『ルパン』次元大介声優の魅力――関係者が語る、故・小林清志さんと大塚明夫の評判
モンキー・パンチ氏の名作漫画『ルパン三世』シリーズ(双葉社)の実写映画『次元大介』が、10月13日よりAmazonプライム・ビデオにて世界独占配信をスタートした。
この映画は、大怪盗アルセーヌ・ルパンを祖父に持つ主人公のルパン三世の相棒で、射撃の名手である次元大介にスポットをあてた実写化作品。小栗旬がルパンを演じた2014年公開の実写映画『ルパン三世』から引き続き、玉山鉄二が次元役で主演を務めている。
長年連れ添って来た愛銃を修理すべく日本を訪れた次元が、過去のトラウマによって声を出せなくなった少女・オトと出会い、彼女を守るため戦いに身を投じる――という物語だ。
初代次元大介役の声優、故・小林清志さんは「性格も次元」
『ルパン三世』といえば、そのアニメ版は日本を代表する作品として、長きにわたり世界中から愛されてきた。
個性豊かなキャラクターたちの中でも、屈指の人気を誇る次元。その魅力の一つとして、ハードボイルドでクールな見た目にマッチした、渋みある落ち着いた低い声が挙げられるだろう。50年以上に及ぶアニメシリーズの歴史を支えてきた歴代キャストは、業界内で一体どのような評価を得ているのだろうか。
「初代次元役・小林清志さん(22年7月に死去)の声は、決して低くも高くもなく、通る声でもない、けれど彼しか出せない独特の質感をしていました。年齢を重ねてもその声質はずっと変わりませんでしたね。晩年は体力面からか、座ってアフレコをしていたのですが、マイクを通した声は昔と同じ。滑舌も悪くならず、最期まで現役を貫いていました。小林さんと仕事をしたことのある声優は皆、彼のことを尊敬していたと思います。周囲に対して変にへりくだるわけでも、驕り高ぶるわけでもなく、性格も次元に似て、飄々とした寡黙な方でした」(声優業界関係者)
また、小林氏は、体調面の管理を人一倍行う人物だったようだ。
「長く声優業を続けていく上で欠かせないのが、体調管理。長い間、深酒や喫煙を続けていると、どうしても声質に影響が出てしまいます。そんな中、小林さんは、常に声優であることを意識して健康面に配慮しながら生活しているようでした。例えば、『ONE PIECE』(フジテレビ系)シリーズのシャンクス役で知られる池田秀一や、フランキー役の矢尾一樹らは、お酒により声が衰えているのが明らかで、その点でいうと、最期まで同じ声質で演じ続けた小林さんは本当に立派です」(同)
2代目次元役・大塚明夫氏は小林清志さんの「後任に文句なし」
そんな小林氏から役を引き継ぎ、21年10月~22年3月放送の『ルパン三世 PART6』(日本テレビ系)から次元の声を担当しているのが、ベテラン声優の大塚明夫だ。
「彼自身もダンディで、革ジャンとハーレー、車が大好き。昭和の“イケおじ”という印象で、昔はすごくモテてていました。また、もともと俳優としても活動していた彼は今でも舞台に出演していますから、“人に見られている”という意識を常に持っている。今後もずっと“イケおじ”スタイルを貫くでしょうね。性格はとても社交的で、後輩にも気さくに話しかけるタイプ。後輩の芝居をきちんと見た上で、その場で褒めてくれるので、みんな喜んでいるみたいですよ。芝居についても、小林さんの後任には文句なしの腕前です」(同)
なお、大塚のほか、初代から役を引き継いだ2代目『ルパン三世』声優の評価については、以下のように語る。
「主人公・ルパン役の栗田貫一は、いつまでたっても“モノマネ”から抜けられず、まったく芝居が上達しません。石川五ェ門役の浪川大輔は、演技はイマイチですが、声質は合っていると思います。峰不二子役の沢城みゆきは、才女役のイメージが強かっただけに、当初は意外性があったものの、色っぽいキャラクターにも案外ハマっていました。銭形警部役の山寺宏一は、大塚と同じく声も演技もドンピシャで合っていると思います」(同)
長年愛される『ルパン三世』シリーズ。それぞれの役の“新旧の声”を聞き比べてみるのも面白いかもしれない。