黒沢かずこ、アローン会参加! 「結婚できない」キャラに垣間見える思い込みの激しさ
私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。
<今回の有名人>
「えっ」森三中・黒沢かずこ
『上田と女が吠える夜』(8月23日、日本テレビ系)
テレビは時々、「だから、私は結婚できない」特集を組む。例えば、2019年に放送された『さよなら!アローン会』(NHK)。番組に出演したメンバーは今田耕司、チュートリアル・徳井義実、ナインティナイン・岡村隆史、ピース・又吉直樹。人気芸人たちが、自身の結婚できない理由を自己分析していく内容だった。岡村はその後、結婚してアローン会を脱退したが、残る3人を中心に同会は存続している。
アローン会はテレビ限定のユニットではなく、今田のYouTubeチャンネルでも活動を続け、メンバーとのキャンプ動画を定期的に配信。男性ばかりのキャンプでは味気ない、さみしいなどと漏らし、「結婚できない」ことを嘆いている風の今田だが、六大学の女子大生と一緒にキャンプしたいと発言するなど、あっけらかんとしている(そこはかとない面倒くささも漂わせるが)。
8月5日配信の動画では、そのアローン会に、女性アローンである森三中・黒沢かずこが参加。黒沢サンは「一度も、私は合コンに行ったことがないですし、異性とデートもしたことございませんし、ずっとアローンです」と明言していた。恋人と知り合うきっかけは合コンとは限らないが、合コンに行ったことがないということは、出会いを積極的に求めるタイプではないといえるだろう。
ひと昔前のノリなら、「デートもしたことがないなんて、ヤバい」と自虐しそうなものだが、このご時世、恋愛経験のない視聴者を貶める可能性に配慮してか、黒沢サンはただ事実を述べるのみ。一方、恋愛経験がないことをイジるとセクハラになってしまうので、今田らのリアクションも非常にあっさりしたものだった。
森三中・黒沢かずこ、「自分は一人」という強い思い込み
それなりに恋愛もしてきたけれど、なぜか結婚してない、もしくは、なぜか異性に縁がないまま、アローンを更新中。これくらいのゆるいノリのほうが、幅広い層に見てもらうには、効果的だろう。その点で、このアローン会が人気なのも頷けるが、黒沢サンって実は、恋愛や結婚について意識しすぎているのではないだろうか。
8月23日放送の『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)は、「心配性な女VS能天気な女 生態カミングアウトSP」。タイトル通り、綿密にシミュレーションして物事に臨むタイプと、あまり何も考えずに、その時の流れに任せるタイプの女性タレントたちが、それぞれのエピソードを披露する。
この番組に、心配性な女として登場した黒沢サンは、「自分が死んだら、処分できない」という理由で、ベッドなどの家具を持たず、「30年以上、敷布団(を使っていた)」と告白。また、コロナ禍で初めて、一人用のダイニングテーブルを買って「めっちゃ便利ですね」と話し、笑いを誘っていた。
テレビでの発言がすべて真実、本音とは限らないことは百も承知で言うが、黒沢サンってちょっと思い込みが激しくないか。
確かに一人で暮らしている人が亡くなったら、死後の後始末をどうするかという問題はあるだろう。けれど、だからといって、30年もベッドを使わないままでいる必要があるのかというと疑問である。今、パートナーがいないからといって、ずっとパートナーができないとは限らない。そう考えると、黒沢サンは「自分は一人だ」という思い込みが強すぎるように思うのだ。
黒沢サンの思い込みの強さは、番組内でも垣間見える。同番組には、能天気な女として、芸人・餅田コシヒカリも出演していた。餅田は寝る時間がもったいないと思ってしまい、賞レースの前でも1日1時間しか寝なかったところ、39度の熱が出たことを明かしていた。その影響で練習が不十分だったために、賞レースも予選落ちしてしまう。また、寝ない生活はプライベートにも悪影響があったようで、睡眠不足から情緒不安定となり、彼氏に夜中、LINEを送りまくって困らせてしまったそうだ。
ここで注目したいのは、餅田が「私、彼氏がいるんですけど」と切り出したところ、黒沢サンが「えっ」と声を出した点だ。どんな意味の「えっ」かは推測になってしまうが、黒沢サンは餅田に彼氏がいないと思っていたから驚いたのではないか。もしそうなら、黒沢サンの中には「彼氏がいる人は、こういう人」という思い込みがあり、それに餅田が当てはまっていないから驚いたのだろう。