サイゾーウーマンカルチャーインタビュー吉田豪インタビュー「叶井俊太郎」 カルチャー 叶井俊太郎✕吉田豪 “余命半年”の叶井俊太郎、プロインタビュアー・吉田豪による最後のロングインタビュー! 2023/12/20 14:00 吉田豪 インタビュー 「くらたまさんのあとがきで、叶井さん頭おかしいと思った」 実は30年前から面識があったご両人(撮影:サイゾー) ――現在こういう状況になって、あのときこうしときゃよかったなー、みたいなのとか多少反省することとか出てきたりするんですか? 叶井 ないでしょ(あっさりと)。何度も言ってるけど、ホントに未練なくてさ。まったく後悔もないし、やり残したこともないのよ、ホントに。 ――女性トラブルや金銭面も含めて、たいへんな思いをしてきた人のはずなのに。 叶井 まっっったくないね。余命半年って言われてあらーっと思ったけど、来年の映画を観られないなー、いま読んでる漫画の続きどうなっちゃうんだよ、ぐらいの感じ。自分のこととか嫁のこととか娘のことも一切ないね。娘の成長を見届けたいから頑張って生きたいんだ! とかさ、そんな気持ちになると思ったけどならない自分を客観的に見ていられる。 ――くらたまさんが描いてきた叶井さん像がホントだったんだなっていう感じなんですよ。 叶井 あ、ホント? どんな像だったの? ――ひたすら呑気で深いことを考えない。 叶井 考えないねー。 ――『ダメになってもだいじょうぶ 』(幻冬舎)本で興味深かったのが、くらたまさんは男とつき合うとき、無人島に流れ着いたときのことを想像する、と。そして、結婚するまでは無人島に流れ着いたときになんとかしてくれる人がいいと思ってたけど、叶井さんは「なんとかなるでしょ」と昼寝を始めるタイプっていう。それを聞いた叶井さんが「たしかにトラブル解決能力はゼロだけどストレスにはめっぽう強い、どんなに切羽詰まっても笑っていられる自信はあるし、彼女曰く『笑って死ねるんならまあいいか』」って言ってたんですけど、まさにじゃないですか。 叶井 ホントだね。それ書いてるの? あれ10年以上前の本だから、そのときとぜんぜん変わってないんだろうね。 ――本当に「まあいいか」な人なんだなって。 叶井 しょうがない、なるようにしかならんっていうことなんだろうね。常にそうだから末期がんで余命宣告を受けてもジタバタしてないよね、そのまま受け入れる。まったく未練がないから悲しむこともない。くらたまはちょっと悲しんでたよ。 ――そりゃそうですよ。 叶井 泣いてたよ。娘も俺の血を引いてて、一切泣かないからね。一昨日なんてヤフーニュースになったじゃん、娘も知ってるわけよ、スマホ見てるから。「父ちゃん、ヤフーニューストップになってるよ」「俺もう死んじゃうから労わってくれよ」みたいなこと言ったらさ、「いや、そんなことよりもハロウィンのコスプレ衣装買いたい」と。 ――思春期だ(笑)。 叶井 「セクシー警官やりたい」と。 ――ダハハハハ! そっちなんだ(笑)。 叶井 「ドンキで9000円するから1万円くれ」って「いや、俺いま末期がんだから金とかせびるなよ」って言ったら、「みんな買うんだもん!」とか言うから、あげたよ1万円。 ――ハロウィンで渋谷とか行くタイプなんですかね。 叶井 そうそう、セクシー警官を4~5人で渋谷でやるらしいんだよね。「今年、渋谷はハロウィン禁止なんだぞ」って言ったら、「大丈夫、警官だから」とかわけわかんないこと言って。「来週の月曜日は文化祭の振替休日でディズニーシーに行くから2万円くれ」とか昨日も言ってきたしね。末期がん患者に金せびって。だから娘もぜんぜん悲しくないのよ。 ――いませびっておかないと、もうせびれなくなるし。 叶井 そうそう、いまのうちに金せびっておくんだろうね。金かかるよ中2。この2日で3万が消えたからね、すごくね? そういうふうになってくるんだよ。 ――医療費がそんなにかかってないぶんがそっちに流れて。 叶井 そっちに流れてんの。だから俺が病気だからといって看病なんてひとつもしないし、家事のひとつもしないし、学校から帰ってもバーッと着替えて「夜8時に帰ってくる!」って遊びに行っちゃうわけよ。「ご飯は?」って言うと「友達とマック行く!」とか、そんなノリ。だから家に閉じこもってゲームとかスマホって感じじゃなくて、ずっと遊びに行ってるから活発な子に育ってよかったと思うけど、逆に俺がこうやって末期がんだって知ってるけど、ぜんぜん落ち込まないっていう。 ――ふつうでいるほうがいいですよね。 叶井 だから俺もけっこう助かってる。家でも体調悪いときがあるわけ。それでも「そんな痛いんだったら早く寝れば?」とか言って自分の部屋に行っちゃうんだよ。だからべつに心配も何もしてない。してない振りをしてるのかどうかは知らんけど、何も気にしてない素振りなのが俺的には心地いいよね、号泣するよりね。 ――くらたまさんのあとがきで、叶井さん頭おかしいと思ったんですよ。「『ウゥーッ腹が痛い』苦しそうな様子の夫。『えっ?』驚き青くなる私。『うそー』笑う夫。たまに夫がやるようになった悪質な冗談。何度騙され、何度困ったことか」って。 叶井 ハハハハハ! それは家でよくやってるね。 ――最悪ですよ! 叶井 「うぅ……」とかやってさ、「どうした!?」とか言われてさ、「いやギャグだから」とかさ。 ――リアル狼少年ですよ(笑)。 叶井 相当泣いてるからさ。くらたますぐ泣くのよ、そこがおもしろくてね。心配してるからさ。 ――この時期、一番やっちゃいけないヤツです! 叶井 末期がんの人がそれやっちゃいけないでしょ。やってるからね、俺。狂ってるよね。いやおもしろいわ、末期がんはおもしろい。 続きは日刊サイゾーで全文掲載中! 前のページ12 最終更新:2023/12/20 14:00 関連記事 「最強のだめんず」と言われても、娘にとって「最高の父ちゃん」を見極めたたった一つのポイント最終回までラスト3回、叶井俊太郎が12年間の子育てで「マジで怖かった出来事」ベスト3を振り返る!新型コロナが落ち着き、クラブ活動も再開したはずが……!? 小学6年生の娘に起こった変化 【ジャニーズ情報専用】Twitterアカウント「J担しぃちゃん」オープン! 楽天 エンドロール! ココちゃんが警察官コスをする年頃になったなんて! 次の記事 『あの花』長く評価されそう? >