「ボリュゾ」の中学受験はなぜ大変? 「絶望しかなかった」平均偏差値49の母の実体験
上は偏差値60校から、下は偏差値35校あたりまで、20校以上は見て回ったという美穂さん。その中から、明奈さんには3校を見学させたという。
「偏差値58校、偏差値51校、偏差値42校の3校です。どの学校にも、明奈を実際に連れて行き、本人の希望を聞きました」
明奈さんが一番、「行きたい」と言った学校は偏差値58校だったそうだ。
「この学校は成績上位の人たちが、滑り止めとして併願する学校ですから、『合格確実』とは、とても言えませんでした。でも、行きたい学校があるのなら、受験させてあげたいという親心もあり、私は偏差値58校を軸に、併願作戦を練ることに徹したんです」
首都圏の場合、1月から埼玉・千葉入試が始まり、2月1日からは東京・神奈川入試が続く。以前までは、東京・神奈川の学校を本命とするご家庭にとって、埼玉・千葉(あるいは地方寮制中学)の1月入試は、「試験慣れのため受ける」という側面が強く、合格しても辞退するケースが多かった。
しかし、今は「1月校も本命」とするご家庭が増えている。その理由は、交通網の発達により、埼玉や千葉の学校にも無理なく通えるようになったからなのだが、以前よりも格段に受験校の範囲が広がったがゆえに、併願日程を組む親は余計に頭を使う事態となっている。
「受験日程はまるでパズルのようでしたね。偏差値58校は不合格の確率が高いわけですから、そこがダメな時のことを考えないといけません。例えば、偏差値58校の受験は2回あるのですが、2回ともチャレンジするのか、また1月校はどうするのか、午後入試をするとすれば、どこを受けるべきか……さらには、過去問との相性も含めて、『これがダメならこっち。これが受かっていればこっち』というように、1月から2月6日までの日程を何パターンもシミュレーションし、頭の中がこんがらがって大変でした(笑)」
そして、入試本番――。