仁科友里「女のための有名人深読み週報」

山里亮太、相次ぐジャニーズのCM契約見直しに「心配です」――全方位へのやんわりした忖度に思うこと

2023/09/14 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

南海キャンディーズ・山里亮太の画像
朝のワイドショーの司会は向いてなかった?(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「頑張っているタレントさんが、そのCMのある番組に出られないことになってしまわないか心配です」南海キャンディーズ・山里亮太
『DayDay.』(9月13日、日本テレビ系)

 9月7日に、ジャニーズ事務所による会見が行われた。事務所として、創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害を認めたことを受けて、大手スポンサー企業が同社との契約を見直すと相次いで発表している。

 同10日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出演したデーブ・スペクター氏は、「(ジャニーズ事務所を)いじめているような気もする。なんで(広告契約の見直し)表明をわざとらしくやるのか」とコメント。

 また、同13日放送の『DayDay』(日本テレビ系)でも、MCの南海キャンディーズ・山里亮太が「頑張っているタレントさんが、そのCMのある番組に出られないことになってしまわないか心配です」とタレントの今後を慮るような発言をしていた。


 確かにジャニーズタレントは、今回、同社との契約を見直すと発表した企業のCMだけでなく、スポンサーとなっている番組にも出られない可能性が出てくる。そうなると、ジャニーズ事務所、タレント双方にとって大打撃だろう。タレント本人が不祥事を起こしたわけではないのに、CMやテレビ出演の機会を失うのは気の毒だが、「ビジネスとして」考えるのなら、それも致し方ないのではないか。

少年隊は「本当にお行儀がいい」――テレビ局はなぜジャニーズを信用したのか?

 ビジネスシーンにおいては“信頼”が何よりも重要視される。テレビ局が大手事務所を丁重に扱うのは、人気タレントを多数有していることが一番大きな理由だろう。しかしそれ以外にも、長年の付き合いで事務所に信用があるからだと思う。

 テレビ局は、人気のあるタレントに出演してもらい、視聴率を稼いでほしいというのが本音だと思われるが、だからといって、コンプライアンスを遵守できない人物を出演させると、番組がお蔵入りとなりかねないので、それは避けたいところ。そういう時に「この子はちゃんと教育してあるので安全です、私どもが保証します」と“身元保証”するのが事務所の仕事だと思われる。

 その昔、演歌歌手の小林幸子が、『夜のヒットスタジオデラックス』(フジテレビ系)で、少年隊の3人を「本当にお行儀がいい」と褒めていたが、上下関係が厳しいとされる演歌界の人にそう言われるくらいだから、彼らの周囲に対する気配りは、相当なものだったのだろう。それは事務所内での教育が行き届いていた証しともいえるはずだ。

 視聴率を稼いでくれるスターがいる、しかも礼儀正しいとなると、 テレビ局はますます大手事務所を信頼するようになる。テレビ局は「あの事務所に頼めば、間違いない」と信頼し、一方で芸能界志望者も「あの事務所に入れば、チャンスがつかめる」と信じて、多くの才能が集まるだろう。


 しかし、長年ささやかれてきたジャニー氏による性加害をジャニーズ事務所が認めた今、ジャニーズ事務所の信頼は地に堕ちた。戦後、姉と力を合わせ、一代で芸能界にエンパイアを築き上げたというのが、これまでのジャニー氏のイメージだろうが、今では趣味と実益を兼ねて芸能事務所を作り、餌食となる少年たちを集めていたと言われても否定はできない。

 事務所に信頼がなくなれば仕事は来なくなる。テレビ局や企業が事務所に仕事を頼むということは、亡くなったとはいえ、性犯罪者が舵取りをしていた企業にお金を落とすことにつながるわけだから、タレントに非はなくても、取引をやめると考えたとておかしくはない。