【管理栄養士が厳選「ズボラ飯」のススメ】

「しゃぶ葉」を超えた? しゃぶしゃぶ食べ放題、管理栄養士が「ゆず庵」を選ぶワケ

2023/12/08 21:00
猪坂みなみ(管理栄養士)
写真ACより

 寒い季節になると、鍋が恋しくなりますよね。特にしゃぶしゃぶはヘルシーなイメージもあることからダイエットに適しているともいわれています。外食でおなかいっぱいまで食べられるしゃぶしゃぶ食べ放題の店もいくつかあり、肉の種類やサイドメニューの品数、出汁のバリエーションも豊富でどれも魅力的で迷ってしまいます。そこで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生に、しゃぶしゃぶ食べ放題チェーンの「しゃぶ葉」「温野菜」「ゆず庵」について、各店の魅力やおすすめの出汁、サイドメニューについて教えてもらいました。

※各店とも豚肉のみ食べ放題の最安メニューで比較。
※価格やメニューは2023年12月5日時点の情報です。
※一部店舗では価格が異なります。各公式サイトでご確認ください。

しゃぶしゃぶがダイエットに良いのは本当?

――しゃぶしゃぶはダイエットに良いともいわれていますが、本当ですか? 牛肉と豚肉で栄養素の違いはありますか?

猪坂みなみ先生(以下、猪坂) ダイエットを効率よく進めるためのひとつの方法として、低エネルギーな野菜類をたっぷり食べることでおなかを満たすというものがあります。しゃぶしゃぶは野菜やきのこをたくさん食べることができるメニューなので、その点ではダイエットに向いているといえるでしょう。

 牛肉と豚肉はどちらもたんぱく質の摂れる食材ですね。ほかの栄養素でいうと、牛肉の場合は、貧血が気になる人にはしっかりとってほしい「鉄分」や、たんぱく質やDNAの合成に関与している「亜鉛」などを含みます。そして豚肉の場合は、糖をエネルギーに変換してくれる「ビタミンB1」を特に多く含んでいるという特徴があります。


――カロリーや脂質が気になる場合、どの肉を選んだらいいですか?

猪坂 豚でも牛でも、「バラ」は脂質が多く高エネルギーなので避けて、「ロース」などの比較的赤身部分が多いお肉を選ぶとよいでしょう。
鶏肉が選べるコースの場合は、「鶏もも」を取り入れるのも良いですね。

しゃぶ葉、おすすめの出汁は「鶏がら醤油」か「柚子塩」

――人気のしゃぶしゃぶ食べ放題チェーン「しゃぶ葉」の特徴と、おすすめの出汁をひとつ教えてください。

猪坂 しゃぶ葉の「豚食べ放題コース」(ランチ1,759円、ディナー2,199円/税込、以下同)では、「豚肩ロース、豚バラ肉、鶏肉」の中からお肉をチョイスすることができます。ディナーはさらにつくねも登場しますよ。ほかのお店と比べると1,000円程度安い価格設定ですが、野菜は、サラダバーにある約20種類ものラインナップから好きなものをお皿に盛ってくることができ、それだけでなくうどんやラーメン、ご飯、カレー、デザートなども食べ放題になっています。コスパ重視派の方には特におすすめですね。

 出汁は、カロリーが気になる人なら100gあたり7kcalで抑えられる「鶏がら醤油」か「柚子塩」をおすすめします。辛いものが好きな人なら「赤チゲ味噌」を選ぶのも良いですね。唐辛子に含まれているカプサイシンには、脂質代謝を促進する働きも期待されています。


写真ACより

――しゃぶ葉のおすすめのサイドメニューを教えてください。

猪坂 しゃぶ葉では、タレや薬味のラインナップが豊富なので、好きなものを組み合わせてオリジナルドレッシングを作り、サラダにかけて食べるのがおすすめです。

 野菜は、鍋の中に入れて茹でると、切り口からゆで汁へ流れ出ていってしまう栄養素もあるのですが、生のまま食べるとそんな栄養素の流出を防ぐことができます。

ーーしゃぶ葉は人参、ネギなどをスライスしてミックスした「香味野菜」が人気ですが、生で食べるか茹でて食べるかで意見が割れているようです。

人気の香味野菜は茹でて肉に巻いて食べる(写真AC)

猪坂 しゃぶ葉の野菜コーナーは、お鍋に入れる「しゃぶしゃぶ用お野菜」と、サラダとして食べられる「サラダ用お野菜」に分かれています。香味野菜は「しゃぶしゃぶ用お野菜」のほうに置かれていますので、生ではなく加熱して食べることを想定されているということになりますね。もちろん加熱用だとしても衛生状態には十分配慮されているとは思いますが、お店側の推奨通り、お鍋で加熱してから食べるのが良いでしょう。

