『転生ギャル勇者と囚われの姫〜モラハラ義実家を攻略せよ〜』インタビュー

【1話無料】最高の「スカッと」体験マンガ! くたびれたアラフォーがモラハラ義実家を撃退!?

2023/10/14 18:00
有山千春(ライター)

『転生ギャル勇者と囚われの姫』作者・横山真由美さんインタビュー

――今作について、執筆のきっかけを教えてください。

横山真由美氏(以下、横山) 一昨年、担当になった編集さんが、中学時代にお姉さんが買っていたという私のギャルマンガを読んでくださっていて。「読んでいました!」とおっしゃってくださったんですが、私は久しくギャルマンガから離れていたんですよね。「プチコミック」という、大人の女性向けのマンガ誌で描いていたので、なかなかギャルを描く機会がなかったんです。

 そんななか、担当編集さんが「また、ギャルが読みたい」と言ってくださって。一方で、「転生モノがはやっているから、転生モノとギャルを合体すればイケるんじゃないですか?」とおっしゃってくださって、確かにと。転生×ギャルなら、幅広い人に読んでもらえそうだなと思ったのがきっかけでした。

ーーそれまで、転生モノを読むことはありましたか?

横山 気軽に読んでいました。自分にそれが描けるかは別として。いざ自分が描くとなったとき、転生モノにどうやってギャルを落とし込むことができるのかと考えました。

 そこで主人公に据えたのが、元ギャルの女性。昔ギャルで、今は男に逃げられたくたびれたアラフォー。そんな元ギャルが、ピチピチの19歳と入れ替わったことで、昔のギャル魂を再燃させ、若さを取り戻しながら全盛期のギャルマインドも取り戻していく――という軸で、うまく進めていくことができました。

担当編集 執筆前の企画段階で、かなり詰めてくださっていましたよね。

横山 そうですね、企画書の時点で、ノリノリで描いた気がします。主人公がアラフォー元ギャルと、義実家に虐げられている19歳の2人で、それぞれ別の世界で生きている。それぞれの人生に関わる人物が交差するので、物語に奥行きが出て、面白そうなことができそうだなと思いましたね。

――タイトルにインパクトがありますよね。『転生ギャル勇者と囚われの姫〜モラハラ義実家を攻略せよ〜』、一瞬、「従来の転生モノ?」と思いつつ「モラハラ義実家?」と目と留めてしまう威力があります。

横山 そうそう。従来の転生モノのように、RPGっぽく「勇者」「姫」というワードを使いたかったんです。でもそれだけだと内容がうまく伝わらないだろうから、ラノベっぽいサブタイトルをつけて、そこに「モラハラ義実家」というわかりやすいワードを入れました。

――読者の方からはどんな反響がありますか?

担当編集 お声はたくさんいただいています。「普通の嫁姑モノだと思いきや、こんなにスカッとするとは」とか。「横山先生がこのジャンルに!? と驚いたけど、やっぱり横山イズムは健在で最高だった」とか。

――横山先生が描く主人公の元ギャル女性、とても魅力的です。横山先生ご自身が元ギャルなんでしょうか?

横山 いえ、自分はギャルの上世代なんです。ギャルが大好きなだけです。自分が大人になってからギャルが現れて、それからギャル雑誌をめっちゃ読むようになり、“ギャル愛好家”になりました(笑)。それでずっと、「どうにかして隙あらばギャルを描きたい!」と思っていたんです。

担当編集 でも、横山さんご自身も日常からギャルメンタルをお持ちなんです。いつも明るくて、どんなときもポジティブで。

――そういった明るさやポジティブさを、作中では「ギャルマインド」として描かれています。姑のいびりにも、そのマインドで立ち向かっていて。姑のいびりは、どこから発想を得たんでしょうか?

横山 いびりの内容はわりとオーソドックスだと思いますが、受け手がギャルなので、古典的なイジメをギャル的にさばいて面白く見せられていると思っています。その辺は担当編集さんと相談しながら描いていますね。「ここ、パンチが足りない」とアドバイスをいただきますが、ひねったものは描いていないんです。

――たとえば、どんなシーンにパンチを加えたんですか?

横山 姑の企んでいる顔をアップにするとか、おちょくるギャルの顔とか、インパクト勝負のところは大きく描いたり、とかですね。あとは、「アバズレ」というワードが出てきますが、そういった日常には出てこない単語は意識的に入れています。

――インパクトといえば、嫁いびりをする姑たちのサークル名が「嫁ごろし」! これ、インパクトありますよね。

横山 これは、嫁に対する悪口がないかなとネットで検索していたら、夫の愚痴を吐き出すサイトを見つけまして。

――ありますね、「だんなデスノート」というサイトですよね。

横山 それの嫁版があったらいいかな、みたいなノリで考えました(笑)。

――ネットでヒントを拾うこともあるのですね。

横山 頼っていますね。Twitter(現X)でモラハラ被害を受けている方を拝見しました。ただ、その内容が壮絶すぎて。「こういうことがあるんだ」とシリアスに受け止めつつ、なんとかギャルマインドで流せないものかという願いを込めたんです。マンガの中だけでも、昇華できたら、と思っています。

――印象的だったのが、義母の「若くてキレイで前向きなんてシンプルにムカつく」というセリフです。綺麗事を抜くと、たしかにこうした気持ちは誰でも持っているはずだなと。そういうところも、この義母を心から憎めないところです。

横山 この義母が元々、若い頃にキレイで自分に自信があった人だからこそ、年を取ってから自分が失ったモノへの執着があるのかなと思いまして。それを持っているというだけで、若い女性に対してシンプルに腹が立つんだと思います。若さ以外に自信を持つことができないまま、歳を重ねてしまったことへ、怒りがあるのではないでしょうか。

――とても人間らしい感情ですね。

担当編集 だから本当の意味では嫌いになれないんだと思います。

――もし自分がこの義母のような意地悪い気持ちを持ってしまったら、どうすればいいと思いますか?

