サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿余裕の1月校に落ちた元受験生の告白 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験、余裕の1月校に不合格も……本命校に合格! 元受験生が語る「目が覚めた」瞬間 2024/01/21 13:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) コラム 写真ACより 今年も、埼玉・千葉で中学受験の入試本番がスタート。両県の学校を「お試し」で受けるという東京・神奈川の受験生も多いことだろう。 一般的に、1月校をお試し受験する場合は、偏差値的に「余裕で合格できる」学校を受けるものだが、例年、まさかの不合格を突きつけられ、愕然となってしまう親子が出てくるのだ。 2月1日からの本命校の受験を前に、1月校の合格を得て自信をつけておきたいという目論見が外れ、自信喪失してしまっている親子は、ここからどう立て直しを図ればいいのか――。 受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏によるサイゾーウーマンの連載コラム「“中学受験”に見る親と子の姿」では、かつて1月校に落ちたものの、その後、本命校の合格を勝ち取った神奈川在住の元中学受験生の経験談を掲載した。 「1月校に落ちたからこその本命校合格だったと思います」――なぜ彼はそう語るのか。いま絶望の真っただ中に放り出された親子に向けて、同記事を再掲する。 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。 中学受験、余裕の「1月校」でまさかの不合格、「終わった」から挽回できる? 初出:2022年1月9日 今年も首都圏では1月10日の埼玉入試を皮切りに、中学受験は入試本番を迎える。例年、入試解禁日は埼玉が1月10日から、千葉が1月20日から、東京・神奈川が2月1日からとなっているため、地方入試(地方にある寮完備の学校が首都圏で入試を実施すること)も含め、1月中に入試を行う学校を「1月校」と表現することが多い。 この「1月校」であるが、「お試し受験」と呼ばれることもある。2月に本番を迎える東京・神奈川の受験生が「腕試し」的に受験するケースが多いためだ。仮に合格しても、実際には(その大半が)入学しない学校を受験するという意味なのであるが、これには、本番受験を経験するということと、早めに合格を手にして、本命校の受験に繋げるという大きな目的があるのだ。 神奈川在住の慎吾くん(仮名)も1月校入試を体験したひとりだ。しかし、結果はまさかの不合格。偏差値的には余裕でクリアできるとの塾の“お墨付き”を得ての受験だったのだが、これが受験本番の怖いところで、番狂わせが起きてしまったのだ。 慎吾くんの自己分析によると、1月校のA校には模試会場以上に人が溢れていて、完全に雰囲気に呑まれたのだそうだ。 「なんか、周りの人たちがすごくできるように見えちゃって……。そういえば、僕はここの過去問を手にしたこともないって思ったら、頭の中が真っ白になりました……」 慎吾くんには「あ~、終わったな(=不合格)」という確信があったそうだが、実際に自分の番号がない画面を目にした時は相当なショックを受けたという。 「自分には偏差値から見たら、A校なんて目をつむっても受かるっていうような慢心があったんですよね……。完全に受験を舐めてました」 その後、慎吾くんは塾の勧めによって、急きょ、地方にある学校の東京入試を受験し、とりあえずの“合格切符”を手にしたそうだが、まったく喜びはなかったそうだ。 「そこは飛行機の距離なんで、現実的には入学することもない学校です。というか、どんな学校なのかもまったく知りませんでしたし……。ただ、周りの大人たちが、自分にA校落ちのショックを緩和させたい一心というのは理解していました(笑)」 2月1日の本番受験まで、この間、約3週間。慎吾くんは1日の大半を塾の事務室の片隅で本命校の過去問を解いて過ごしていたそうだ。 次のページ 不合格から3週間、本命校の結果は…… 123次のページ 関連記事 中学受験本番、プレッシャーで「腹痛」に……お試し校「不合格」の親子を救った人物とは?中学受験のお試し校に不合格! 「私の費やした時間、お金……」母がぶつけた“言ってはいけない言葉”中学受験、偏差値35の私立中から慶應大学合格も……「ゆる受験」成功の女性が後悔するワケ中学受験ミラクル合格――「持ち偏差値から15上」の鉄緑会指定校で、息子が腐らなかったワケ中学受験で全校合格、しかしすぐ不登校に……「半狂乱になった」心配性の母親の告白