温野菜、おすすめの出汁は「濃厚豆乳だし」

――温野菜のメニューの特徴と、おすすめの出汁を教えてください。

猪坂 温野菜の「豚しゃぶコース」(3,728円)の特徴は、お肉が6種類ものラインナップの中から選べること。豚肉や鶏もも肉だけでなく、鶏ロースやつみれもあるので、飽きずに楽しめるでしょう。

 野菜は15種類の中から選ぶことができますが、それだけでなくマロニーや餅巾着、餅しゃぶ、水餃子、ウインナーなど、いろいろな具をお鍋に入れて楽しめます。さらにサイドメニューやデザートがかなり充実しているのもうれしいポイント。枝豆やカプレーゼ、牛すじ豆富、棒棒鶏、パフェ、ティラミスなどがあり、全部でメニューは60種類以上。幅広い好みに合わせて楽しめるお店だといえるでしょう。

写真ACより

 おすすめの出汁は「有機大豆の濃厚豆乳だし」です。豆乳には大豆レシチンという成分が含まれていますが、レシチンを構成するコリンという成分は、脂質代謝を促進して体脂肪の分解を助けてくれます。さらにかつおや昆布だしが加わることで、しっかりとしたうま味が感じられます。うま味のきいたお料理は食事に対する満足感を高めてくれるので、食べ過ぎの防止にも役立つでしょう。

――温野菜のおすすめのサイドメニューを教えてください。

猪坂 「うずらの味玉」です。しゃぶしゃぶではお肉を食べるので、どうしても脂の摂取量が多くなりがちです。そのため、脂質代謝を助けてくれるビタミンB2を含むうずらの卵を食べることができるこちらのメニューを合わせることをおすすめします。

ゆず庵なら「塩茹で枝豆」もおすすめ

――ゆず庵のメニューの特徴と、おすすめの出汁を教えてください。

猪坂 ゆず庵の「お手軽コース」(2,948円)の大きな特徴は、しゃぶしゃぶだけでなくお寿司も食べられるという点です。お肉だけでは摂れる栄養も限られますが、お魚も食べることで、中性脂肪の低下などに役立つDHAやEPAなどの魚油成分も補えますね。

 もちろん、ほかのお店同様、野菜やキノコ類もオーダーすることができますし、天ぷらや茶わん蒸し、もずく酢、鶏のから揚げ、フライドポテトなど、幅広いメニューを楽しめます。

 出汁の中では「鰹一番だし」や「ゆず庵昆布だし」などの、うま味をしっかり感じられて低脂質なものをおすすめします。お肉や揚げ物で脂質を摂取すると思いますので、その分出汁はさっぱりしたものを選ぶとバランスがとれますよ。

――サイドメニューのおすすめを教えてください。

猪坂 「塩茹で枝豆」をおすすめします。しゃぶしゃぶのようなお鍋メニューは塩分の摂り過ぎにつながりやすいので、余分な塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きを持つカリウムを摂取したいところ。その点で、カリウムを含む枝豆はサイドメニューにうってつけでしょう。

――全店に共通して、シメに食べるのはご飯か、うどんやらーめんなど麺類のどれがおすすめですか?

猪坂 シメに食べるものは、基本的にはお好みで選んでいただいて良いと思いますが、ダイエット中の場合は麺よりもご飯を選ぶのがおすすめです。

 麺はあまり噛まなくても食べることができてしまい、どうしても早食いになりやすいメニューだからです。早食いの人は太りやすいということもありますので、どちらかというとゆっくりよく噛んで食べることができるお米を選ぶほうが良いでしょう。

――最後に、猪坂先生が行くならどの店のどのコースを選びますか? 

猪坂 どのお店も魅力的なので悩みますが、 お肉だけでなくお魚メニューが豊富な「ゆず庵」は 近所にあったら行ってみたいと思いました。お寿司も食べ放題の対象になっているので、 不足しがちな魚介類の栄養をとれるという点が魅力的です。たっぷりの野菜と、お肉、お魚を楽しんだ後は、 ソフトクリームなどのスイーツが選べるのもうれしいと思います。

猪坂みなみ(管理栄養士)

猪坂みなみ(管理栄養士)

管理栄養士。大学卒業後、大手食品メーカーにて商品企画や研究開発などに従事。ダイエットアドバイザー、料理研究家助手、医療ヘルスケアベンチャー企業の商品企画職等を経て、現在はLINEで気軽に取り組めるパーソナルダイエットプログラム「ダイエットナビ」の運営や、ヘルスケア領域の新規事業開発アドバイザリー、法人向けの健康経営サポート等を行う。

管理栄養士が厳選「ズボラ飯」のススメ

【Diet Solution Lab】

最終更新:2023/12/10 08:19
結局、肉は豚がうまいのさ