コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

小6初夏から中学受験は遅すぎる? 娘が伝統私立校に“駆け込み”で合格できたワケ

2023/08/26 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

「友人に『小6からでも、頑張れば、まだ間に合う!』と励まされて、やっぱり、我が子には『学校、大好き!』『友達、大好き!』って環境にいてほしいって思ったんです。それで、心美にも中学受験を強く勧めました」

 それからほどなくして、心美さんはその友人の娘さんから、直接S学院のことを聞く機会を持ち、一気にS学院のファンになったという。

「S学院は難関校ではありませんが、校風の良さを誇る伝統校です。塾からも『小6の今からでは、相当厳しい!』と言われたんですが、心美は『絶対に頑張る!』と言いまして、その日から、猛勉強がスタートしました。塾の先生にも『そういうことなら、応援する』と言われ、系列の個別塾にも行くように。毎日、相当ハードでしたが、友人の娘さんにも、なんとS学院の先生にも応援メッセージをいただくことができて……最後は気合で合格をもぎ取ったようなものですね。合格を報告した際、塾の先生が本当に驚いておられましたから(笑)」

 心美さんは入学後、S学院が大切にしている「他者貢献」という精神のもと、ボランティアをする部活に入り、充実した毎日を過ごしているという。

 美保さんがニコニコしながら、心美さんの中学受験をこう振り返った。

「もう少し早めに受験に取り組んでいたら、もしかしたら、もっと偏差値の高い学校に行けたかもしれません。親って、欲深い生き物ですよね(笑)。でも、S学院に入って、毎日、楽しそうに通う心美を見ると、これが正解だったと思うんですよ。受験という目標がなかったら、心美は今も不登校だったかもしれませんから……。唯一の誤算は、心美の姿を見た下の子2人も『中学受験する!』と言っていることですかね。私、もっと働かないといけなくなりました(笑)」

 受験にはそれなりの準備期間が必要だが、心美さんのように、短期間でも気持ち次第で「大願成就」となるケースも過去、数多く見てきた。人生は「意志あるところに道は開ける」という言葉通りなのかもしれない――美保さんの話を聞いて、そんなことを思った。



鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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湘南オバちゃんクラブ

最終更新:2023/08/26 16:00
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