横山 ギャルを心に宿すのがいいかもしれません。ほかのことに目を向けて、日頃からたくさんのことに手を伸ばして、「自分はそれだけじゃない」という執着心をなくすことができればいいかも?

 それで、自分の中のギャルが「いいっしょ!」となれば、「ま、いっか」となる気がするんです。それか「何歳でもイケるよね」とか「いまはあいつも若いけど、必ず年を取るよ」と思えればいいと思います。

――「心にギャルを宿す」、とてもいい表現ですね! 横山先生が思う、”ギャル”とは?

横山 「ギャルマインド」とかよく書くので、わたしも「なんぞや」と思って調べ直したりするんですけどね。で、調べると、「ポジティブでいる」ということが基本にあって。あと、「全力で好奇心を持って楽しいことをする」のもギャルマインド。年をとると好奇心が薄れていきますが、キレイでいることも好奇心の一種ですよね。

 いろいろなメイクを試したり、服を買ったり、誰かと楽しく過ごすとか……といった好奇心全般を抑え込まずにやっていく人たちが、ギャルマインドの持ち主なのかなと思います。大人になると、そういうのってなくなっていっちゃいますからね。

――そういうギャルが心にいたら、たしかに原動力になりますね。横山先生がギャル愛好家になったきっかけはなんだったのでしょうか?

横山 安室(奈美恵)ちゃんが出てきて、惹かれて、そのうち「egg」(大洋図書)が発売されて毎号読むようになって。そこに出てくる子たちって、びっくりするくらい奇抜なことをやらかしたり、暴れているギャルで、「すごくカワイイな!」と思ったんです。見ているだけで元気が出る。「こんなことやっちゃうんだ」というおもしろいことを、物怖じせず平気でやってしまう子たちから目が離せなくなってしまって。

 そのときに暴れていた子たちも大人になれば落ち着きますが、ギャルは新陳代謝があって新しい子が出てきますからね。つねに新しいギャルを楽しんでいました。

――いまのギャルはいかがですか? 「egg」は2014年に休刊しましたが、2019年に復刊して、年2回のペースで発行しているほか、YouTubeやTikTokで発信しています。

横山 もちろん買って読んでいます。雑誌を読んでいると、元祖ギャルをリスペクトしている子もいれば、控えめメイクの肌が白い子もいたり、多様性がありますよね。私はみりちゃむさんやきぃぃりぷさんが好きです。平成ギャルっぽい強めギャルだから!

――今回、作品に登場するギャルは平成と令和、どっちの要素が強いギャルですか?

横山 今と昔、両方描いています。アラフォーの元ギャルのほうは、20年前の強めギャルがそのままタイムスリップした感じだし、19歳の子がギャルメイクをすると、やっぱり今っぽくしていますね。

 でも、今のギャルは昔よりも大人というか、賢い気がしますね。当時はネットもないからやりたいことがやりやすかったのかもしれないし、今はネットで世界中の情報が見られるから、メイクの技術も発達していると思いますしね。でも、根底のマインドは変わらないと思います。

――ご自身でも好きなシーンはありますか?

横山 ギャンギャンに盛ったギャルメイクをしたシーンです!

――本当にギャルがお好きで描いているんですね! 古のギャル世代に伝えたいことはありますか?

横山 なにか言いにくいことや、踏み出しづらいことがあったら、心のギャルに言わせるのはいいかもしれませんね。心にギャルが住んでいる設定にすると、いろいろなことがやりやすい。「この服着てみろって心のギャルが言ってるから」とか「このメイクしてみろって、心のギャルが言ってるから」とか。年齢かかわらず、生涯、なくなった好奇心を補えると思います。

――いびりに悩んでいる人に伝えたいことも、おうかがいしたいです。

横山 そんなところにいたら、へこたれないでいるほうが難しいですよね。ギャルマインドのひとつである、スルー力や、逃げるという選択肢を、どうにかつかんでほしいです。

――最後に、横山先生がギャルになれるなら、どうしたいですか?

横山 古典ギャルのファンなので、強めギャルになりたいですね。黒めファンデを塗り重ねて、普段はやらないようなつけまをつけたり、おもしろいことがやりたいです。

■電子コミック版の販売先はこちら

めちゃコミック
まんが王国
レンタ!
シーモア
DMMブックス

■コミックス版(紙・デジタル両方)はこちら
『転生ギャル勇者と囚われの姫~モラハラ義実家を攻略せよ~ 1』発売中! 11月10日に第2巻、12月8日に第3巻を発売予定。

 

有山千春(ライター)

有山千春(ライター)

AV制作会社広報、実話誌編集者を経てフリーライターに。女性向けWebサイトや週刊誌等で執筆中。

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Twitter:@sansihumiko

最終更新:2023/10/26 15:26
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