皮膚科医が教える「手荒れ」ケア、3つのポイント! ハンドクリームがおろそかになる部位は?
2月になってから寒い日々が続き、空気の乾燥も一層厳しく感じられますね。加湿器をつけていても、手肌の皮膚は気づけばカサカサ! ハンドクリームをつけるものの、いまいちケアの実感が持てないという方も少なくないのでは?
野村皮膚科医院・院長の野村有子先生によると、実はハンドクリームでケアしていても、“指先”はおろそかになりやすいんだとか。そこから手荒れがはじまると、痛みやかゆみを伴い重症化するケースもあるとのこと。そこで、手荒れを起こさないためのケア方法について、野村先生にお話しを聞いてきました。
※2017年7月23日公開記事を再編集しています。
乾燥しがちな冬に多いイメージの“手荒れ”。ところが現代では、日常的なパソコンやスマートフォンの使用、手洗いの励行、手指消毒の習慣化などが原因で、夏場でも手荒れを起こしている人が少なくないそうです。しかも、そんな“現代版手荒れ”に気づいていない人が多く、知らないうちに重症化してしまうことも。そこで、ユースキン製薬記者勉強会の中で、野村皮膚科医院・院長の野村有子先生が行った講演「現代版手荒れと、その予防と対策」をレポートします。
「現代版手荒れ」は指先から始まる
顔、首、手先は、1年を通して外気に晒されている部分。中でも手先は、最も酷使しているものの、「日常的なケアは顔周辺ばかりで、手は何もしていない」という人が多いかもしれません。また、ハンドクリームなどで念入りにケアしている人でも、“指先”はおろそかになり、指先に荒れが生じている人も多いそう。野村先生は、「指先から始まる現代版手荒れは、放置すると重症化する可能性がある」と言います。
皮膚が乾燥すると肌の水分量が低下し、肌表面の角質が浮いて、“カサつき”や“ささくれ”を起こします。そこで適切なケアを行わず放置していると、皮膚の柔軟性が失われて硬くなったり、関節を曲げるなどの力が加わったときに亀裂が入って“あかぎれ”になったりと、重症化。「亀裂が表皮の下にある血管まで広がって、出血することもある」(野村先生)そうです。
「重症化すると痛みやかゆみも伴うため、そこでようやく皮膚科を受診する人が多いのですが、こうなる前にケアをしないと、完治するまで非常に時間がかかってしまいます。そのため、日ごろの予防と早い段階でのケアが、最も重要になります」と、野村先生。先生の元を訪れる患者さんの中には、患部が赤く腫れてジクジクしていたり、水膨れができたり、黄色い汁が出たりするまで重症化している人もいるそうです。
手荒れを重症化させないための「3つの習慣」
現代版手荒れを起こさない、また、悪化させないためには、日常の手洗いで次の3つに気をつけることが大事だそうです。
1.ぬるめのお湯で洗う
「冷たすぎても熱すぎても、肌へ負担がかかってしまいます。特にお湯は肌の油分も奪ってしまうので、温度には気をつけましょう。ちなみに42度は、人の“かゆみセンサー”のスイッチがオンされる温度なので、シャワーなどでもかゆみを感じたときは、温度を下げた方がいいです。手洗いの際は、人肌に近い33~35度くらいが適温と考えてください」
2.洗浄剤は低刺激なものを使う
「肌の弱い人やすでに手荒れ起こしている人は、手洗いの洗浄剤は低刺激のものを使ってください。なお、ノロやインフルエンザなどがはやっているときは殺菌作用の強い洗浄剤で洗い、普段は低刺激の固形せっけんを使うなど、使い分けるのがおすすめです」
3.手洗い後は水分をよく拭きとる
「手洗い後に水分が残っていると、蒸発する水分と一緒に肌の水分も失われてしまいます。そのため、手洗い後はハンカチでしっかりと手を拭くことが大事です。また、ハンカチは毎日取り換えて清潔に保ち、ビショビショの汚いハンカチを使わないようにしてください。ハンドタオルは水分をよく吸収してくれるので、ハンドタオルとハンカチの2枚を持ち歩くといいですよ」
さらに手洗いのあとは、ハンドクリームを正しく塗って指先を保護することも大切だそうです。
ハンドセルフィーでセルフチェック予防の第一歩
仕事や日常生活に支障をきたすこともある“現代版手荒れ”。ただ、重症期になるまで気づいていない患者さんが非常に多いだけに、野村先生は、ユースキン製薬が提唱する“ハンドセルフィー”によるセルフチェックも有効だと語ります。
“ハンドセルフィー”とは、利き手の指先が見えるように軽く手を握り、スマートフォンなどのカメラで撮影。撮れた写真を拡大して指先を見ると、自分では気づいていなかった指先の荒れがわかる方法です。チェックをしたら、正しいハンドケアを行い、もう一度チェックするところまでが1セットだそうです。
「皮膚がめくれていたり、白っぽくカサカサになっていたりしたら、現代版手荒れを起こしています。また、爪に縦や横の筋が入っている場合も、爪が傷んできている証拠」(野村先生)。
現代版手荒れは、早めにケアをして重症化を予防することが大切なので、定期的にハンドセルフィーを行い、指先の手荒れが起きていないか確認するのが望ましいとのことでした。
「地面が乾くと地割れを起こしますよね。荒れている肌はそれと同じ状態なんです。地面が雨で潤されるように、人の肌もハンドケアで潤いを与えてあげることが大切です。手洗いの意識とハンドクリームによる保護で、キレイな手を保ちましょう。“手荒れという事件は指先から始まる!”と思ってくださいね」という野村先生の言葉で、講演は終了しました。
(取材・文/千葉こころ)