コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

フジモンは「正義感すごい」とは言い切れない? 当て逃げ事故で思い出した、後輩芸人への激怒事件

2023/10/19 21:40
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「正義感すごい方なんですよ」小川泰平
『ゴゴスマ~GO GO!smile!~』(10月12日、TBS系)

 “フジモン”ことお笑いコンビ・FUJIWARAの藤本敏史が乗用車を運転中、別の乗用車に接触するも、何もせずにその場を立ち去ったという“当て逃げ事故”が起こった。被害者が警視庁に相談したことで、このニュースは大々的に報じられ、藤本は当面の間、活動を休止することになった。

 「ほかの車に接触したことはわかったけれど、知らないふりをして逃げてしまった」のか、それとも「接触したことに気づかなかった」のか。この点は、芸能人である藤本のイメージを左右することになると思うが、10月12日放送の『ゴゴスマ~GO GO!smile!~』(TBS系)に出演した犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏によると、車体の大きさに差があると、ほかの車に接触しても気づかないケースがあり、ドライブレコーダーの記録などをもとに判断されると解説していた。

 小川氏は藤本と共演した経験があるそうで、「正義感すごい強い方なんですよ。だから、逆にちょっと、本当にそんなのがあったのかっていう、私は本当非常にびっくりしています」と発言していた。同番組のほかの出演者で、藤本の後輩にあたる野々村友紀子や、カンニング・竹山隆範は「そんなことをする(接触したのに気づいていたのに逃げる)人ではない」と述べ、またMCの石井亮次アナウンサーも「例えば本当に気づいてなくて、もうこの自分のコメントで『すいません気づいてなかったんです』と言い訳がましくせずに、『すいませんでした』ってしてる可能性もあると思います」と「あえて言い訳しなかった」のではないかと藤本をかばっていた。

 詳しいことは今後の警察の捜査で明らかになるだろうが、私が興味を引かれたのは「(藤本は)正義感が強い」という言葉だった。

 小川氏のYouTubeチャンネル「小川泰平の事件考察室」によると、小川氏は情報番組に犯罪のスペシャリストとして招かれることがあり、藤本とは何度か共演しているそう。その収録前の前室で、藤本が番組で扱う事件の犯人について「こいつ、とんでもない奴ですよね」と話しかけてきたことから、小川氏は「正義感が強いんだな」と思ったという。 だからこそ、小川氏は「藤本のように正義感の強い人は、犯罪行為をしない」と思っているのだろうが、そうとも言い切れないのではないか。

フジモンは「弱い人には強い」傾向があるといえなくもない

 バラエティで見る藤本は、「イジられキャラ」「おちゃらけキャラ」のイメージが強い。にもかかわらず、カメラの回っていないところで、犯罪者に厳しいことを言うのは、彼本来の 正義感の強さの表れであることも十分考えられる。けれど、社会的に追い込まれ、反論できないことがわかっている相手を、強い言葉で断罪していると考えると、藤本は「弱い人には強い」傾向があるといえなくもない。

 仮にそうだとしても、それ自体は責められるべきことではないが、こういう性質は今回のような有事の際はマイナスに働くだろう。

 というのも、もし藤本が相手への対応を、社会的な強さ/弱さで変えるタイプである場合、 車をぶつけたことに気づいても、自分は人気芸能人で、相手は一般人だから、許してくれるのではないか……と、瞬時に自分に甘い判断をしてしまった可能性もまったくないとはいえないだろう。

 「弱い人には強い」といえば、藤本のこんなエピソードが思い出される。ある年の年末、仕事を納め、芸人同士で食事に行ったときのこと。藤本は後輩の有吉弘行に「藤本さんは貧乏だから餅も買えないだろうから、1万円くらい、早めのお年玉でもやろうか」とイジられたときは「俺の嫁、誰やと思ってんねん。木下優樹菜だぞ」とツッコんで笑いにしていたが、平成ノブシコブシ・吉村崇が「そうですよね。藤本さん、あまりテレビで見ないですよね」と乗っかると激怒し、彼のアゴをつかんで道の反対方向に連れて行き、何やら詰めていたそうだ。

 吉村は同じ事務所の直接の後輩であるため、聞き捨てならなかったのだろうが、売れっ子・有吉に対する態度とあまりに違いすぎないだろうか。

 藤本は木下と離婚し、「俺の嫁は、売れっ子芸能人だ」と、彼女を水戸黄門の印籠のようにかざすことはできなくなった。自分の身は自分で守るしかないのだから、会見を開いて自分の言葉で謝罪したほうがよかったのではないか……という気がしないでもない。



仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2023/10/19 21:40
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