コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験の大手塾に憤慨! 算数の成績下落、「先生が無理」という娘の主張はわがままなのか?

2023/09/09 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

asasnaccoさんのphoto ACからの写真

 中学受験は、難関校になればなるほど試験の難易度が高く 、出題範囲も非常に広い。それゆえ、受験生は専門塾に通うのが一般的だ。

 もちろん、子どもが喜んで塾に通っているのであれば、親としては 万々歳なのだが、子どもによっては塾通いが苦痛でしかないケースもある。「勉強が嫌い」「成績が上がらない」「友人関係がうまくいかない」など、その理由はさまざまで、意外と「塾の先生との相性が悪い」という事例も多い。

 現在、中学1年生の娘・桃花さん(仮名)を持つ詩織さん(仮名)も、この問題で苦労した経験者だ。

 桃花さんは小3から大手塾に入り、難関校T学園を目指して頑張っていたという。その甲斐あって、小5春のクラス替えでは、念願の最上位クラスに。桃花さんは、この結果をすごく喜び、「クラス落ちしないように、勉強、頑張る!」と、より一層、身を入れて勉強するようになったそうだ。

 ところが、クラスアップしたその月から、算数の成績だけが、ズルズルと下がっていったという。

「それまでは、算数も決して苦手ではなかったと思います。けれど、下のクラスにいた時よりも偏差値が下がっていくので、『最上位クラスの算数にはついていけないのかな?』と心配していました」

 そこで詩織さんは、桃花さんに「算数の成績が下がってるけど、何か 心当たりはある?」と聞いてみたそうだ。すると桃花さんが「算数のA先生が 無理!」と言うので驚いたという。

 桃花さんの言う「A先生が無理な理由」はこれだった。

・お気に入りの女の子の名前だけを呼び捨てにする
・上から目線で常に偉そう
・自分勝手で生徒の話を聞かない

「最上位クラスの講師は、下のクラスとは違う先生方でした。最上位クラスは優秀なやり手の先生で固められていると聞いていたので、期待感があっただけに、すごくショックでしたね。桃花は『A先生が教えるなら、もう算数の授業は受けない!』とまで言い出す始末で……。私としてはやっぱり、最上位クラスにいてほしいという欲目があったので、『出会う人すべてが『いい人』とは限らない、中には『苦手』と感じる人もいるよ。 それにA先生とは受験終了までのお付き合いなんだから、やり過ごせば? なんたって、最上位クラスを受け持っている優秀な先生なんでしょ?』と説得したんですが、桃花には『ママって、そんな人だったんだ……』と軽蔑されてしまって。どうしたものか……と悩んでいました」

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