神田沙也加の元恋人、前山剛久が語った「週刊女性」独占インタビューの謎
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
個人的には今期ナンバーワンドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)だが、主演の目黒蓮が過労でダウンしてしまった。感情障害も併発しているらしい。心配だ。8月26日放送は特別編で、これはこれで素敵な物語だったが、やはり早く本編の続きが見たい。カムバック!
目次
・今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
・神田沙也加の元恋人、前山剛久が語った意味
・市川猿之助を直撃する「週刊女性」の緊張感
・石田純一、「週刊女性」のインタビューが読み応えある理由
今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
第712回(8/21〜8/27発売号より)
1位「独占インタビュー 前山剛久『彼女から別れを切り出され、復縁も申し込まれたのですが……』(「週刊女性」9月10日号)
2位「目撃スクープ!! 市川猿之助 弟子に『青空稽古』で仕込む復帰への道」(「週刊女性」9月10日号)
3位「人間ドキュメント 俳優・タレント 石田純一『「不倫は文化」と書いた新聞には感心しているんです』」(「週刊女性」9月10日号)
神田沙也加の元恋人、前山剛久が語った意味
今週の「週刊女性」は読み応えがある。よって、すべてのランキングが「週女」になってしまった。ということで、まずは1位、前山剛久の独占インタビューだ。
でも、前山って誰? という人も少なくないかもしれない。だが2021年に急逝した神田沙也加の恋人といえば、多くの人は思い出すだろう。松田聖子というあまりに偉大な歌手の一人娘として育ち、そして35歳という若さで自ら命を断つという衝撃的な死を選んでしまった、沙也加の当時の恋人だ。
しかも沙也加の逝去後、前山との交際やトラブルが沙也加の自死の理由のひとつとして報じられたことから、大バッシングを受けた人物でもある。その後、俳優だった前山は芸能活動を休止、所属するワタナベエンターテインメントも辞めた。そんな前山は今年2月にインスタをスタートさせて話題になったが、今回「週女」の独占インタビューに応じている。
沙也加の死から2年半、前山は何を語るのか。沙也加との関係でいえば、これまでの報道以上のものはほぼない。しかし報道を認めた上で、自らの言葉で改めて事実関係を語っている。
例えば当時、沙也加と前山が口論する音声データが流出し、「週刊文春」(文藝春秋)で報じられたが、そのことについても前山はインタビューでこう語っている。
「彼女と何度もケンカをしていたのは事実ですし、思い詰めてしまったのだとしたら、僕との関係にもその一因があったのではないかと思っています」
中には事実関係が違う報道もあったが、それに反論することはなかったという前山。そして改めて前山が語ることの経緯を見ると、その原因を前山だけに求めるのも無理があるということが浮かび上がってもくる。
例えば当初から結婚を前提として交際が始まったが、交際期間は2カ月。沙也加が亡くなったときには、すでに別れていたこと、その別れは沙也加から切り出されたこと、その後、再び沙也加から復縁を求められ、復縁の話し合いの前に沙也加が亡くなってしまったこと――。
もちろん沙也加亡きあとの前山の一方的な証言ではあるが、しかし母親・聖子との関係や複雑な生い立ち、精神的に不安定だったという多方面の報道などから鑑みると、今回の前山の証言には一定の事実があるように思える。
そういうわけで、“恋人”という当事者が語る証言であり、沙也加を、そして彼女の死を考える、大きな意味があるインタビューだ。だがこのインタビュー、その後の展開がかなり変わっていた。
というのも、前山インタビュー記事の中盤、なぜか「身近な人が精神的に不安定な状況のとき、どう対処すればいいのか」を精神科医に解説させているのだから。
続けて前山が受けたSNSでの誹謗中傷に対しての対処も、同じく精神科医にアドバイスを求めている。芸能事件からみの当事者の独占インタビュー記事なのに、なぜか突然に挿入される専門家の客観的“解説”や“アドバイス”。こんな形態、なかなか珍しい。
独占・スクープインタビューなのに、そこからどんどん離れて脱線していく感じ――。さすが「週女」、変わってる。少し残念。
市川猿之助を直撃する「週刊女性」の緊張感
そして2位も「週刊女性」のスクープだ。昨年、一家心中事件を起こし、自殺幇助で執行猶予中の市川猿之助の目撃談、そして近況と近影を報じている。記事によると8月下旬、近所の公園に向かった猿之助は、公園の木陰ベンチで弟子の市川段一郎に演技指導を行っていたという。傍には愛犬の姿も。
そんな2人の様子を隠し撮りしながら「週女」は20数分様子をうかがった。そして直撃! ここからの展開が面白い。猿之助に声をかける「週女」記者。無言のまま記者にスマホカメラを向ける猿之助。代わって「(猿之助の復帰について)まったく関係ございません」と答える段一郎。
その間、立ち上がり歩き出す猿之助と、後から追う段一郎。さらに声をかける「週女」記者に「やめてもらっていいですか」と猿之助。そして段一郎に「車を動かしておいて」と指示する猿之助――。ひゃー、すごい緊張感。ピリピリする!
こうしたやりとりは週刊誌の醍醐味でもある。猿之助の現在の様子が手に取るように描写される。ザ・芸能記事という1本だった。
石田純一、「週刊女性」のインタビューが読み応えある理由
そして最後も読み応えのあるインタビュー・ルポだ。さまざまな波乱万丈な人々にスポットを当てた「週刊女性」の名物連載「人間ドキュメント」。
今回取り上げられたのは俳優の石田純一で、ルポの筆者は本橋信宏氏だ(本橋氏は「噂の真相」時代に大変お世話になった大先輩!)。映像化され大きな話題となった『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)の著者でもある。
そんな2人の“タッグ・ルポ”が面白くないはずはない。トレンディ俳優、そして不倫スキャンダル、政治的発言など、これまでの石田の軌跡を“タブーなく”描くルポとなっている。なかでも石田のこの発言はしびれた。
「(政治的発言で仕事を失い)それで生活ができなくなったとしても、オレは戦争への道だけは行くべきじゃないと思う。憲法の解釈を変えたら地球の裏側にまで派兵できる法律、それはダメだよね。オレはデモに行ってくるって(妻の)理子に言ったら、“どうせ止めても行くんでしょ”って(笑)」
ぜひご一読を。