コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

秋篠宮家、進学校を選ぶ事情――“未来の天皇”目される悠仁さまの帝王教育とは?

2024/02/17 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 今回も、前回に引き続き秋篠宮家について振り返っています。

(C)gettyimages

 秋篠宮家の長男・悠仁さまの大学進学をめぐる報道が盛んになっている。かねてより東京大学への推薦入学の可能性がささやかれていたが、ここにきて、信ぴょう性が増しているのだ。

 悠仁さまが筆頭執筆者となった、赤坂御用地のトンボに関する学術論文。これが国立科学博物館が発行する研究報告誌「国立科学博物館研究報告A類(動物学)」に収録され、東大の推薦入学への布石だといわれている。

 推薦はいまだ臆測の域を出ないものの、ネット上では秋篠宮家への批判が続出。どうして一般受験ではなく推薦枠を利用するのかと指摘する意見が多く、皇室の特権を利用しているのではないかとのコメントも見られる。

 そこで、秋篠宮家の教育方針について解説した記事を再掲する。

※2022年1月15日公開の記事を再編集しています。

目次

秋篠宮家の教育方針は?
秋篠宮ご夫妻、学習院は「劣化した」
悠仁さまが一般的な進学校に進んだ影響とは?
秋篠宮の帝王教育の考えは……
佳子さまだけが皇室で評価を上げ得た
秋篠宮家の財布事情は厳しい?

秋篠宮家の教育方針は?

――今日は、眞子さまの結婚騒動をきっかけに関心が集まったテーマ、秋篠宮家の教育についてお話いただきます。

堀江宏樹氏(以下、堀江) さすがにこのテーマについては、雑誌に膨大な量の記事が掲載されていますね。私なりに分析するに、やはり秋篠宮家の教育方針は、記事のタイトルにもなった「子どもの興味を大切に!」(「女性自身」2004年4月27日、光文社)という言葉に尽きるようです。

 この記事によると、当時まだ小学生だった佳子さま(9歳)がフィギュアスケートの大会に出場、活躍するお姿が描かれています。成績は小学3年のクラスで「11人中6位」、「今大会」では「15人中10位」だったそうですが、“それでも素質は十分で、オリンピックを目指してほしい!”なんて記事はまとめられています。

――かなりヨイショ感が……(笑)。

堀江 一方、眞子さんはこの日、学習院女子中等科にご入学。同校のOGである紀子さまが懐かしい先生がたと談笑する姿がつづられています。

 それから約10年後の2012年、「文藝春秋SPECIAL」(文藝春秋)3月号に寄稿された江森敬治氏による記事「眞子さま、佳子さま 花開く『秋篠宮流子育て』」によると、眞子さんが学習院ではなく国際基督教大学に進学した背景には、「どのような方向に進んだらよいのかをいろいろと考え、そのためにはどこの大学に行くのが良いのかということを両親と話し、また、知人からも話を聞き、だんだんと自分の進路を決めていった」と伝えられました。

――やはり、自分の意思が尊重されているんですね。

堀江 しかし、実際はそれほど和やかにすべてが進んだわけではなさそうですよ。

 今年2021年、小室圭さんとの結婚を目前に控えた眞子さんが突如、自身を「複雑性PTSD」を患っていると告白、中学のころからすでに「誹謗中傷に精神的負担を感じていた」とも明かしましたからね

――それは眞子さんの学習院女子中等科時代に、すでに“誹謗中傷”を感じる出来事があったということですよね?

堀江 おそらく。記事のお写真を見ていても、この頃からの眞子さまの表情にはどこか翳りが宿されるようになった気がします。また、後には秋篠宮家の全ての皇女、皇子が学習院との縁を切って、外部に進学してしまいました。

 02年11月、36歳の誕生日の記者会見で、秋篠宮さまは子育てについて次のように述べておられました。「それぞれが持っている個性、それぞれがやりたいこと、やってみたいことなどをできるだけ伸ばしていってあげることができれば」というお言葉どおりの教育を、2人の皇女に宮さまが施そうとしていたことがわかります。

 しかし、学習院とは別の教育機関に次々と眞子さん、佳子さま、そして悠仁さまがご進学した事実からは、「秋篠宮流」子育ての場として学習院は不適当とみなされたことが透けているのです。

