Aぇ!group、キンプリ超えのデビュー曲売り上げでも……「新しいかたちでの人気獲得」に期待のワケ
5月15日、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)から新グループ、Aぇ!groupが「《A》BEGINNING」でデビューしました。彼らの宿命と期待をライター・太田サトルがつづります。
目次
・Aぇ!group、キンプリのデビュー曲超えの売り上げ
・すべてがフラットになった時代での戦い
・新しいかたちでの人気獲得に期待
Aぇ!group、キンプリのデビュー曲超えの売り上げ
Aぇ!group待望のCDデビューから、あっという間に2カ月がたった。5月15日に発売されたデビュー曲「《A》BEGINNING」は、オリコン、ビルボードでともに週間チャート1位を記録。オリコンでの初週売り上げ枚数は62.5万枚で、King&Princeのデビュー曲「シンデレラガール」の売上枚数57.7万枚を越え、堂々のデビューを飾ったといっていいだろう。
ここでいったん、このデビュー曲「《A》BEGINNING」をあらためておさらいしてみたい。
<新しい未来へ It’s the Biginning>
<新時代への挑戦者(チャレンジャー)>
歌い出しから「前向きな決意表明」をストレートにぶつけたロックなダンスナンバーである。旧ジャニーズ事務所でロック系のデビュー曲といえば、KAT-TUN「Real Face」や男闘呼組「DAYBREAK」などほかにも存在するが、ジュニア時代からバンド編成のパフォーマンスを主軸のひとつとしていた彼らにぴったりの路線だと思う。
ファンに喜んでもらえそうな、かっこいい系の楽曲であり、カップリングにジュニア時代の代表曲を並べてきたのも、“ファンファーストで確実に結果を出す”というデビュー戦略が選択されたのだろう。
ここで、ちょっと離れた位置から見たAぇ!groupの現在地について考えてみたい。
人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)での活躍でお茶の間への周知も高い草間リチャード敬太をはじめ、個々のメンバーの認知はそれなりにあるはずで、「Aぇ!group」という名前を聞いたことあるという人は一定数いるだろう。
しかし、そんな彼らが5月にデビューを飾ったことを知る人はどのくらい存在するのだろうか? さらにいうと、「《A》BEGINNING」のサビを口ずさめる人は、ファン以外にどのぐらい存在するだろうか?
すべてがフラットになった時代での戦い
細かな説明の必要はないだろうが、旧ジャニーズ事務所の創業者であり元社長のジャニー喜多川氏の騒動を受け、所属タレントの露出は一時期激減した。
それと同時期には、事務所の体質変化もあり、他事務所のボーイズグループ、K-POPグループらとの共演も増加。これまで見られなかった事務所の垣根を超えたコラボ、退所したタレントとの共演や交流もオープンになるという時代が訪れたのだ。
そんな中で、新事務所・STARTO ENTERTAINMENTが送り出した初のデビューグループである。これまでのように、事務所がメディアと連動して大々的に売り出そうとすれば、バッシング・炎上に結びつくだろう。つまり、すべてがフラットになった土壌でスタート時から戦うという宿命を背負ってのデビューとなったわけだ。
そんな状況の中での初週売り上げ60万枚突破は、大健闘どころか大ヒットである。この結果を導いたのは、もちろんファンの力だ。もともとあった高い人気に加えて、逆境の中での初となるデビュー組だからこそ、いっそう応援したいという気持ちも、その数字を押し上げただろう。
新しいかたちでの人気獲得に期待
ジュニアにはHiHi Jets、美 少年、さらには7 MEN 侍、少年忍者、Lilかんさいなど、次世代を担うことを期待されてきたグループがまだまだ多数存在する。
Aぇ!groupのデビューがどう受け入れられるかは、次のグループデビューの試金石のような重要な意味も持つ。
そのためにも、コンサートの動員数やYouTube再生数などの成績が良い彼らが「新時代/新事務所」の最初の一歩を飾る役割を任され、売り上げ枚数で成功を収めたことは、大きな意味があるだろう。
とはいえ、同事務所がずっとこだわってきた「CDデビュー」という基準自体がもう崩壊している一面もある。HiHi Jets、美 少年のメンバーなどデビュー前からさまざまな人気番組に出演して、ある程度認知度が高いと、「CDデビュー」したことに、一般層が気付くことは難しいだろう。
さまざまな課題と逆境にある同事務所において、彼らの活躍は、次期デビューにも大きく影響するだろう。また、すべてがフラットになった新たな時代を象徴する存在になるだろうからこそ、新しいかたちでの人気の獲得、それこそ“BIGINING”を期待したい。