「グレるのに理由はない」工藤會、死刑判決の大親分のすごいところとは?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
別の道を歩む工藤會2トップ
「私のように、この世界(=ヤクザ社会)でしか生きていけない人間もいる」
9月27日の工藤會の最高幹部・野村悟総裁と田上文雄(稼業名)会長の控訴審2回目。田上会長は、「工藤會を終わらせない、やめない」理由をこう答えたそうです。
そして、会長の地位は「しかるべき人」に譲り、会長でなくても「何らかの形」で残りたいと明かしました。獄死も覚悟しているそうです。
これに対して、野村総裁ははっきり「引退」を表明、工藤會とは縁を切って総裁の職も降りると「宣言」しました。
これは意外でした。ずっと出身母体の田中組で一緒だったお2人が別の道を歩むことになるとは……。大袈裟ですが歴史的な瞬間ですね。
事件についても、野村総裁は一審と同じ主張で、起訴された4件の指示をすべて否定しましたが、田上会長は一審の主張を変えて看護師さんと漁協組合長の親族に対する襲撃の指示は認めました。殺意はなく、脅かすつもりだったということです。
「この世界でしか生きていけない人間もいる」
元極妻としては、田上会長の「私のように、この世界でしか生きていけない人間もいる」という言葉が刺さりましたね。会をなくすつもりはなく、自分も残りたいという会長に「それは暴力の肯定では?」と尋ねた弁護人への答えでした。
なりたくてヤクザになる人はほとんどいません。ほかに道がないからヤクザになるんです。元オットの兄弟分たちは「まあ工藤會はやりすぎたよね」という感じですが、そのわりに起訴案件がしょぼいのは以前から書いている通りです。
野村総裁は、一審から「『総裁』とはご隠居さん的な存在であり、若い衆に指示することはなかった」と主張してきました。
同じくすべて否認してきた会長が、二審から「4件のうち2件は指示した」と認めたことについては、「田上は私のことを思いすぎて、指示してくれたのだと思います」と話し、特に怒ってはいないようでした。むしろ「私のことを思っていてくれて感謝しています」として、引退は「社会への約束」と明言しました。
検察官とのやりとりは傍聴したかったですね。検察官から「裕福な家庭で育ったのに、なぜ暴力団に?」と聞かれた総裁は、「説明しにくい」と話したそうです。
尾崎豊の歌を考察する大親分
2019年に「週刊実話」(日本ジャーナル出版)で連載されていた総裁の手記によると、「グレるのに理由はない」そうです。以前はネットでも読めたのですが、削除されてます。また載せてほしいですね。
この手記に、若い衆とカラオケに行った時のお話が出てきます。若い衆が歌った尾崎豊の歌に「自分がグレるのは性分」とかいう歌詞があって、「グレるのは性分としかいいようがない。尾崎はグレるという意味をわかってるな」と思ったそうです。ちなみに歌は「ダンスホール」でしょうかね。
ていうか若い衆の歌をちゃんと聴いて、歌詞について考察までする大親分……。すごくないですか? 私のオットは大親分じゃないですが、絶対聴いてなかったと思いますよ。
話それましたが、検察官がいろいろ聞いて、ご機嫌も悪くなったようで、
「極道になってよかったことは?」
「別にない。(逮捕されて)こんなに苦しめられている」
「極道になって後悔したことは?」
「自分の子どものことを考えたら、そう思うこともある」
このあたりのやりとりでイラッとしたらしいです。
工藤會を引退しても、田上会長との家族的なつながりはあること、でも現実には会えないことを「(検察は)むちゃむちゃむごいことをしているんですよ」と訴えました。
また、一審の判決言い渡し後に法廷で裁判長に「ひどい判決だ」「あんた一生後悔するよ」などと言ったことについて、謝罪もされています。
「脅すつもりはなく、公正な判断をお願いしていたのに、ぜんぶ『推認』で死刑と言われてびっくりした。『そんなことあるのか』という気持ちだった」そうです。
確かに死刑はびっくりしたでしょう。次回公判は11月29日だそうです。行きたいけど、行けないと思います。抽選に当たらないと疲れますしね。 遠くから見守らせていただきます。