愛子さまに気を使う学習院に、秋篠宮ご夫妻は「劣化した」

――14年10月2日号の「女性セブン」(小学館)では、「秋篠宮家と学習院 かくも深き確執 2年前の『門前払い事件』」と題した記事を載せています。

堀江 この記事では、07年9月に学習院初等科の教員男性がお気に入りの女子生徒に約8年にわたって“セクハラ行為”を繰り返した事件などが報道されています。これは、秋篠宮ご夫妻がお茶の水女子大附属幼稚園を悠仁親王の進学先に選ぶきっかけにもなった事件だと目されています。

 また10年3月には、当時初等科2年だった愛子さまへの“いじめ問題”も学習院初等科で発生。学習院側はそれ以降、愛子さまにはとても気を使うようになり、悪くいえば、腫れ物に触るように特別に接してしまっていた、と。

 それが秋篠宮ご夫妻にとって「学習院の教育は劣化してしまった」と感じさせる結果となったとの説明もされています。

――記事には雅子さまや皇太子殿下も「皇族として特別扱いすることなく、他の児童と別け隔てなく教育してほしい」と強い要望を持っておられたとも書かれていますが、それが学習院では実践されなかったと、文章がほのめかしていますね。

堀江 10年4月、眞子さまが学習院女子高等科から国際基督教大学(ICU)の教養学部アーツ・サイエンス学科に進学。佳子さまも一時は学習院大に新設された教育学科に通い始めたものの、やはり姉宮のあとを追うように学習院大を退学、ICUの同学科に進学することになった“事件”が起きています。

悠仁親王殿下が一般的な進学校に進んだ影響

――同10年4月には悠仁さまもお茶の水女子大附属幼稚園にご入園ですね。

堀江 これらの“秋篠宮家の学習院離れ”の結果、眞子さまはICUで小室さんと「出会ってしまった」わけで、「もし学習院大だったらこんなことにはならなかったはず」とする記事もいくつか読んだ記憶があります。しかし結局は、ご本人の価値観が問題の根源では……。

 以前にこの連載でもお話したように、“中国のラストエンペラー”溥儀(ふぎ)の親戚にあたる愛新覚羅家のプリンセスが、バンカラすぎた学習院の同級生と心中事件と思われる悲しい死を遂げたこともありましたから。すべてが教育機関の問題ではない、とするのが理性的な見解ではないでしょうか。

――その一方、“未来の天皇”と目される悠仁親王殿下が、“皇族の学校”のイメージがまったくない、一般的な進学校である“お茶の水系”の教育機関に進学したことを受け、「帝王教育」はどうなっているのだ、という声は大きくなりましたよね?

堀江 秋篠宮家は「帝王教育」など何も考えていないのでは!? という世間の声もあるわけですよね。逆に、すでに秋篠宮流の「帝王教育」は着々と進んでいるのでは……と私には思われるのですが。

秋篠宮の帝王教育の考えは……

――そうなんですか?

堀江 皇室の「帝王教育」には、具体的なテキストが明確に存在するわけではないのです。かつては天皇陛下や、年長の皇族方の生き方から学ぶのが「帝王教育」の本質だとされていたはずですが、秋篠宮の両殿下は、より開かれた環境に早い年齢から出ていき、さまざまな方々の影響を受けることが、悠仁親王には何よりの「帝王教育」になるとお考えだったのではないでしょうか。

 まぁ、開かれた環境に出ていても、“30歳までに大学で出会った相手との結婚”というご両親譲りのストーリーに固執した眞子さんのような例があることも事実なので、すべては自分次第の部分もあるのですが……。

――それを言っちゃあおしまいよ、という感じです(笑)。

堀江 しかし、悠仁さまに関してはほとんど何も聞こえてきませんね。眞子さまの結婚に関する世間からの強い風当たりに、心を痛めておられるという記事もいくつかWEB上で目にしました。

 また、眞子さんのお見送りなどにも、結局、悠仁さんの姿がなかったことは気になります。実姉の結婚なのですから、学校を休むことだってできたはずなのに……。

――佳子さまに関してはどうでしょうか? 眞子さんの結婚時に見せたさまざまな行動について、世間の一部は「秋篠宮家の教育は大失敗!」などと騒ぎたてましたよね?

