中学受験、国語の長文問題を投げ出す「精神年齢が低い息子」が覚醒したワケ
そんな悟志君が変わったのは、補習塾に入った6年春頃からだという。補習塾の先生と馬が合ったようで、母の目には徐々に「受験生っぽく見えてきた」そうだ。
「悟志の通っていた大手塾の授業は一斉授業。なので理解できていなくても、そのまま授業が進んでいくため、途中でただの“お客様”(授業料だけを落とす存在)になっていたんだと思います。悟志は集中力に欠ける面があるので、やる気がなくなったら、『もうやめた!』って投げ出すところがあるんです。でも、補習塾の先生が大手塾の授業前に、予習として集中して聞くべきポイントなども教えてくださったようで、大いに助けられたみたい。多分、勉強のやり方も丁寧に教えてくださったんだと思います」
その成果が少しずつ現れてきたのが6年の秋だったという。
「あれだけ苦手だった国語で、過去最高の偏差値を取ってきたんです。補習塾の先生は褒めちぎってくださるし、大手塾の先生には『このままいけばA中学合格間違いなし!』と言われ、俄然、やる気になったようなんです。自分から『ゲームを封印する』って言い出して、休憩時間は歴史やことわざの漫画本を読むようになりました。6年の秋頃には『目つきが変わった』気がしましたね」
敦子さんが中学生になった悟志君に、「覚醒したきっかけはなんだったの?」と聞いたところ、「ノートの使い方、授業で重要視しなきゃいけないポイントとか、効率的な勉強のやり方がわかったのが大きかった」と答えたそうだ。
「ハッとしました。私は勉強のやり方なんて悟志に教えたこともなかったですから……。思い返すに、私は悟志に泳ぎ方も教えないまま、海に突き落としたようなものだったんだなって反省しました。補習塾の先生がいてくださって、本当に良かったです」
「勉強のコツ」をつかんだ悟志君は、苦手な国語でも「これが正答!」と自信を持って答えられることが増えたそうで、成績が急上昇。やればやった分だけ成績が上がるのがうれしくて仕方なかったようで、集中して受験勉強に励むようになったという。
加えて、悟志君が長年抱えていた「なぜ勉強をしたほうがいいのか?」という疑問に、補習塾の先生が答えをくれたことも、変貌を遂げるきっかけになったそうだ。
「先生が『低い山から見る景色と、高い山から見る景色は違う。高い山は景色がいい。でも、高い山に登るためには、それ相応の装備と準備が必要。まずは、低い山で練習しながら、徐々に挑戦できる体力をつけなければならない。途中で諦めて、投げ出すことなく、悟志は少しずつ己を鍛えながら、高みを目指せ! なぜなら、そのほうが人生は楽しくなるからだ』っておっしゃったそうで。それが、胸にズンと響いたらしいです(笑)」