪したというエピソードもある。
また、石橋はフジの重鎮である日枝氏や港元社長、さらにはお笑い界の大物・ビートたけしに可愛がられ、“ジジィ殺し”と呼ばれていた。筆者がかつてハワイ・マウイ島のホテルで目撃した際には、当時の妻・鈴木保奈美に尻に敷かれて歩いていた姿が印象的だった。その反動が、弱者に対するパワハラやセクハラにつながっていたのではないかとの見方もある。
バラエティ番組関係者も、「石橋の恐妻家ぶりは有名だったが、だからといって弱者へのハラスメントが許されるわけではない。相方の木梨も見て見ぬふりをするどころか、面白がっていた」と語る。
石橋はフジの女性社員へのセクハラ報道について、事務所を通じて「深酒していたためか、覚えていないのが正直なところ。不快な思いをさせてしまったことを大変申し訳なく思っています」とコメントを出した。
かつてのテレビ業界では見過ごされていたような行為も、現在の社会環境下では厳しく問われる。とんねるずの解散が取り沙汰される中、石橋ががんと過去のセクハラ疑惑という二重の問題をどう乗り越えるか、今後の動向が注目される。
(文=本多圭/ジャーナリスト)