コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

木下優樹菜に“叩かれキャラ”を背負わせる、フジテレビのエグさ

2023/12/21 21:15
仁科友里(ライター)

 騒動を謝罪せず、「被害者」と主張する優樹菜と、そんな彼女を叩くネットユーザー、その様子を追うマスコミという構図が見えてくるが、一番エグいなぁと思うのは、3者いずれでもなく、優樹菜を起用しているフジテレビだ。

 昨今、コンプライアンスを重視するテレビ局は、視聴者に“タピオカ店とのトラブルを円満解決した”という印象を与えられていない優樹菜を起用しないだろう。にもかかわらず、フジテレビが優樹菜を使うのは、コンプラの遵守より、彼女に“叩かれキャラ”を背負わせ、意図的に炎上を招くことで話題性を高めようとしているのだと思う。今の優樹菜にとってフジテレビは“蜘蛛の糸”のようなもので、その細い糸にすがるしかないと考えると、同社にエグさを感じざるを得ない。

 フジテレビといえば、“台本がない”とされる恋愛リアリティ番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラー・木村花さんの自死が思い出される。彼女は番組に出演したことで誹謗中傷に晒され、自ら命を絶ち、木村さんのお母さんはフジテレビら3社を相手に訴訟を起こしている。

 訴状には「リアルであることを積極的に宣伝し、出演者が標的になりやすい構造をつくっていた」と書かれていたそうだが、優樹菜もまさに今、フジテレビがつくった「標的になりやすい構造」の中に組み込まれているといえるのではないか。彼女は事務所に所属していないから間に入って守ってくれる人もおらず、芸能界戻りたさに何でも引き受けてしまい、ますます激しいバッシングに晒されることは想像に難くない。

 優樹菜は今、なりふり構っていられないのかもしれないが、彼女にはお子さんが2人もいるのだ。バッシングや嫌がらせの矛先がお子さんに向かないとは言い切れないのだから、リスクのあるキャラ売りをしたり、お子さんをテレビに出したりするより、騒動をあらためて謝り、被害者としての振る舞いをやめたほうが、よっぽど芸能界復帰は早くなるのではないだろうか。

 「過ちては改むるに憚ること勿れ」というが、今からでも決して遅くない。お子さんの安全と教育のためにも、そうしたほうがいいように思えてならない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2023/12/21 21:15
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