サイゾーウーマンコラム仁科友里「女のための有名人深読み週報」一青窈が気を使いすぎて失礼なワケ コラム 仁科友里「女のための有名人深読み週報」 一青窈、子どもの写真入り年賀状で「光浦靖子を傷つけた」発言が失礼だと感じたワケ 2023/08/31 21:00 仁科友里(ライター) コラム 私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。 Getty Imagesより <今回の有名人> 「私は無邪気に傷つけていたんだなと思って」一青窈 『24時間テレビ 愛は地球を救う46』深夜コーナー「上田と女が朝まで吠える夜」(8月27日、日本テレビ系) 「親しき中にも礼儀あり」ということわざがあるように、人と人とが付き合う時に“気遣い”や“気配り”は欠かせない。その一方で、それが相手をイラつかせることになることもある――。8月27日放送『24時間テレビ 愛は地球を救う46』(日本テレビ系)の深夜コーナー「上田と女が朝まで吠える夜」を見て、そんなことを思った。 同企画は、毎週水曜日のよる9時本放送同様に、くりぃむしちゅー・上田晋也が司会で、多数の女性ゲストがテーマに沿ったエピソードトークを披露するが、今回は、普段より多くの女性ゲストが集められていた。 「明日のために葬りたい 女たちの黒歴史」というテーマでは、歌手・一青窈がこんなエピソードを披露した。 タレント・清水ミチコ、オアシズ・光浦靖子と親しくしていた一青は、2人に近況報告もかねて、3人の子どもが映った年賀状を送っていた。しかし、光浦が「人のリア充みたいなのを見ると、ちょっと胸が痛い」といったことを書いていたのを読んで、「私は無邪気に傷つけていたんだなと思って」「カナダに留学されて、疎遠になってしまって。怒っていらっしゃるのかな」と、自分の年賀状が原因で関係性が悪くなってしまったと思っているようだった。 光浦の相方である大久保佳代子 は、「大丈夫、あの人、人の子ども大好きで、人の子どもの卒園式とかよく行ってましたから。大丈夫だと思います。自分の子だと思ってかわいがってましたから」と即フォロー。清水も「絶対ないよ」と援護射撃し、「しかも(一青が送って来た年賀状に載っていた子どもとの写真は)面白写真なんだもんね。リア充の人たちは面白写真撮らないから」とやんわり、“おまえもリア充じゃないからな”と、かるーく一青を落として、オチをつけた。 一青の明かしたエピソードって、「気を使いすぎて、かえって失礼なことをしてしまう」の典型ではないだろうか。 一青にはまるで悪気はないのだろうが、このエピソード、実はものすごく失礼なことを言っている気がする。「リア充を見ると、胸が痛い」と書いていたという光浦に、3人の子どもの写真入り年賀状を送ったことで「私は無邪気に傷つけていたんだなと思って」と言っていたが、これって見方を変えると「子どもがいる私はリア充、独身で子どものいない光浦さんは非リア充」と決めつけているも同然ではなかろうか。 一青が「子どもがいる私はリア充だ」と思うのは自由だし、それだけ満ち足りた生活を送っている証拠だから喜ばしいことだが、一青の思うリア充と、光浦の思うリア充が一致するとは限らない。それに、もし光浦が「リア充とは子どもがいる人」と認識し、そういう人を見るのは「胸が痛い」と思っているとしたら、お子さんのいる清水とはそもそも付き合わないはず なので、彼女が「子持ち=リア充」と思っていない可能性のほうが高いのではないだろうか。 なぜ光浦が、子持ちに引け目を感じていると思われてしまうのか。それは彼女が、女芸人の「モテない」「結婚できない」といった自虐ネタがウケていた時代に売れた人だからだろう。 それゆえに、なんとなく実生活でも「モテない」「結婚できない」こと、ひいては「子どもがいないこと」に悩んでいるというイメージがついてしまったのだと思う。 しかし、失恋の曲ばかり作るミュージシャンが、実生活で失恋しまくっているとは限らないように、テレビやラジオで話したこと、原稿に書いたことが、光浦の本心とは言い切れないはずだ。 もし「リア充を見ると、胸が痛い」が本心だとしても、 光浦の言う「リア充」が何かを正確につかんでいるのは、相方である大久保や清水など、付き合いが相当長いもしくは深い人だけだろう。失礼ながら、一青はまだそのレベルに達するほど親しい間柄とは言えないようだ。 それなのに、自分のリア充基準で「私は無邪気に傷つけていたんだなと思って」と決めつけた揚げ句、「カナダに留学されて、疎遠になってしまって。怒っていらっしゃるのかな」とテレビで言ってしまったら、光浦を“一青の幸せに嫉妬して、関係を絶った狭量な人”のように 感じる視聴者も出てくるだろう。 幸い、相方である大久保、清水という芸達者な2人がフォローしてくれたから、光浦のイメージが低下することはないと思われるが、もし適切なフォローがなければ、とんだもらい事故だったのではないか。 次のページ 一青窈は、なぜ「大ファン」だという叶姉妹を喜ばせられなかったのか? 12次のページ 関連記事 大久保佳代子、バービー、イワクラ……今をときめく“女芸人”たちの気になるところ大久保佳代子の下ネタが、コンプライアンスに抵触しない2つの方法――「天才」だと思った『かりそめ天国』の一幕黒沢かずこ、アローン会参加! 「結婚できない」キャラに垣間見える思い込みの激しさなぜ占いは廃れないのか? 『突然ですが占ってもいいですか?』を見ていてわかったことコムドット・やまとの“自画自賛”ぶりに見る、彼らに欠けているモノとは?