佳子さまだけが皇室で評価を上げ得た

堀江 実は眞子さんの結婚問題で、唯一皇室で評価を上げ得たのは佳子さまだけではないか、と私は思っています。佳子さまは、眞子さんの結婚を応援してきたことで知られますよね。しかし、さすがに理由も言えないのに「誹謗中傷」とばかり繰り返す眞子さんを見て、何かがおかしいと感じぬわけにはいかないでしょう?

 おそらく眞子さまは自分の信じたいことを真実だと思い込み、それにすがるしか、ご自分の理性を保つ方法がないというあたりにまで追い込まれていたのではないでしょうか。

 しかし、世間から猛批判を浴び、大炎上する眞子さんに具体的に寄り添ったのは、佳子さまだけでしたよね。ご自分も“延焼”する危険性をもろともせず、身を投げ出すようにして、姉君に寄り添ったのです。

――たしかに、最後まで寄り添っていらっしゃいました。現在も連絡を取られておいでとか。

堀江 あの時の佳子さまのお姿は、「自分の結婚時にも外野にうるさく言われたくないから、姉に協力し、少しでも自由に結婚できる先例を作る」といった打算で動いているようには、私の目には見えなかったのです。

 佳子さまには、眞子さまが真実に目を向けるよう、導いていただきたかったという本音もあるのですが、中学時代から傷ついた心を抱えてきた眞子さまは、もはや真実がもたらす痛みに耐えられなくなってしまっていたのかも。それを佳子さまは誰よりもわかっていたから、姉君を守ろうと必死だったのかもしれません。

 もちろん、これらは断片的にしか伝わってこない情報を、私なりに統合し、推理した結果にすぎないわけですが……。佳子さまについては、世間の一部でいわれているような、“公”よりも“私”を追求したがる、ちゃらついたお嬢様というわけではなさそうです。

秋篠宮家の財布事情は厳しい?

――ところで、秋篠宮家は、皇太子家(当時)に比べ、世間との距離は近いようですね?

堀江 皇太子家とは異なり、秋篠宮家は生活にまつわるすべての経費を自力で支払わねばなりません。

 専属の職員数も皇太子家に比べると少なく、警備の皇宮警察31人に、ほかの宮家と分担してあたってもらっていると紹介されていました(「FRIDAY」講談社/06年10月6日号、「悠仁さま 天皇教育に立ちはだかる『予算格差の壁』」)。

 秋篠宮家にかつて支給されていたという「皇族費 5490万円」の捉え方についても、人件費が高騰した現代において何人ものメイドやスタッフ、さらには護衛なども雇って、家族4、5人で暮らすとなると「厳しい」のが現状であろうかと思います。

 筆頭宮家とはいえ、そんな秋篠宮家に生まれ育った時点で、ご姉弟はご両親のさまざまなご苦労を肌身に感じておられずはずです。

――現時点で、秋篠宮さまは皇位継承順位第1位の「皇嗣」として、皇族がたの中では最大の皇族費9150万円を受け取る立場になられましたね。

堀江 はい。シビアな言い方になりますが、皇族として生きるにふさわしい資質をお持ちの方だけが皇室を支えていく。昔も今もそうやって皇室は歴史をつないでいるのです。

 だから、単に皇族の子に生まれた“だけ”で、その方も皇族としてちゃんと活動できるかは別問題と考えるべき時期に来ているのでしょうね。

 現制度では皇族のお子さまは20歳を迎えると自動的に「成年皇族」として、より多くの皇族費を受け取り、人前に出て公務を本格的にこなす生活に移行していくのです。しかし、何かと制限も多い皇族の人生を受け入れる覚悟が本当にあるのかを丁寧にヒアリングし、ご本人の意向を反映したほうが、眞子さまのような“モンスター・プリンセス”、あるいはプリンスを世に出さないで済みそうです。

――モンスター・プリンセス……。

堀江 結婚騒動で、皇族として積み重ねてきた全てを名実ともに失った小室眞子さんだけを見て、秋篠宮家の方々についてすべて理解したつもりになるのは、まだ早いのではないでしょうか。

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

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最終更新:2024/02/17 17:00
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