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アニメ声優初挑戦の岡田准一は「精一杯演じていた」――ジブリ映画『ゲド戦記』が“残念”なワケ

2025/03/10 08:00
サイゾーウーマン編集部

サイゾーオンラインより】

『ゲド戦記』でアニメ声優デビューした岡田准一(写真:サイゾーウーマン)

 3月7日、日本テレビの「金曜ロードショー」枠で、スタジオジブリ制作のアニメーション映画『ゲド戦記』が放送された。数々の名作を世に放ってきたジブリだが、同作をめぐっては、ネット上で酷評する声も多く、特に、アニメ声優初挑戦となった主人公役の岡田准一と手嶌葵の演技についてネガティブな感想を抱いた人も多いようだ。

目次

『ゲド戦記』のあらすじと公開当時の世間の反応
岡田准一&手嶌葵らに厳しい意見が寄せられたワケ
「存在が一際目立った」芸能人声優とは?

ジブリ映画『ゲド戦記』のあらすじと公開当時の世間の反応

 『ゲド戦記』は、アメリカのSF作家であるアーシュラ・K.ル=グウィン氏の同名ファンタジーシリーズの第3巻『さいはての島へ』の内容に、他の巻の要素と宮崎駿氏の絵物語『シュナの旅』の要素を加えてストーリーを編集した長編アニメ。巨匠・宮崎駿監督の長男・吾朗氏が初めてメガホンを取り、2006年7月に劇場公開された。

 物語の舞台は、「アースシー」という魔法が日常的に存在する世界。本来人間界にいないはずの竜が出現し、さまざまな厄災が起きて世界の均衡が崩れていた。心に深い闇を抱えた王子・アレン(岡田)は衝動的に国王である父を殺してしまい、逃亡中に命を助けられた大賢人・ハイタカ(=ゲド/故・菅原文太氏)とともに、世界に異変を起こしている災いの元を探す旅へ出ることに。その途中で奴隷として売られそうになる少女・テルー(手嶌)と出会い、徐々に心を通わせていくアレンだったが、永遠の命を望む魔法使い・クモ(田中裕子)に利用され、捕らえられてしまう――というストーリーだ。

 声優ライターの勅使河原みなみ氏によると、映画には原作から“改変”された点があるという。

「原作は全6巻を通してゲドを中心に物語が進むのに対し、映画版ではアレンが主人公となり、さらに『父親殺し』というオリジナル設定になっていました。当時、映画を見た原作者のル=グウィン氏は自身の公式サイトで『名前といくつかの考え方を使うだけで、私の本を原作と称し、文脈をあちこちつまみ食いし、物語をまったく別の、統一性も一貫性もないプロットに置き換えました』『これは本に対する冒涜というだけでなく、読者をも冒涜していると言えるのでは』などと酷評(現在は削除済み)。当然、原作ファンからも反感を買い、厳しい評価が寄せられたんです」

『ゲド戦記』声優、岡田准一&手嶌葵らに厳しい意見が寄せられたワケ

 なお、同作の主人公・アレン役は、当時V6の人気メンバーだった岡田が担当。また、ヒロイン・テルー役には、鈴木敏夫プロデューサーや吾朗監督に歌声を気に入られ、主題歌「テルーの唄」で歌手デビューすることになる新人・手嶌が抜てきされている。そのほか出演陣には、『千と千尋の神隠し』(01年)で窯爺役を演じた菅原氏や、『もののけ姫』(1997年)エボシ役を務めた田中をはじめ、風吹ジュン、香川照之、小林薫、夏川結衣、倍賞美津子、内藤剛志ら、豪華な顔ぶれが揃った。

 しかし、映画を見たアニメファン、声優ファンからは、「岡田准一の声が低すぎてキャラクターのイメージと合ってない」「手嶌葵はセリフが棒読み」などと、特にメインキャラを演じた2人に手厳しい意見が寄せられたのだった。

 実際、アニメ制作会社関係者は、映画についてこう指摘する。

「全体的に、説明不足な印象を受けました。キャスト陣は懸命に演じていましたが、脚本と演出が噛み合っておらず、有名俳優の起用が十分に活かされていなかったのが残念です。また、脚本の粗さや作画クオリティの低さが目立ちますが、それらは吾朗監督の未熟さに起因しているように思います。結果として、“親の七光り”によって成り立った作品という印象が拭えず、どれだけ優秀なスタッフやキャストに恵まれても、作品の基盤がしっかりしていなければ駄作になってしまうことを示した例といえるでしょう」

『ゲド戦記』で、「存在が一際目立った」芸能人声優とは?

 今回の地上波放送終了後、ネット上には「アレン役って岡田准一だったんだ」「岡田くん声優やってたの知らなかった」と驚く声のほか、「メインの2人より脇役の声優たちが大御所すぎて喰われてる」という意見もあった。

 前出の関係者からは、岡田と手嶌の演技について以下のような意見が寄せられた。

「アレンというキャラクター自体が説明不足で、つかみどころのないキャラだったにもかかわらず、岡田は精一杯演じていたと思います。旧ジャニーズ事務所の声優経験者と比較しても、彼の声の演技はうまい部類に入り、声優としても十分に通用する芝居を見せていました。一方の手嶌は、正直なところ演技が棒読みで、歌ありきのキャスティングだったのではないかと感じます。こうした選び方は往々にして成功しにくく、この作品も例外ではありませんでした」

 一方で、ル=グウィン氏も「『ゲドの温かくて暗い声は特にすばらしかった』と絶賛していた」(前出・勅使河原氏)という菅原氏は、「驚くほど自然な演技でありながら、アニメーションとも見事に調和していた」(制作会社関係者)とのこと。

「声優としての経験が豊富ではないにもかかわらず、作品の世界観にしっかりと馴染んでいて、その演技は文句のつけようがなかった。菅原さんの存在が作品の中で一際目立ち、声優としても高く評価できる演技を見せていました」

 ジブリ作品に限らず、岡田や菅原氏のように、プロから高い評価を得る“芸能人声優”が今後も現れることを期待したいところだ。


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最終更新:2025/03/10 08:22
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