コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

山里亮太、相次ぐジャニーズのCM契約見直しに「心配です」――全方位へのやんわりした忖度に思うこと

2023/09/14 21:00
仁科友里(ライター)

 長年、芸能界にいる山里サンだけに、こんなことがわからないとも思えないので、おそらくタレントを傷つけないように、とはいえ企業側を叩きすぎないように気を使って 「頑張っているタレントさんが、そのCMのある番組に出られないことになってしまわないか心配です」 という表現を用いたのだと思われる。

 確かに、人を傷つけない、傷ついた人に寄り添うこと、また過度な批判は避けること は、時代が求めているものともいえるだろう。しかし、こうした全方位にやんわり忖度していると、視聴者に「発言がズレている、わかっていない、そういう問題ではない」と思われてしまい、となると、山里サンの信頼に関わってくるのではないか。

 9月10日放送の『Mr.サンデー』(同)で、MCのフリーアナウンサー・宮根誠司は「テレビとかは魅力あるジャニーズのタレントさんに出てもらいたいわけですよ」「視聴率を取りたいわけです。だから、そういううわさがあっても、あえて追及はしませんでした、誰も。これは本当に猛省しなければならない」と述べた。

 一方、TBSアナウンサー・安住紳一郎も、同9日放送の『情報7DAYSニュースキャスター』で、ジャニーズ事務所に対する忖度は「十分にあると思います」と認め、事務所から触れてほしくないと言われたことについては、「もしその約束を守らなければ、次からはこちらの依頼に応えてくれない、そういう損得勘定で仕事をしている部分はあります」と総括した。

 自身らの後ろ暗いところを、先に言ってしまえば、「なぜ疑惑を追及しなかったのか」「ジャニーズ忖度はしていなかったのか」 というネットユーザーからの批判を封じることができるし、正直なコメントだと好感を抱く人もいるだろう。宮根、安住アナといえば、アナウンサーとして絶大な人気を誇るが、やはり民意を捉えるのがうまいと感じる。

 彼らに比べると、山里サンはその「民意を捉える」ことができていないように思う。 彼のコメントについて、先ほど、全方位にやんわり忖度していると述べたが、腰が引けているともいえるのではないか。彼は 自分が芸人として認められることには熱心だけれど、実は他人のことにあまり興味はなく、共感性も薄いのかもしれない。だから、自分が他人にされた屈辱的なことはいつまでもいつまでも覚えている割に、他人の受けた痛みのようなニュースになると、途端にぼんやりしたコメントしかできなくなるように見える 。

 しかし、ワイドショーのMCである以上、視聴率を取る必要があるだろう。山里サンが本音を言うことが、視聴率が低迷する『DayDay.』の突破口 のように思えてならない。



仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2023/09/14 21:00
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