中学受験の大手塾に憤慨! 算数の成績下落、「先生が無理」という娘の主張はわがままなのか?
しかし、桃花さんによくよく授業の様子を聞いてみたところ、以下のような状態だということもわかってきたという。
・解説もなく、いきなり問題ばかり解かせる
・授業中の質問を受け付けずに一方的に講義する
・黒板の文字を写し終えていないのに、すごいスピードで消してしまうが、自分の流儀だと言ってあらためない
「桃花がA先生を毛嫌いしている理由が、『なんとなく生理的に無理』というだけなら、室長に抗議にはいかなかったと思うんです。でも、もし講義方法が桃花の言っている通りならば、桃花の成績は上がらない。『算数が入試のカギ 』といわれるT学園が、このままでは高嶺の花になってしまう! と焦りました」
詩織さんは、室長にアポを取り、面談してもらうことに。ところが、面談結果は芳しいものではなかったという。
「最初、『こういうわけなので、算数だけ、下のクラスでいいので受講できないか?』と聞いたんです。でも、答えは『NO』でした。それで、思いきって『だったら4科とも、元のクラスにしてもらえないか?』と言ったんですが、『それだとT学園には届きませんよ。それでいいんですか?』と言われ、最後に『私は、A先生は人気のある良い先生だと思いますけどね』と。まるで、桃花のわがままだと言わんばかりの口ぶりだったので憤慨しました」
詩織さんが桃花さんに転塾を勧めても、「仲良しの友達ができたから、今さら、出たくない」と首を縦に振らず。なにより「A先生の算数は受けない!」という桃花さんの決意は固く、算数のみ自主休講し、ウェブ講座で自宅学習をしていたという。
しかし、時は5年生の秋。新単元が目白押しの大事な時期ゆえに、融通が利かない塾にも、頑なな娘の態度にも、詩織さんのイライラは募るばかりだったそうだ。
「夫は海外に単身赴任をしているので、なかなか相談とかもできなかったんです。でも、夏休みに一時帰国をした際、夫が桃花に言ったんです。『根性あるな!』って。『嫌なことは嫌! って言えるのは、すごくいいことだ。日本人にはそれが足らない! ってパパはいつも思っている』って。そして、『別にA先生でなくても、T学園に合格すればいいんだろ? パパと一緒に勉強しないか?』と提案したんです。桃花も最初は乗り気だったんですが、すぐに思惑は外れました。やはり“父親塾”はうまくいくはずもなく、あえなく決裂です(笑)」