コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験の大手塾に憤慨! 算数の成績下落、「先生が無理」という娘の主張はわがままなのか?
2023/09/09 16:00
そうこうしているうちに、新6年生になる時期が間近に迫った。その頃、ようやく予約していたプロ家庭教師の枠が空いたため、算数をお任せすることができたそうだ。
「地獄に仏でしたね……。さすがプロだけあって、教え上手で、褒め上手で、乗せ上手。桃花に『自習だけで、こんなに理解できているのはすごい!』と言って、自信を付けてくださって、理解が及んでいない部分とT学園対策を並行してやってくださったんです。わずか1年の間に、桃花は『算数、大好き!』というくらい成績が伸びました。まあ、お金は余分にかかりましたが、結果オーライです」
こうして、桃花さんは初志貫徹で、無事にT学園に合格。
「りんこさん、私、学んだんです。人間関係には相性があります。私たちの世代は、どんなに嫌でも、目上の相手に対しては、我慢しながら、折り合いをつけて付き合っていく のが正しいとされてきました。でも、どうしても嫌ならば、人でもなんでも、その我慢は必要とは言えません。もちろん、我慢を放棄した分、より一層の努力は必要でしょうが、嫌なことを跳ねのけるパワーを見せてくれた桃花のことは、ちょっと見直しました」
そんな誇らし気な詩織さんだが、最近、彼女にも変化があったという。
「私、転職したんです。実は、長年、理不尽な上司に振り回されてメンタルをやられそうになっていたんですが、この年齢では転職は無理だと思って、ずっと我慢していました。でも、それって美談でもなんでもないなって思って、辞めました。それで一念発起して、資格を取得し、先日、無事希望の職場に採用されたんです!」
「今、私が楽しい毎日が送れているのも、桃花の決断を見守った 経験があったからですよね」と笑う詩織さん。その表情はとても明るいものだった。
最終更新:2023/09/09 16:00