BALLISTIK BOYZが「タイで売れる」理由とは? JO1や他グループにない強みを専門家が分析
――音楽面以外で、日本のボーイズグループがタイで人気を得るカギはなんだと思われますか?
山麓 ずばり、「ファンサービス」です。例えば、日本ではコンサート中に客席に手を振ることもファンサービスに数えられると思いますが、タイのアーティストはコンサート中、客席に降りていっちゃいます(笑)。客席中を練り歩いて、サビの「愛してるよ」みたいなフレーズで、あえて目の前にいる1人のファンに向けて歌う……これがタイのファンサービスです。日本のアーティストがここまでやったら「神対応」と絶賛されると思いますが、タイでは「普通」のこと。これは大きな違いでしょう。
また、イベント中にファンから写真をお願いされたら、肩を組んでツーショットを撮ってくれるなんてことも。よっぽど怪しい人じゃなければ、基本的に「誰でも写真OK」というほど寛容なんです。なぜならば、ファンがこうしたツーショット写真などをSNSにアップすること自体が、タレントのプロモーションだと考えている芸能事務所が多いから。たくさんの「いいね」がついて話題になれば、それだけで宣伝になりますよね。
――ジャニーズを筆頭にタレントの肖像権に厳しい日本では、なかなか見られない対応です。
山麓 日本は基本的に、コンサート中に写真や動画を撮影するのも禁止ですよね? でもタイでは、スマホやカメラで推しを撮影して、YouTubeやSNSにアップするのが普通。むしろ日本のように、撮影が禁止されている国のほうが少ないと思いますが……。とにかく、日本からタイに進出するなら、そのあたりの文化もタイ側に合わせる必要があるでしょうね。
特にジャニーズは肖像権に厳しい事務所だと思うんですが、タイのイベントに限って写真撮影OKにするとか、ローカルルールへの歩み寄りは必要だと感じます。
――そのほかにも、日本とタイのアイドルカルチャーで大きな違いはありますか?
山麓 タイの人たちには「担降り」という概念があまりないかもしれません。「推しは多いほうが楽しい」といった感じで、ずっと同じアーティストを応援しながら、新人にもすごくオープンマインドで、気になったらその人も一緒に推すという感じ。常にアンテナを張って、ちょっとでも引っかかったものはどんどん吸収していくような人が多いですね。
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