BALLISTIK BOYZが「タイで売れる」理由とは? JO1や他グループにない強みを専門家が分析
2022年からタイで“武者修行中”のLDH所属・BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE(バリスティックボーイズ)活動が好調だ。タイの音楽業界で注目のアーティスト、TRINITY(トリニティ)とコラボした楽曲「Drop Dead feat. TRINITY」は、23年2月にYouTubeでMVが公開されると再生数は1000万回を突破。コメント欄には日本語とタイ語が入り乱れた称賛が並んでいる。
さらに8月29日にはタイの人気俳優、ガルフ・カナウットとコラボレーションした「All I Ever Wanted feat. GULF KANAWUT」をリリース。同日にはグループ初となる現地でのファンミーティングを開催した。
一方、LAPONEエンタテインメント所属のJO1も昨年7月からタイ語でもSNS投稿を行い、現地ファンを喜ばせてきた。来月11月から始まる初のアジアツアーでは、インドネシア・ジャカルタ、タイ・バンコク、台湾・台北、中国・上海の4都市をめぐる。
そのほかにも、LDHのPSYCHIC FEVERや旧ジャニーズ事務所のSnow Manもタイ活動を展開しているが、現地点ではBALLISTIK BOYZが人気の面では優勢といえるだろう。
実は22年8月に公開した記事で、タイポップス探検家の山麓園太郎氏がBALLISTIK BOYZについて「タイで売れる可能性が高い」とコメントしていた。タイ進出する他ボーイズグループにはないその理由とは? あらためて記事を紹介する。
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7月上旬、タイのとあるネットユーザーが、『PRODUCE 101 JAPAN』(GYAO!、TBS系)を称賛するツイートを投稿。同番組は、韓国発のデビューを目指したサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版だが、この投稿がタイ国内外で4.7万リツイートされるほどの“バズり”を見せ、タイのネットユーザーのみならず、日本でも大きな話題になった。
特に『PRODUCE 101 JAPAN』から誕生したボーイズグループ・JO1のファンが敏感に反応し、タイに向けてSNS上で“布教”を開始。JO1の運営元である吉本興業のタイ支社や、JO1の公式Twitterも、タイ語の投稿を行う展開となった。一つのTwitter投稿によって、事務所まで巻き込む“タイ進出”が始まったのだ。
一方、同じ日本のボーイズグループだと、ジャニーズ事務所所属のタレントは以前からタイに進出しており、2006年には山下智久とタイの兄弟ユニット・GOLF&MIKEによる3人組ユニット「GYM」が日本とタイでデビューするなど、つながりは深い。近年では20年、Snow Manがタイの音楽イベント『Japan Expo Thailand 2020』に出演。メンバーの向井康二がタイ生まれとあって、“CDデビューから10日”という異例の早さで、初の海外パフォーマンスを成功させている。
さらに今年は、LDHの若手グループ・BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEとPSYCHIC FEVERが活動拠点をタイに移し、武者修行をすると発表した。
このように、ジャニーズ、LDH、そして吉本という日本の大手芸能事務所とタイの関係が今後深まっていきそうな気配があるが、果たして、JO1、Snow Man、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE、PSYCHIC FEVERの4組が、「タイで売れる」可能性はどれほどあるのだろうか?
そこで今回、タイポップス探検家であり、タイの音楽関係者とも交流を持つ山麓園太郎氏に、タイの国民性や音楽カルチャーを踏まえながら、4組それぞれについて「売れそうなポイント」を分析してもらった。
――日本のボーイズグループが続々とタイに進出していることに対して、どのように感じていますか?
山麓園太郎氏(以下、山麓) ここ2~3年の間、日本で“タイドラマブーム”が起こったように、タイは今、韓国と並んで「アジアのエンタメ発信地の一つ」になっていると思います。タイで活動することは、日本のアーティストにすごくいい刺激を与えるはずですし、成長できる機会になるでしょうね。なので、どんどん進出してほしいです。
もともとタイは親日国なので、すでに日本のカルチャーは注目されていて、「日本の音楽が好き」っていうファンコミュニティもある。メジャーなアーティストでいうと、YOASOBIやSEKAI NO OWARIなんかは、すでにタイでも知名度があります。日本でそこまで有名じゃないアーティストもしっかりチェックしている、“日本好き”な人も多いんです。
Snow Manの強みは、〇〇と「タイ舞踊」のようなダンス!?
――となると、日本のボーイズグループもタイで人気を獲得できそうですね。
山麓 ただ、ボーイズグループとなると、タイではまだまだK-POP勢が強い。そんな中でも唯一浸透している日本のボーイズグループは、やはりジャニーズだと思います。今回、4組のミュージックビデオ(以下、MV)などをチェックしましたが、Snow Manはタイにルーツのある向井くんがいることもあって、人気が出ると思いますよ。K-POPガールズグループのBLACK PINKも、メンバーのリサさんがタイ出身なので、やっぱり人気。仲間意識というか、“母校を応援するような気持ち”と一緒なのかもしれません(笑)。
――Snow Manは、音楽面ではどのように評価されそうですか?
山麓 ジャニーズは、もう「ジャニーズ」っていうジャンルが確立されています。安心して見られる/聞ける、“安定の日本ブランド”のようなものですね。タイでは「ジャニーズ=J-POPの王道」という認識ですから、Snow Manはやはりジャニーズブランドがしっかり確立されているだけに、人気も出やすいと思います。
でも、Snow Manの一番の強みって、僕はダンスだと思っていて。JO1とLDHの2組とSnow Manを比べて見たとき、ダンスのスキルは全グループ高くて、優劣はつけられませんでした。ただ、JO1とLDH2組がストリートにルーツを持ち「カッコよさ」を突き詰めていくタイプのダンスに見えるのに対して、Snow Manはバレエやミュージカルをルーツに持つ「エレガント」な動きがよく見られますよね。これはジャニーズのグループ全体にいえることですが。
特に「オレンジkiss」のMVを見ると、指先まで使った感情の表現がとても見事。タイ舞踊でも、こうした指の動きはすごく重要になるので、現地の人たちは、絶対にそこを見逃さないはずです。
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